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[社説] 財政の崖 回避には増税しかない

登録:2013-03-30 01:12 修正:2013-03-30 08:52

 政府が昨日、韓国版財政の崖を警告しながら国債発行の意向を明らかにした。景気の悪化により12兆ウォンもの税収不足が発生する可能性があり、これを放置した場合、下半期に国庫が破綻する恐れがあるという。数日前には今年の経済成長率の予測値を大きく下方修正した。新政府の経済チームとしては想像以上に厳しい現実に対する理解を求め、追加経費の名目を作りたい意向があるようだ。そうだとしても大統領府と政府が与野党と相談して解決すべきであり、バトンを受けるやいなや財政の崖を口にするのは適切でない。そうでなくても南北間の軍事的緊張高揚で不安を感じている国民に心配事を上乗せするようなものだ。

 税収不足が予想される原因は、昨年の予算審議時に今年の経済状況を適切に予測できなかったためだという。当時政府は歳入予算案を成長率4%として厳しく見ていたが、成長率を2.3%に下げるほどに状況が悪化したというのだ。政府は景気の悪化により税収が6兆ウォン減少し、税外収入が支障をきたし、総額12兆ウォンの税収不足が予想されると見ている。しかし、このような状況を過去の政府のせいだけにするのは無責任だ。現政権と与党は過去の政府の継承者として共同責任がある。

 政府が歳入の正常化が必要だというのには、追加経費の必要性を強調しようとする意図があるようだ。景気回復のためでなくとも、税収不足を埋めるための追加経費は避けられないというわけだ。税収不足の12兆ウォンを補填し、景気回復のために5兆ウォンをさらに投じるとすれば、少なくとも17兆ウォンの追加経費が必要だ。昨年の剰余金は3000億ウォンに過ぎないので大規模な赤字国債を発行せざるを得ないというのが政府の説明だ。しかし国債は未来世代に負担を転嫁するだけでなく、対外信用度を悪化させる危険もある。追加経費の原因を景気低迷、大量失業など内外の与件に重大な変化が発生したり、あるいは発生する恐れがある場合に限定しているのもそのような理由だ。

 経費の使い途は増え続けるのに、国の経済をこのように場当たり的にしていては問題だ。政府は財政の健全性を損なわないようにして公約を守るために国債を発行するというが、それなら増税を避ける理由はない。増税は、財政の健全性を確保しながら福祉を拡大するために国債発行よりましな手段だ。

 李明博政府は減税をすれば景気が活性化し歳入も増えるはずという論理で税金を割り引いた。しかし昨年の成長率は2%で日本並みまで下がり、格差だけが深刻化した。景気低迷を口実に短期的な成果に汲々としていては同じ状況が再演されないわけがない。経済民主化と福祉を通じて経済の体質を強化する方行に進むべきだ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/580410.html 韓国語原文入力:2013/03/29 18:43
訳T.W(1238字)