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[HERI レビュー] 大学研究所 自己の位相を求めるならば…専任教授を確保して大学院を活性化しなければ

登録:2012-05-09 07:46

原文入力:2012/05/08 16:12(1857字)

 大学は教育と研究のために存在する。 研究機能は教授個人が担当することもあるが、大学内の研究所が主に遂行する。 大学はすぐにでも市場や政府で使用できる知識の生産よりは国家や社会の知識を集約蓄積し、基礎実態調査や研究作業を通じて社会の重心を取り、また独自の理論を作ることに寄与しなければならない。 大学研究所の役割も同じだ。

 我が国近代大学の歴史が長くはないだけに、大学付設社会科学研究所の役割もやはりまだきちんと定着していない。 特に歴史、文化など人文学研究所の機能に比べ、社会科学研究所の機能はより一層脆弱だ。 年輪のあるいくつかの社会科学研究所はあるが、ほとんどが看板を維持しながら学術雑誌を発刊する程度以上の役割を果たすことはできずにいて、外部受託課題遂行にあっぷあっぷしている実情だ。 大学当局も研究のための財政支援はほとんどしていない。

学術誌発刊や外部サービス実行にあっぷあっぷ

 韓国の社会科学分野の大学研究所が国家の主な政策代案準備のための調査や理論の生産に寄与できない理由は、大学自体が先進国の大学の下請け基地の役割に留まっているためだ。 わが国の大学は米国、ヨーロッパなど先進国で作られた理論を輸入して主に学部生に教育するだけで、自ら学者を生産することができずにいる。 すなわちわが国の大学は学部中心だ。 大学院は学部に付属した機関に過ぎず、研究所活動はより一層副次的だ。

 研究所が機能するためには研究所に専任で従事する研究員と教授が補充されなければならないが、学部に所属するどの教授も自身の既得権を譲り渡して研究所専任として仕事をしようとはしない。 大型研究課題を研究財団が支援する方針に変わると言って博士級研究教授を補充してはいるものの、大学の専任教授が研究教授として配置されなければこのような事情は変わり難い。

 研究基金も不足している。 政府の研究基金は明確に大学研究所が自活力を備えた研究所になるべく誘導しているが、今すぐ政府基金が途絶えても自ら研究活動を遂行できる大学社会科学研究所は殆どない。 その理由は韓国の企業や個人が大学に基金を出す時も、奨学金など主に教育目的で寄付するケースが大部分で、研究活動のために寄付するケースはあまりないためだ。 政界や市民社会も同じだが、当面の効用性は弱いが長期的に国家・社会の発展のために必ず必要な基礎研究や理論研究のために社会的資源を投与しなければならないという考えを殆どもてずにいる。 社会科学分野は政治的に敏感な事案が多いためにより一層そうだ。 これは研究所に専任教授がいないためだが、名声と人的ネットワークがある教授が学校の研究所活動を専門担当しないために体系的に基金を募集する主体がないのが実情だ。

政府依存を抜け出し多様な後援者誘致を

 韓国の大学社会科学研究所が機能するためには、大学がまず西欧理論の下請け基地、伝播媒体の地位から抜け出さなければならない。 そして国内大学院の活性化、すなわち国内で学位を取得した人が安定的に研究および教育活動をできる条件を用意することと大学研究所の活性化は密接に関連した問題だ。 学部と研究所に二重に所属する教授を拡大し、幾人かは最初から研究所教授として自身のアイデンティティを持つようにしなければならない。 研究所教授の採用過程でも学部の権力政治が作動しないようにしなければならない。 研究所教授の補充に国家予算を投じて大学の体質を変えなければならない。

 韓国の大学研究所は政府支援に過度に依存しているが、それでは柔軟で創意的な研究をし難い。 もちろん政府の支援も現在より増やさなければならないが、企業や個人が研究活動に支援できるよう各種誘引装置を用意する必要がある。 後援者の名前を掲げた研究基金をたくさん作り、国家と社会の長期政策代案準備のための調査・研究活動を数十年間持続できるようにしなければならない。 このような条件が用意されれば、今のように教授個々人がシンクタンクの役割をする後進的実情から抜け出すことができる。

キム・ドンチュン聖公会(ソンゴンフェ)大教授 民主主義研究所所長

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/heri_review/531807.html 訳J.S