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"高麗大 出身検事ら、内谷洞 私邸捜査チームに起訴意見 引っ込めろ 要求"

登録:2013-01-29 09:49 修正:2013-01-29 10:33

"この事件 田の場合にも警護施設建築が確実だった点を見れば、契約当時に地価上昇がなかったとは見難い。"

"鑑定評価額や公示地価の比率を持って一律的に売買代金を配分するのは当事者間に不当な結果を招く可能性がないとは言えない。"

 この曖昧な表現は、検察が2012年6月8日李明博大統領一家のソウル内谷洞(ネゴクトン)私邸土地安値買い入れ事件を全て無嫌疑処分しながら不起訴決定書に書いた字句だ。 決定書には「なかったとは見難い」「可能性がないとは言えない」等ひと目で分かりにくい表現が並んでいた。 それには理由があった。 検事が自身の意とは反対の決定文を書かなければならなかったせいだ。

 李大統領が退任後に暮らすことになる家の敷地を内谷洞(ネゴクトン)に用意する際に、自身が負担しなければならない地価の内8億~10億ウォンを警護処に押し付けたという疑惑について検察は「証拠が不充分だ」として無嫌疑処分した。 だが、4ヶ月後イ・グァンボム特別検事チームの捜査でこのような結論は簡単に覆った。 特検チーム関係者は「検察捜査記録を見れば検事が捜査を非常に熱心にしたことが分かる。 ほとんど起訴意見で行く雰囲気だったが、最後に無嫌疑に雰囲気が変わったようだ」と話した。

検察関係者‘無嫌疑過程’打ち明け

"抜てきしてあげた恩恵分かってくれない" 話が出回る

わいろ授受検事とセックススキャンダル検事波紋など、検察の危機の中で辞退を発表したハン・サンデ検察総長が、昨年12月ソウル瑞草区(ソチョグ)の最高検察庁で開かれた退任式でチェ・キョイル ソウル中央地検長と握手している。 ニュース1

■高麗大出身 捜査-指揮ライン

 内谷洞私邸事件は検察の顔色伺い・手抜き捜査がどんなものなのかを如実に見せた事例だ。 李大統領を保護しようとするハン・サンデ(54)検察総長をはじめとする検察指揮部は必死の努力をしていた。

 民主党などが告発状を出すや検察は事件をソウル中央地検刑事1部に割り振った。 ソウル中央地検刑事1部は名誉毀損事件や公務員犯罪を捜査する、全国検察庁の先任部署だ。 刑事1部長は高麗大出身のペク・パンジュン(48)部長検事であった。 ハン・サンデ検察総長-チェ・キョイル ソウル中央地検長-ペク・パンジュン刑事1部長へとつながる内谷洞私邸事件捜査の‘高麗大ライン’が形成されたわけだ。

 検察首脳部は事件のおとなしい解決を望んだ。 だが、捜査が進行されるほどに李大統領に不利になった。 警護処が内谷洞私邸用地(463㎡・140坪)と警護棟用地(2143㎡・648坪)を54億ウォンで‘丸ごと’買い取り、後から李大統領と国家の負担を分け、警護処予算を全額使いながら李大統領の負担分を少なくしようとした事実が明らかになったためだ。 捜査チームはこれを主導したキム・インジョン(68)前大統領府警護処長と警護処実務者キム・テファン(57)氏を特定経済犯罪加重処罰法の背任容疑で起訴しなければならないという結論を下した。 李大統領一家に利益を与え、結果的に国家が損害をこうむったので背任罪が成立するという話であった。父親の代わりに内谷洞土地を買い入れた李大統領の息子イ・シヒョン(35)氏の不動産実名法違反疑惑については、内谷洞土地買い入れ代金12億ウォンを本人名義で調達し、取得・登録税も納付した点などを考慮すれば実質的な取引者と見ることができ、起訴対象にならないと見た。

 しかしハン総長をはじめとする検察指揮部の‘無嫌疑’意見は強硬だった。 警護処関係者2人だけを背任容疑で起訴すると言っても、背任行為で利益を得た人が李大統領になるためだ。 現職大統領の身分であるため起訴を避けられるとは言っても結局‘国民の税金を食い散らかした’という非難は避けられない。 検察指揮部は‘全員無嫌疑’を押しつけた。

■ソウル中央地検‘起訴’意見 覆させた最高検察庁

 検察指揮部は捜査過程でも‘大統領一家の防壁’を自認した。 野党が告発した7人の内、召還調査を受けた人はキム・インジョン前処長程度であった。 ソウル中央地検は核心人物である李大統領の息子イ・シヒョン氏を呼んで調査しようと言ったがそれさえもできなかった。 結局、一回の書面調査だけで終わらせた。 イ・シヒョン氏に内谷洞土地買い入れ代金6億ウォンを現金で貸したという李大統領の兄イ・サンウン(80)氏も書面調査が全てであった。 結局、特検で召還調査を受けたイ・シヒョン氏は「伯父の家から現金6億ウォンを持ってきた日は2011年5月23日ではなく24日」として検察に出した書面陳述書の内容をひっくり返しさえした。 検察の不良捜査が度を越した水準であることを示す事例であった。

