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【イ・トンゴル コラム】“囚人のジレンマ”に陥った民主党

登録:2012-04-24 08:30
https://www.hani.co.kr/arti/SERIES/307/529486.html

原文入力:2012.04.22 20:51修正:2012.04.22 20:51(2042字)

 去る4・11総選挙の結果を解釈する方法がこんなに多いとは知らなかった。 筆者のように政治というものがよく分からない非専門家が見れば勝者と敗者ははっきりしており勝敗の要因も比較的明白だが、政治評論家や政治家たちの目から見るとそうでもないようだ。 政権交替を望む多くの国民を失望させておいて、土下座して謝るどころか、甚だしくは「野党が総得票数で勝ったのだから、負けたとは言えない」とまで言うのを見れば、本当にこれ以上言うことはない。 バレーボール競技で3対2で逆転負けしたのに、野球のように総点で勝負を決めれば勝ったのだという主張だ。 総選挙と大統領選挙は別のゲームなのに、与党が大統領選挙の時も野球場にバレーボールの球を持ち出して運動場の中央にネットを張ると思っているようだ。 与党も大統領選挙の時は、グローブはめて野球のバットを持って出てくる。

20代の投票率がどうだとか、首都圏がどうだとか、釜山(プサン)での得票率がどうだとか言って、民主党が12月の大統領選挙では勝つことができるという話をする。 総選挙敗北でしおれてばかりはいられないから、党が心機一転、希望を失わずにもう一度がんばってみようという趣旨での話ならば理解出来る。 敗北の中で希望のもてるメッセージを探してさらに一生懸命やり、誤った部分については反省して同じ失敗は繰り返すまいという覚悟がなければならない。 それでも、これほど支援してくれた国民に対し謝罪し許しを乞うて、これからもっと一生懸命にやりますと約束し、もう一度機会を与えて下さいと、先ずひざまずいて請わなければならない。 徹底した反省と自己刷新が先んじなければならない。

 しかし民主党が反省と自己刷新の気味を見せないのを見ると、このすべての話が各派閥間の政治的利害得失の計算を敷いての話のようで、実にいやな感じだ。 このまま行くならば、筆者が見るには民主党が大統領選挙でも敗北することはほぼ間違いない。 ゲームの理論から見れば民主党が総選挙で負けた理由は“囚人のジレンマ”に陥ったためなのに、総選挙以後も依然として“囚人のジレンマ”から抜け出せずにいるためだ。

 囚人のジレンマというのは、プレーヤーが互いに信頼して協力すれば皆うまくいくのに、相手に被害を与えても自分はもう少し取るとか、相手が私を裏切って私の分を奪っていきはしないだろうかと、互いに不信をもって非協力的に戦えば全部蟻地獄に落ちて抜け出せないということを説明する非協力的ゲームに関する理論だ。

 民主党が先日の総選挙の候補者公認過程で見せた姿は、囚人のジレンマの教科書的事例と言っても過言ではない。 言論報道によれば民主党の公認は、相手が一つ取ったら自分も一つ取らなければならない、誰々には拒否勢力が存在する、この地方区は誰々のものだが事情があって出馬できないから次回までそこは確保しておかなければならない、といった式だったようだ。 地方区が明洞(ミョンドン)の露天商売の場所でもないのに、暴力団が露天商の場所を自分のものだと言って場所代を取るように、この地方区は誰々のものだからその人が指名した人に与えなければならないといった話が、いったいどこで通るのか。 候補者公認過程の絶え間ない雑音の中に、経済民主化、民生、福祉、不法査察など有権者が望む重要な総選挙イシューは全部失踪してしまった。 よほどのことでなければ、国民が用意してやった食卓を民主党が足で蹴飛ばしてしまったといった評価まで出てくることはないはずだ。

 総選挙以後、セヌリ党は国民との約束を守ると言って何かをするふりでもして大統領選挙の整地作業をするが、民主党は派閥間で囚人のジレンマ ゲームに再び陥るようすだ。 セヌリ党は左クリックした反面、民主党は民生政策の内容が不十分で総選挙に負けたわけなのに内部では既に左クリックが激しくて負けたので中道に行かなければならないと言う人々がいるようだ。 ならば中道ででもうまくやって行かれるなり、どうぞ御勝手に。 自分の立地を固めるために庶民は眼中にもないようだ。

 総選挙、大統領選挙にかこつけた派閥間勢力争いのような一発勝負では囚人のジレンマに対する理論的解決方法がない。 すべてのプレーヤーが私心を捨てるなり、でなければすべてのプレーヤーの利害を集めて調整する人がいなければの話だ。 民主党が大統領選挙でまたも国民を裏切らないようにするには、囚人のジレンマを解かなければならない。 だめなら外からでも人を呼ぶべきだ。 新年を迎えて去る1月2日付のこのコラムで、筆者は老婆心から次のように書いた。 「今年一年間、国民の監視が必要なところは執権保守与党ではない」と。

イ・ドンゴル 翰林(ハンリム)大財務金融学科客員教授

原文: 訳A.K