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[社説] ずさんな管理がもたらした人災列車事故

登録:2013-09-02 01:07 修正:2013-09-02 06:38

 京釜線大邱(テグ)駅で31日、あきれるような列車の3重追突事故が発生した。事故は大邱駅を素通りしたソウル行KTX(ケイテーエックス)が駅を完全に過ぎ去る前に隣の線路に待機していたソウル行ムグンファ(むくげ)号が出発したために起きた。ムグンファ号は合流線でKTXの後部に突っ込み、その際、釜山(プサン)に向かっていた別のKTXが入ってきて傾いたソウル行KTXの側面にぶつかった。

 事故当時3編成の列車には計1300人余りの乗客が乗っていたが、列車が全て低速運行中だったので幸い特別な人命被害はなかった。しかし危うく大事故につながりかねずヒヤリとした瞬間だった。ムグンファ号に衝突されてKTXが傾いただけで済んだから良かったものの、転覆したり、釜山行KTXの速度が速かったりすれば大きな衝突は不可避だった。驚いた乗客がガラス窓を割って脱出したことから事故当時の緊迫感がわかる。

 列車事故は最近3年だけで20件近く発生しているが、今回はムグンファ号が停止信号にもかかわらず出発したことに原因がある。国土交通部の暫定調査結果では、車掌が信号を誤認して機関士に出発の手信号を送り、機関士もまた信号灯を再確認しなければならないのに車掌の手信号だけを信じて出発したことが分かったという。信号体系のエラーの可能性も捨ててはいないが、情況上、管制室・機関士・車掌の連絡過程に行き違いがあった可能性が高い。安全ボケがもたらした典型的な人災と言える。

 鉄道労組側は正常勤務者の代わりに代理勤務者を適用していたことも一つの原因という問題提起をしているのは注目に値する。ムグンファ号の車掌2人のうち1人が長期間車掌業務をしなかったうえ、臨時の安全教育を受けて業務に配置されていたという。コレイル社は費用削減名目で人材を縮小し、列車乗務員を循環勤務させているが、休日には代理勤務職員が特に多いという。労組の主張どおり無理に循環勤務をさせながら安全教育すらきちんとしていないならば事故はいくらでも再発しうる。

 7月にヨーロッパではフランス、スペイン、スイスまで3度の大列車事故が起きて死亡者だけで90人を越えた。ヨーロッパの頻繁な列車事故に対して多くの専門家たちは、いわゆる経営効率性が原因だと目星をつけている。新自由主義の風に乗って民営化を推進した結果、経済性だけを重視して安全性は疎かにされた結果、機関士業務が過度に増え事故が頻発しているということだ。国土部は事故原因を徹底的に糾明して勤務形態や職務教育などの安全管理システム全般を点検することを望む。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/601636.html 韓国語原文入力:2013/09/01 19:02
訳T.W(1184字)

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