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チャン・ソンテク失脚したとすれば、なぜ?

登録:2013-12-03 22:48 修正:2013-12-04 08:00
チャン・ソンテク

 国家情報院が報告した‘チャン・ソンテク失脚説’は、彼が北韓権力地図で占める地位や時点などに照らしてみる時、非常に驚くべき事件と受けとめられる。

 何よりチャン・ソンテク朝鮮労働党行政部長は、金正恩体制の安定に核心的な後見人の役割をしてきた上に、昨年4月の党代表者会で政治局委員に上がり、昨年11月には新設された国家体育指導委員会委員長に就任するなど金正恩体制スタート以後、常勝疾走を続けてきた。

 国家情報院はチャン部長の失脚時期を先月中旬と推定した。 チャン部長は今年10月10日、党創建68周年慶祝合同公演に金正恩第1秘書に随行したし、一ヶ月後の先月6日には日本体育平和交流協会理事長である猪木寛至 日本参議院議員一行と面談した後、公開の席上から消えた。 チャン部長が失脚したとすれば以後の数日間になされたことと見られる。 政府関係者は「先月6日以後<労働新聞>や<朝鮮中央通信>等、北韓メディアでチャン部長の身辺変化を察せられる報道はなかったと理解している」と話した。

 チャン部長の失脚背景は正確にわかっていない。 しかし金正恩体制スタート以後、北韓-中国関係が遅々として進まない点などにより反対派の攻撃を受けることになったのではないかという観測が出ている。 チャン部長は‘羅先(ナソン)経済貿易地帯と黄金坪・威化島経済地帯共同開発および共同管理のための朝・中共同指導委員会’北韓側委員長を受け持ってきた。 また、昨年8月には朝・中共同指導委員会委員長の資格で北京を訪問し、胡錦濤国家主席などに面談するなど対中関係で水面下の役割を果たしてきた。

 しかし北韓-中国関係は、金正恩第1秘書が執権2年になっても中国訪問さえできないなど、特別な進展が見られていない。 また野心に充ちて始めた黄金坪、威化島開発も未だ遅々として進まない状態だ。 キム・ヨンス国防大学院教授は「金正恩第1秘書が大きな関心を見せている経済再生のためには、全般的な対外関係の安定化、特に中国との関係進展が重要だ」として「ところが、この部分で明確な実績がない点が正統官僚と軍部など強硬派の反撃を受ける標的になった可能性もある」と話した。

 今回の失脚は、チャン部長が権力内部に自分の勢力を形成しながら牽制を受けた結果という解釈も出ている。 チョン・ソンジャン世宗(セジョン)研究所首席研究委員は「チャン・ソンテクの最側近要人であるリ・リョンハ党中央委員会行政部第1部部長とチャン・スギル副部長が権力乱用の疑いで公開処刑されたというのは、彼らが単純にわいろを授受した程度ではなく、自ら‘勢力’を形成したためと判断される」と話した。

 金第1秘書が早期に後見体制から直轄体制に転換したものと見る視角もある。 キム・ヨンヒョン東国(トングク)大教授は「金第1秘書がチャン部長を除去して、自身を頂点に完全に縦割りの権力構造を構築したこと」としながら「ある程度、過渡期的な集団指導体制を脱し過去の首領制度、唯一体制に転換する信号弾と見える」と話した。 <労働新聞>が1日「金正恩唯一領導体系を徹底的に打ち立て、世界の終わりまで金正恩と運命を共にする」という報道を送りだしたのもこのような脈絡だということだ。

 それでもチャン部長に対する問責がどの程度になされたかは確認されていない。 チャン部長は、党組織指導部第1部部長を務めた2003年7月にも‘分派行為’を理由に公開の席上から消えて、2年6ヶ月ぶりに起き上がりこぼしのように復権したことがある。 チャン部長の今後の復権可能性は、失脚理由が何なのかにかかっていると見られる。 チョン・チョンレ国会情報委民主党幹事は「キム・ギョンヒが夫のチャン・ソンテクを失脚までさせなければならないのかと助言をしたと理解している」と話した。 金正恩第1秘書の叔母であるキム・ギョンヒ党軽工業部長の救命も通じなかったということなので、比較的厳重な問責がなされた可能性がある。

 しかしチャン部長の失脚が、党や政府の公式機構を通じて決定されたということが確認されるまでは、予断できないという分析も出てくる。 キム・ヨンス教授は「金正恩体制の顕著な特徴は、主要懸案を公式手順を踏んで処理するということであり、昨年7月リ・ヨンホ総参謀長の粛清も党政治局会議を通じて決めた」として「チャン部長の失脚の意味や真意などは、もう少し見守らなければならないようだ」と話した。 パク・ビョンス先任記者 suh@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/613882.html 韓国語原文入力:2013/12/03 21:17
訳J.S(2109字)

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