2010年6月地方選挙を控えて
野党候補の当選を阻む目的
"その時は判事らはおそらく敵になって
司法処理をしないだろう"
検察 "ウォン発言、教旨・綱領に該当
心理戦団職員に下達され
野党批判意見流布として現れた"
"その時は判事もおそらく敵になって司法処理をしないだろう。 皆同じ穴の狢だろうに…。" (2010年1月22日、国家情報院全部署長会議)
26日ウォン・セフン(62)前国家情報院長の初公判で検察は「具体的根拠もなく無差別的に従北レッテルを付ける新種マッカーシズムの形態を示した」とウォン前院長を批判した。 それと共にウォン前院長が国家情報院前部署長会議で司法府まで‘従北勢力’と疑う発言をした事実を公開した。
検察は国家情報院の大統領選挙世論操作および政治介入事件が政府の政策に反対すれば無条件に従北勢力と見るウォン前院長の‘誤った従北観’から始まったと判断している。 2010年6月地方選挙を控えてウォン前院長が野党圏候補らの当選を阻む趣旨で行なった発言が代表的だ。 2010年1月22日、月例全部署長会議でウォン前院長は「その時は判事もおそらく敵になって司法処理をしないだろう。 皆同じ穴の狢だろうに…」と話した。 野党圏候補らが多数当選すれば公職選挙法違反の疑いで起訴されても裁判所で当選無効刑に該当する宣告は簡単には出ないだろうという話だ。
ウォン前院長は同年4月16日に開かれた全部署長会議で「北韓の指令が降りてくるのを見れば、今回の地方選挙で政権を変えられるよう(野党圏が)みな集まれということだが、指令どおり動くのは結局従北団体ということではないか」と発言した。
検察はウォン前院長のこのような発言が、サイバー分野を担当する国家情報院心理戦団職員に一般的命令である‘教旨と綱領’に該当すると明らかにした。 ウォン前院長が指揮系統を踏んで指示を与えれば、内部コンピュータ・ネットワークであるイントラネット等を通して心理戦団職員に通達され、普段は政治に関与し選挙時は選挙イシューと関連して野党および市民団体に反対する意見を流布する活動に帰結される結果を産んだということだ。
例えば、国家情報院職員キム・ハヨン(29)氏が昨年11月30日‘今日のユーモア’掲示板に‘海軍基地を一体どうしようというのだろう?’という題名で書いた文に対して、国家情報院側は北韓の対南宣伝媒体である‘救国戦線’の宣伝扇動に対応したものと主張しているが、実際、この文は済州(チェジュ)海軍基地建設予算案処理を保留させた民主党を批判したものだというのが検察の説明だ。 また、昨年11月‘今日のユーモア’に掲載された‘首を出して金剛山(クムガンサン)に行きたくない’という題名の文もまた、国家情報院側は北韓の対南宣伝メディアである‘我が民族どうし’が 「南北観光は交流協力と統一の近道」と扇動したことに対応したものと主張しているが、その前日に文在寅(ムン・ジェイン)当時大統領候補が金剛山観光公約を発表したことを批判するために書いたものと検察は見ている。
国家情報院は‘対北心理戦’と主張しているが、実際には‘野党批判’が目的であったということだ。 検察は法廷で 「国家情報院が敵ではなく一般国民を相手に世論・心理戦を行った」と叱責した。
検察は国家情報院長を頂点にした国家情報院の‘上命服従’の指揮・統率体系によりウォン前院長の指示で心理戦団職員が一糸不乱に動いたと主張した。 普段から主要国政懸案と関連して大統領と政府・与党を支持し広報するようにした反面、これに反対する市民団体や政治家、政党を従北左派として狙いを定め無差別的に責め立てたということだ。 これはウォン前院長が‘国家安保=大統領の成功的国政遂行’という誤った認識を持って、国家情報院を国政遂行の補佐機関として運用したという検察の公訴論理と脈を同じにする。
パク・ヒョンチョル ソウル中央地検公共刑事捜査部部長検事はこの日、公判冒頭陳述で「ウォン前院長は国家情報院長の地位を利用して心理戦団職員にインターネットで世論操作をさせることにより政治関与および18代大統領選挙の選挙運動を行なった。 一般国民を装って政治・選挙と関連した世論を人為的に操作する反憲法的行為を犯したので、峻厳な処罰が必要だ」と明らかにした。
キム・ジョンピル記者 fermata@hani.co.kr