本文に移動

"2000日にもなったのに、悔しいじゃないですか"

登録:2013-06-07 22:11 修正:2013-06-08 05:24
去る6日ソウル鍾路区(チョンノグ)の恵化洞(ヘファドン)聖堂鐘塔上の高空籠城場で会ったヨ・ミンヒ、オ・スヨン氏。 二人は最長期非正規職闘争事業場である全国学習誌産業労組 才能教育支部所属組合員だ。 カン・ジェフン先任記者 khan@hani.co.kr

団体協約 原状回復と解雇者全員の復職を要求する
最長期 非正規職闘争事業場
賃金を受け取って仕事をしていながら
労働者としては認定されない特殊雇用職の悲しみは続いている

 本来、人が上がることはできない所だった。 ソウル鍾路区(チョンノグ)の恵化洞(ヘファドン)聖堂の階段は高さ4階の鐘塔まで繋がっていた。 その上に登るには、コンクリートの壁に‘コ’の字形に打ち込まれ錆ついた鉄筋を手で一つずつ探りながら壁を登らなければならなかった。 最後の鉄筋を掴んで鐘塔の外から身を入れると一坪半余りの空間が広がっていた。 全国学習誌産業労組 才能教育支部組合員ヨ・ミンヒ(39)、オ・スヨン(38)氏の高空籠城場だ。

 "人が上がった痕跡はありませんでした。 あそこの避雷針の管理のために出入りするからと覆い式の門を作ったようだが、永らく開かなかったためか門を固定していた針金はサビだらけでした。」 オ氏の指先は聖堂の先端にある十字架を指していた。 地上では見えなかった十字架の先に小さな避雷針が見えた。

 去る6日午前‘才能教育先生’だったヨ・ミンヒ、オ・スヨン氏に避雷針の横で会った。 階段も、欄干もないそこに二人は器用に小型テントを張った。 この日は二人が高空籠城を行って121日目だった。 その間、季節は冬から春、再び夏に変わっていた。 才能教育支部の座り込みは1995日目だ。 去る2月26日に座り込み1895日を超して、それまでキリュン電子分会が持っていた‘最長期非正規職闘争事業場’の名前は才能教育支部が受け継いだ。

 「団体協約の原状回復と解雇者全員の復職など2つの要求条件が受け入れられれば降りて行きます。 去る2月、初めて上がってくる時には座り込みが2000日目になる前には降りて行けることを願っていたが、このようにして4ケ月を越すとは思いませんでした。」

 オ氏が話した団体協約原状回復と解雇者11人全員復職は事実、簡単な問題ではなかった。 才能教育支部のこのような要求の中には、労働者でありながら労働者扱いを受けることができない特殊雇用職労働者の悲しみが溶けこんでいる。 特殊雇用職労働者とは、事業主から賃金を受け取り生活をする労働者でありながらも、法的には個人事業者や委託契約者に分類され、勤労基準法と労働組合法など労働関連法の保護を受けられない人々を指す。 当然、勤務中にケガをしても労災保険などの恩恵を受けることはできない。 ヨ氏やオ氏など学習誌教師や貨物車運転者、クィックサービス、ゴルフ場競技補助員などが代表的な特殊雇用職労働者だ。 労働界はこのような特殊雇用職労働者が250万人に達すると推定している。

 "2007年12月21日この戦いを始めた時、私たちの要求は賃金制度の改善でした。 私たちが才能教育労組(才能教育支部)を作ったのが1999年11月であり、その年の12月労働部から正式設立申告証まで受け取ったので、厳然たる合法労組であるにも関わらず、会社は突然団体協約を破棄し、先生たちに労組脱退を強要しました。 労組を認めないという態度でした。」オ氏は説明した。

 2000日近く戦う間、労使間の不信が芽生えた。 才能教育の使用側は昨年8月28日、才能教育支部との交渉過程で労組に対する20億ウォンの損害賠償請求訴訟の撤回と解雇者の復職を約束した。 才能教育支部が会社案を受け入れれば団体協約の原状回復も議論できると明らかにした。 労使双方の立場がほとんど一致したように見られたが、実状はそうではなかったというのがヨ氏の説明だ。

 「座り込み闘争以前の2007年にも、私たちは団体協約もある労組であり、皆が正常に勤務していた先生でした。 本来あった団体協約も一方的に破棄したのは会社じゃないですか。 今になって‘現場に復帰してこそ団体協約締結を議論することができる’と言うのでは、どうしてに信じられますか。」

 2000日近くに及ぶ長期闘争は、ヨ氏の胸の片隅に‘あきらめたくても放棄できなくさせる心’悔しさを産んだ。 「2000日にもなったのに、悔しいじゃないですか。 労組を作ると言った後、正社員になれる機会も何回もあきらめました。 私はただ学習誌教師に戻りたいのではなく、労働組合がある才能教育に、労働者の名前で戻りたいのです。」

 才能教育支部の長い闘争は特殊雇用職労働者の暗たんたる現実を知らせる役割も果たした。 政府は去る5月26日、特殊雇用職労働者も4大保険(国民年金・健康保険・雇用保険・労災保険)の恩恵を受けられるようにすると明らかにした。 ヒョン・オソク副総理 兼 企画財政部長官はこの日、忠南(チュンナム)扶余郡(プヨグン)の組合共同事業法人を訪問した席で、政府が意欲的に推進している時間制働き口拡大政策を説明して、特殊雇用職労働者に対する処遇改善も約束した。 ヒョン副総理はこの日記者懇談会を開いて「特殊職労働者も安定的に仕事が出来るよう国家が保障しなければならない。 彼らに対する賃金と保険の差別をなくさなければならない」と話した。

 オ氏は政府のこのような動きに対して直ちに評価を下すことは難しいと話した。 「今後どんな具体的な推進計画を出すのか見極めなければなりません。 参与政府の時も、李明博政府の時も、特殊雇用職労働者に4大保険恩恵が行き渡るようにすると言ったことがありました。 問題は現実性が全くない話だけをならべたに過ぎないことであったが、今回の政府はどんな具体的解決法を出してくるかまだ分かりません。」

 参与政府は2007年に特殊雇用職の4職群(レミコン運転士・学習誌教師・ゴルフ場競技補助員・保険募集人)の労災保険加入を許容したが、その内容は事業主が拠出しなければならない保険料を半分割り引くだけに過ぎなかった。 その上、強制加入ではなく任意脱退を可能にしたため、現在これら4職群の労災保険加入率は8.3%に過ぎない。 李明博政府も2011年7月に宅配・クィックサービス(バイク便)運転士の労災保険拡大適用対策を出した。 問題はやはり加入方式だった。 宅配運転手は労災保険料を事業主と労働者が5対5で、クィックサービス運転士は保険料の全額を労働者が負担するようにした。 本来は保険料の全額を事業主が負担する労災保険は強制加入が原則なのに、宅配運転手は任意脱退を可能にしたし、クィックサービス運転士は最初から任意加入形態であった。

チェ・ソンジン記者 csj@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/590966.html 韓国語原文入力:2013/06/07 21:18
訳J.S(2945字)

関連記事