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[社説]米ミサイル防御体制に組み入っていいのか

登録:2012-10-09 18:02

原文入力:2012/10/07 19:13(1401字)

 韓-米ミサイル協定がこのほど妥結した。その結果、弾道ミサイルの弾頭重量は500㎏のまま維持されたが、射程距離は300kmから800kmに倍以上に延びた。これは朝鮮半島南部から北の全域を攻撃できるということを意味する。射程距離が短ければ弾頭重量を増やすことができる‘トレードオフ’条項により射程距離が550kmである場合、1000㎏の弾頭重量を持つミサイルも保有でき、事実上‘弾頭重量制限の解除’の効果を上げたという評価もできる。また、無人航空機の搭載重量も現行の500㎏から世界最高水準である2500㎏に増えて武装能力も装備するようになった。

 北が南が持たない戦力である核とミサイル開発に熱を上げていて、その核・ミサイル能力を抑制する交渉が遅々と進まない状況で、わが方が交渉と併行してミサイル対応能力を高めるのは避けられない。ミサイル主権を云々せずとも、不意の事態に備えた抑止力を確保するのは当然のことだ。ミサイル協定にだけ限定してみれば私たちの防衛および抑止力が改善されたのは明らかだ。

 だが妥結の前後の流れを見ると非常に憂慮される点がある。我々が米国が主導するミサイル防御(MD)に参加することを条件に、射程距離の延長を勝ち取ったという疑いをぬぐうことはできない。それならば、"枡(射程距離延長)で受け取って樽(MD)で払う(訳注・大を与えて小を受け取るの意味)"と評価するほかはない。国防部は交渉結果を説明して、改正されたミサイル指針をもとにミサイル能力をリアルタイムに発揮できるように、探知-識別-決定-攻撃が即座に可能な一連の体系を構築すると明らかにした。また、わが方へ向かってくるミサイルに対して地上に到達する前に迎撃できる、韓国型ミサイル防御体系(KAMD)を整備すると語った。米国のMD体系に参加すると言わなったにすぎず、ミサイル協定とMD参加がワンセットだということは明らかに認めたわけだ。

 MD参加は、米国と中国・ロシアが争うMD戦いの最前線に我が国を追い込むという点、それによって究極的な目標である統一過程に莫大な障害要因を生むという点から危険なことこの上ない。政府は韓国型のMDは米国主導のMDと違うと説明するが、発射後6~7分ならソウルに到達する北のミサイルをあらかじめ探知して迎撃できる防御装置開発は事実上不可能だという点から説得力がない。またMD参加は莫大な財政支出を招くことも明らかだ。

 このように重大な意味を持った協定を任期末の政府が決着させることからしてナンセンスだ。少なくともMD参加の有無は次の政権が決定することとして保留しておくべきた。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/554639.html 訳T.W