登録:2012.04.01 18:28修正:2012.04.01 20:58
<写真>チョ・グク ソウル大法学大学院教授(右側)が31日午前ソウル市長執務室でパク・ウォンスン ソウル市長と話している。 二人が手にしている風車は昨年10月の補欠選挙の時‘新しい風を起こしなさい’という意味で支持者がパク・ウォンスン候補の遊説車両に付けてくれたものだ。 イ・ジョンア記者leej@hani.co.kr
“ソウル市、年間3兆の購買力…青年・中小企業の製品買い社会革新を”
この前のソウル市長補欠選挙の時、パク・ウォンスン候補を支持してメント団として活動した。 社会関係網サービス(SNS)で支援するのはもちろんだが、生まれて初めて街頭遊説で演説までした。 当選以後、私の選択が正しかったのか直に確認したいと思い、市民運動家からかなりの国家規模に相当する大韓民国首都の行政首長に変身したパク・ウォンスン市長と3月31日の朝、市長室で会った。市長室の壁には市民の希望が書かれたたくさんの紙がいっぱいに貼ってあった。 革新の精神は依然青々としていて、ユーモアの技量は増進したようでうれしかった。 チョ・グクソウル大法学専門大学院教授、ツイッター@patriamea
“掘りたい誘惑を強く感じたけれども掘ることはできなかった。(笑い) 就任初期は朝から夕方までトイレに行く時間もないほど面談・報告・インタビューの日程が続いた。これではいけないと思い、毎週水曜日は一日中空けている。 新しい構想と企画をするためだ。”
-市民運動家として活動する時“過労死”が夢だと冗談まじりで話したことがあるが、その夢が半分ぐらいでも実現されたら公務員たちの‘休む権利’は危うくなる。
“そんなことを言ったら大変なことになる。(笑い) すでに市の公務員たちは仕事をたくさんしている。 平均退勤時間が夜9時だ。 私が休日にもずっと出てきて仕事をし会議をすれば室長局長も出てこなければならない。 そしたらその下にいる職員は休むことが出来ますか。 夜勤をしたい誘惑を抑えて外部の日程があっても晩の9時10時には退勤している。 法廷休暇も守ろうとしている。 おかげでドラマ<太陽を抱いた月>を最後まで見ることができた。(笑い) ”
-私は一回も見られなかったのに、、、 市民運動家から市長に変身すればドラマを見る時間ができるんですね。(笑い) 不法捕獲されてソウル大公園でショー公演をしていた南方大イルカ「チェドリ」を済州(チェジュ)のクロムビ沖に放してやるべきだという発言で“ポピュリズム政治ショー”という攻撃を受けました。 弁護士として活動していた1994年大邱(テグ)地方弁護士会が出した<公平と正義> 9集に発表した論文「動物権の展開と韓国人の動物認識」の問題意識が表出したように思われましたが。
“ある人がチョ・グク教授を見て「研究はやらずに政治運動ばかりやっている」と非難したけれども、地方弁護士会の論文までちゃんと見てるようですね。(笑い) 1991年英国ロンドン政経大(LSE)に留学した時、動物保護運動に強い印象を受けた。 当時韓国では人の権利もまともに確保できなくて大変だった時代だったが英国では動物の権利が大きい話題だった。 動物権運動の先駆者であるピーターシンガーの本を読むなどその時から動物権に関心を持った。 単に「チェドリ」を放してやるという問題だけでなく人と動物の関係、人と自然の関係、動物園の機能などについて新しいビジョンが必要だと見る。”
-マハトマ・ガンジーは“一つの国の偉大性と道徳性は動物を扱う態度で判断することができる”と説いたことがあります。 外国では動物園廃止運動もあるが、それほどではないとしても動物園の再構成は必要ではないか?