 ソウル中央地検のソン・チャンヨプ1次長、ペク・パンジュン刑事1部長、ハン・ソンニ副部長(主任検事)はキム前処長を起訴しなければならないということで意見が一致した。 だが、最高検察庁は事件の結論自体をひっくり返そうとした。 ‘大統領に害を及ぼす行為は絶対に容認できない’ということがハン総長の意であったし、チェ・ジェギョン最高検察庁中央捜査部長もその意に忠実に従ったという。 最高検察庁とソウル中央地検の意見が衝突するや、最高検察庁のチェ・ジェギョン中央捜査部長とイ・グムノ捜査企画官、ソウル中央地検のチェ・キョイル地検長とソン・チャンヨプ1次長らが集まって会議を開き、‘喧嘩討論’まで行った。 チェ中央捜査部長は「私邸ができれば警護棟敷地の相場も上がり、開発利益が生じるはずだが、この利益を国家が独占することは適切でない」として無嫌疑主張をしたことが分かった。

 検察‘組織’は起訴意見を曲げない捜査ラインを相手に懐柔に乗り出した。 特に捜査の実質責任者であるペク・パンジュン刑事1部長に対する圧迫が激しかったことが知られた。 検察関係者は「高麗大の先輩・同僚検事たちがペク部長に起訴意見を引っ込めるよう要求した。 さらに‘ソウル中央地検刑事1部長に抜てきしてやった恩恵を知らずに、こんなことをしていいのか’という話まで行きかったという」と伝えた。

 組織次元の懐柔に捜査ラインは自らの意志を引っ込めた。 主任検事の意向に反してなされた全員無嫌疑決定は "…なかったとは見難い" "…可能性がないとは言えない" 等、不起訴決定書の曖昧な表現になってあらわれた。 ソウル中央地検の主任検事が不起訴決定文を書くのに困ると、最高検察庁が決定文まで書いてやると言ったという話も出てくる。

ハン・サンデ就任後、高麗大出身 要職配置
‘おとなしい解決’望んだ指揮部
イ・シヒョン召還を阻むなど防壁の役割
‘全員無嫌疑’頑強に押しつけ

"可能性がないということはできない" 等
不起訴決定文 曖昧な表現に帰結

"高麗大の後輩なので裏切られた思いが強かったようだ"
‘意向に逆らえば報復’冷酷感 現す

李明博大統領の息子イ・シヒョン氏が昨年10月25日午前、大統領一家のソウル内谷洞私邸敷地安値買い入れ疑惑を捜査したソウル瑞草洞(ソチョドン)のイ・グァンボム特別検事事務室に被疑者身分で召還され車から降りている。 キム・ジョンヒョ記者

■ 不敬罪に引っかかった検事たちに人事報復

 内谷洞事件無嫌疑決定に反発したペク部長検事は一ヶ月後の人事で春川(チュンチョン)地検次長検事に左遷された。 司法研修院21期同期検事が最高検察庁企画官や地域の大きな検察庁次長の発令を受ける時、全国検察庁の先任部長を歴任した検事が同期たちの中で10位圏外の席に押し出された人事だった。 ペク部長検事の左遷には高麗大出身でありながらハン総長の意に逆らった‘不敬罪’が適用された。 検察関係者は「ハン総長としては高麗大出身であるペク部長が内谷洞事件で起訴意見を出し、言うことを聞かなかったので一層裏切られた思いが強かったのだろう」と話した。 高麗大の後輩であっても‘自分の話を聞かなければ投げ出す’という冷酷さをハン総長が見せたのだ。 当時、起訴意見を出したソン・チャンヨプ1次長も同期の検事長の中で唯一一線地検長として出て行けず、ソウル高等検察庁次長に発令された。 左遷人事であった。

 ハン総長の就任後、初めてなされた2011年8月人事でソウル中央地検刑事部長8人中5人と刑事部・特捜部・公安部の先任部長が全員高麗大出身だった。 最高検察庁スポークスマンと捜査企画官・公安企画官も高麗大出身だった。 ‘高麗大優待’は翌年の人事でも維持された。 検察関係者は「ハン総長は高麗大出身を主要な席に座らせれば組織が掌握できるものと勘違いした。 良心のある検事たちと非高麗大出身らはそのような人事を見て刃を準備した。 そうしたことがまさに検察組織を下から崩壊させることだったと話した。

 何が真実かより何が大統領と政権の安全のための道かを先に考えた政治検事たちの行動は、結局検察崩壊の出発点になった。 検察関係者は「民間人査察や内谷洞私邸事件は、大統領が関連した事件であっても検察がまともに捜査できるということを示せる、検察が信頼を得られるように天が与えた機会だったが、検察はその機会を投げ出してしまった」と語った。

キム・テギュ記者 dokbul@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/571744.html 韓国語原文入力:2013/01/29 08:37
訳J.S(4002字)

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