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[社説]富裕層偏重政策に警笛ならした仏大統領選

登録:2012-05-07 20:45

原文入力:2012/05/07 19:19(1306字)
 一昨日終わったフランス大統領選挙にフランソ・オランド社会党候補が勝利をおさめた。フランスに左派大統領が選出されたのはフランソワ・ミッテラン大統領以来何と17年ぶりだ。第2次大戦以降2度目だ。それだけフランス国民が従来になく切実に現象打破を望んだ証拠であろう。  現政権に対する反発投票は単にフランスだけのことではない。2009年ヨーロッパの金融危機発生以後、ヨーロッパ連合国の中で11人の政権者が交替させられ、ニコラ・サルコジ大統領は最近1年余り間にユーロ通貨国で失権した8件目の指導者だ。フランス大統領選挙と同じ日に実施されたギリシャ総選挙やドイツ地方選挙、セルビア総選挙でも政府与党が次々と敗れたり不振の結果に終わっている。福祉縮小と果てなき競争を核とする新自由主義政策と、ユーロ危機以後いっそう進んだ福祉縮小と緊縮政策が庶民の人生をより一層疲弊させたことに対する反発といえる。
 フランスの政権交替は、同国が国際舞台とヨーロッパ連合に占める政治・経済・外交の割合を考えた時、非常に大きい意味を持つ。直ちに注目される点は‘メルコジ’(ドイツのメルケル総理とドイツのサルコジ大統領の合成語)連合と呼ばれるユーロ通貨国の緊縮政策修正の有無だ。これまではドイツとフランスが緊縮で財政改革をはかって競争力を回復するというユーロ危機の打開策を主導してきたが、これに対してフランスが‘ノー’を選択したためだ。オランド氏はその他にも高率の法人税や財産税賦課、青年と老人雇用企業に対する補助金支給、サルコジ年金の改革の再検討、2017年までの財政赤字解消などを主な公約として掲げた。市場とどれくらい調和を作り出して公約を実現するかが注目される。
 外交政策はおおっぴらに親米主義を標ぼうしたサルコジとは違い、米国を牽制してヨーロッパ中心主義を強調する伝統的なフランス外交に戻ることが確実視される。来る20~21日に米シカゴで開かれるナトー首脳会議と主要国(G8)の首脳会議はオランド氏のフランスの外交路線を占うことができる初舞台になるだろう。
 サルコジ氏は李明博大統領ととても似た形だった。米国式競争と効率化、福祉縮小と規制撤廃を主な内容とする新自由主義を強行に導入して、親企業・親父者政策を押しつけた。対外的にはフランス史上最も親米的な外交・軍事路線を取った。富める者と強者のためのサルコジの5年がフランスで‘レッドカード’をつきつけられた事実は12月の大統領選挙を控えた私たちにも大きな教訓を投げかけている。