“動物園の新しいビジョンに対して梨花(イファ)女子大チェ・ジェチョン教授などと論議している。 私は「動
物園は必要ない」「動物園の動物をみな自然に帰さなければならない」とは考えない。 動物をつかまえてきてオリに入れ人に見せる役割を越えて、人と動物の交互作用を強調する新しい役割が必要だ。”
購買力を活用し雇用等創出
政府・企業運営の新しいモデルになるだろう
正規職転換を増やす企業に
納品時インセンティブ制検討
-ソウル市長はソウル市立大の運営委員長(私立大の理事長に当たる)だ。 昨年ソウル市長選挙の時の公約だったソウル市立大半額授業料はどの段階に来ているか?
“今年市の予算で182億ウォンを支援して市立大の授業料が102万ウォンになった。 本来市立大授業料が他の私立大の半分だが、さらに半分になったのだ。 その上授業料が下がる一方で奨学金は多くなったので、市立大学生の半分は事実上無償で学校に通っている。”
-半額授業料のために支援された予算は税金だ。 それだけの恩恵を受けるだけに市立大学生の選抜や学校行政において‘公的マインド’が強化されなければならない。 教科課程にも社会奉仕の単位義務化、公益と人権重視プログラムインストールなどが必要ではないか?
“同感だ。 総長も同じ考えを持っていることを確認した。 市立大と大学構成員の公的責任、社会的責任を高める方向に行くだろう。 今後市立大がスクスク育つことになるが、チョ教授も合流したらどうか? (笑い) ”
-半額授業料の影響かもしれないが、他の大学と違い市立大学生の今回の総選挙不在者投票申請がたくさん増えた。 2593人が不在者投票を申請して2010年の地方選挙の時より18%増えた。
“過去に市民が投票場に出て行かない理由は「投票しても何が変わるというんだ」というあきらめのためだった。 自分が投票すれば変化が生まれるという信頼を持つようになることが重要だ。”
-非正規職問題が日増しに深刻化しているなかで最近ソウル市がまず1054人を正規職に切り替えることにした。 他の公共部門や民間でも非正規職の正規職化を拡散させるようにソウル市が寄与する構想があるか?
“非正規職の正規職化をどうしたらいいかと考えた時「果たして可能だろうか」という疑問があった。 ところがソウル市が実際にやってみると思ったより少ない予算で実現することができた。 1054人は第1段階で、下半期に第2段階としてソウル市庁に勤める残りの非正規職を選別して正規職に追加切り替えする予定だ。 ソウル市が年に数兆ウォンくらいの各種物品とサービスを購入するが、ガイドラインを作ってソウル市に物品を納品しようとする民間企業体のうち非正規職の正規職化に努力する企業にインセンティブを与える方案を検討するつもりだ。”
無償保育まともに施行するなら
地方自治体に付加価値税20%委譲すべき
無償給食も農村直購買など
地域との共生摸索が必要
-ソウル市は年間3兆ウォンの購買力がある。 これをどこにどのように使うかが重要なようだ。
“ソウル市は「購買力を通しての社会革新」を追求する。 過去のように儀礼的に大企業製品を購入するのではなく中小企業、社会脆弱階層、青年創業企業、ベンチャー企業などの製品を随意契約で買うということだ。 もちろん品質が保障されなければならない。 大企業と違いこちらには労働集約的企業が多くて雇用創出効果も期待することができる。”
-半額授業料や労働政策などソウル市の政策が他の地方自治体、中央政府、民間企業などに拡散すると良いと思います。
“もちろんだ。 ソウル市政が国政運営の新しいモデルになることができるように努力する。 実際、ソウル市はほとんど国水準だ。 ソウル市は人口面でニュージーランド、スウェーデン、フィンランド、デンマークより大きい。”
-だが財政問題がある。 ソウル市は他の地方自治体に比較すれば財政自立度が高いが依然として財政赤字が大きい。
“昨年私が就任する時ソウル市の借金が21兆ウォン程度だった。 前任者の放漫な財政運用の結果だった。 それ以後2兆ウォンほど減って現在19兆ウォン程度だが、来年から借金を本格的に減らすつもりだ。 まず私から、業務推進費を20%ほど減らして年に9200万ウォンを削減した。 市長儀典車両を既存の3台(乗用車2、乗合車1)から2台(乗用車1、乗合車1)に減らした。 コ・ゴン前市長の時借金が9兆ウォンほどだったが、その程度の規模ならば管理可能だ。”
-去る29日全国市道知事が声をそろえて幼児無償保育に対する中央政府の追加財政支援を要請したが。
“無償保育拡大でソウル市は今年8000億ウォンを投資する。 中央政府が0~2才無償保育を発表したのは良いことなのだが、ソウル市はその財源の80%を負担しなければならない。 他の地方政府は50%ほどの負担なのにそれでも財政が危うくなるほどだ。 これを解決するためには付加価値税の地方委譲を拡大しなければならない。 1995年地方自治制施行以後1700件余りの国家事務が地方に委譲されたが、付加価値税は5%だけを地方税に回している。 中央政府が地方政府を破産させようと決心したのではないかという不満が出て来ざるを得ない。 中央政府と与党の手柄にしておいて、地方政府には負担だけ与えるのだから不満が多い。 付加価値税は地域で行なわれる経済活動に対する税金なのだから地方自治体帰属率を20%まで高めなければならない。 これは地方分権のための経済的土台だ。”
-前任市長たちはソウルだけを大切にする市長だった。 露骨に地域均衡発展に反対することもあった。 ソウル市長はソウル市の行政首長だが同時に国全体の行方を考えなければならないのではないか?
“ソウル市長だから当然ソウル市民の権利を擁護しなければならないが、都市と農村直取引活性化、農村生産品購買を制度化する‘農夫市場’開設、学校給食用契約栽培を通しての農村支援などで地域との共生を模索すべきだ。 無償給食のための農村直購買はすでに市の農水産物公社に指示した。 ソウルに金と人がみな集中したら長期的にはソウルの発展に問題が生ずる。”
-小型住宅拡大などソウル市住宅政策に対し「パク・ウォンスン市長就任以降、江南(カンナム)再建築2兆ウォンが消えてしまった」という保守言論の報道など江南(カンナム)再建築をめぐる論議についてはどう考えているか。「パク・ウォンスンは江南には神経を使わない」と指摘する人もいる。
“チョ教授が‘江南(カンナム)左派’の象徴でしたね。(笑い) 私も93年から江南に住んでいる。 市長として当然江南(カンナム)発展のために努力するつもりだ。 ただし江北(カンブク)が今まであまりにも遅れていたし差別を受けてきたので、均衡発展が必要だ。 江南(カンナム)の老朽化した小型坪数アパート団地は再建築されなければならない。 ただし小型坪数の比率をどの程度にするのかはさらに議論しなければならない。 現在も小型坪数なのに、それを大型坪数だけで再建築するのは私たちの社会の人口学的変化に照応する開発ではない。”
-主な市政目標の一つとして「2014年までに原子力発電所一つを減らす政策」というのを発表したことがある。 「エネルギー消費都市からエネルギー生産都市へ向かう」という今回の目標が注目をあびている。
“大韓民国で最もエネルギーを多く使うソウルが原子力発電所1基に相当する電力量を減らしてみようということだ。 ドイツの「生態首都」と呼ばれるフライブルクは太陽エネルギーなど多様な代案エネルギーと再生エネルギーを使っている。 英国トットネスは「転換都市」を自任する。 石油や石炭のような化石燃料依存都市から抜け出す社会に向かおうという転換期的な絵を描いてこれを実践する都市だ。 そのために何百ページにも及ぶ ガイドラインがあって公共と家庭が共に参加している。 現在ソウル市の建物の屋根には何もないが、今後都市菜園か太陽光発電施設か、この二つのうち一つをソウルのすべての屋根の上に作るというのが私の夢だ。 去る2月に日本を訪問した時見ると、日本では昨年福島原子力発電所の事故以後、原子力発電所全53基中51基の稼動を中断していた。 大災難を教訓にして私たちも原子力発電所のない国に向かって一歩を踏み出さなければならない。 今日(31日)の晩「地球消灯行事 」の一環としてソウルの公共機関の照明と街灯などを消す。 今後このような行事の時には、星を見る運動とか電灯持ってソウルを散歩する集いなどを準備してみようと思う。”
ソウルの全家屋の屋根の上に
太陽光発電施設を作るのが夢
市立大、半額授業料の影響で
不在者投票申し込み18%増加
-都市で星を鑑賞することができればいいと思う。だが保守言論が、その時間帯に犯罪率が増加すると言いはしないだろうか? (笑い)
“出産率も高まりそうだけど。(笑い)”
-ソウル市が昨年11月中央政府に韓-米自由貿易協定(FTA)批准案処理の争点である投資家-国家訴訟制度(ISD)条項の再検討必要性等を含む意見書を出した。 去る3月15日韓-米自由貿易協定が発効したが、ソウル市政に及ぼす影響について点検したか?
“昨年12月から1月下旬まで7138件の自治法規(市535件、自治区6603件)を全数調査してから専門家に諮問して助言を受けた。 ソウル市と区の自治区条例など31件の自治法規が韓-米FTAと合致しないかまたは合致しない恐れがあると判断した。 特に憂慮されるのは、路地商圏保護のために国会が作った企業型スーパーマーケット規制法案である流通産業発展法や市と自治区の関連条例が無力化される恐れがあるという点だ。 社会的企業に対する特別優先購買も無力化される可能性がある。”
-清渓川(チョンゲチョン)の再復元を決定した。 清渓川市民委員会は活動を始めたか?
“去る23日最初の会議を始めた。 清渓川再復元は全部剥がして新しく作ろうというのではない。 イ・ミョンバク前市長がした復元では歴史的生態的観点が無視された。 これを反映してまともに復元しなければならない。 急ぐつもりはない。 例えばドイツのケルン大聖堂は造るのに500年かかったしスペインのバルセロナのガウディ聖堂はまだ工事中だ。 政治的目的のために急いだ結果犯した失敗を繰り返してはいけない。 完工をあえて私の任期中にする必要がどこにあるか。”
-民主化記念事業会と人権団体が過去の安全企画部建物である南山(ナムサン)ユースホステルなどを民主化記念物として保存しようと要求しているが。
“南山(ナムサン)にあるソウル市都市安全本部と公園緑地局などの建物の地下に安全企画部の拷問室があった。 ソウル市庁舎空間が足りないので幾つもの建物を民主化記念物にすることは難しい。 ソウル市新庁舎完工後に論議して決めるすもりだ。”
-米国ボストンには歴史的名所を連結する‘フリーダム トレール’が有名だ。 友人の紹介で小説家イ・テジュン氏の生家を改造した城北洞(ソンブクトン)の「壽硯山房」という韓国式家屋の茶房に行ってみたことがある。ここも含めて有名な文人の生家トレールはどうだろうか。 王宮中心の観光の他に人々の多様な指向と好みによりソウルを見て回れると良いと思う。
“現在も一部そのようなトレールがあるが、市民や外国観光客が歩いても興味深くソウルを吟味できるようにしたい。 例えば世宗大王(セジョンデワン)が生まれた玉仁洞(オギンドン)西村(ソチョン)から内需洞(ネスドン)のチュ・シギョン(周時経)先生の生家の跡、そして光化門(クァンファムン)広場の世宗大王像まで見て回る‘ハングル トレール’はどうか。”
-市長に就任して5ケ月になったが、もう一度覚悟を聞きたい。
“私の線で実現できることは私の喉元に刃物が入ってきても電光石火のように決めて確実に押し進める。 同時に中長期的議論を経なければならないことは絶対焦ることなく推進する。”
-昨年10月ソウル市長補欠選挙のとき野党勢力単一候補で当選した。 今回の総選挙でも野党勢力連帯が作られた。 所感はどうか?
“非常にうれしい。 全国的な野党勢力連帯が成し遂げられたことは天佑神助だ。 民主統合党と統合進歩党双方の決断と犠牲なしでは不可能だった。 合意が成り立つ前ハン・ミョンスク代表に「これをやらなければ私は離党します」と冗談半分本気半分で言ったこともあった。 野党勢力連帯をしなかったらもたらされる災いを避けることができたという点と有権者に希望を与えたという点で、両党に敬意を表します。”
整理クォン・ヒョクチョル記者nura@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/526180.html 訳A.K