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[チョン・ヨンジュ コラム] 放送残酷史

登録:2012-03-05 07:21

原文入力:2012/03/04 19:26(1908字)

←チョン・ヨンジュ 言論人

 先月23日、最高裁は私に対する李明博大統領の<韓国放送>(KBS)社長解任措置が「裁量権を逸脱、乱用した違法なものでありこれを取り消しなさい」という1審と2審の判決を最終確定した。 解任されて3年半ぶりのことだ。 この判決で法を犯した直接当事者であり解任行為の最終責任者は今回の行政訴訟の被告人李明博大統領であることが法によって確認された。 そして解任が違法としたために、私の解任以後の韓国放送は‘不法体制’であるということだ。

 最高裁確定判決以後、最も多く受けた質問は「韓国放送に戻れるか」とのことだった。 任期がすでに終わっているため不可能ではないかという‘現実的限界’を多く話した。 私の答は簡単だった。 判決内容が、解任は違法なので取り消せということであり、そのまま単純に文字どおり解任を‘取り消し’て原状回復させれば良いことだと。

 解任を取り消さなければ、李明博大統領の‘違法行為’と韓国放送の‘不法体制’はそのまま持続する。 法を遵守すると宣誓した大統領が違法状態を継続させ、一国の公営放送が不法体制を持続するのは正常な社会では有り得ないことだ。 ところでこういう異常な事態が今21世紀の大明天地で起きている。さて、私の解任の件だけだろうか。

 放送界だけを見よう。乱闘場だ。 去る4年間、放送会社でどんなことがあったのか、今<文化放送>(MBC)と韓国放送(KBS)で起きているストライキと製作拒否事態が生き生きと見せている。 ニュースは言うまでもなく。教養と芸能娯楽プログラムまで政権広報に熱を上げることが茶飯事で、政権の気分を不快にさせる記事とプログラムは完全になくしたり縮小することが日常的にあったと一線の記者とディレクターが告白している。

 二ヵ月目に突入した文化放送のストライキに先立ち、記者たちの製作拒否を率いたパク・ソンホ記者会長はこの間の文化放送ニュースを「軍事政権時の水準」と評価し「今回の戦いはニュースの基本を行い、正常化するための条件のための戦い」と話した。記者ならば当然そうしなければならない‘基本’のために戦い始めた彼を「大きな家へ呼ばれて向こう脛を蹴られた」という嘲弄を受けたキム・ジェチョル社長が最近解職させた。

 「内谷洞(ネゴクトン)私邸 縮小報道、ソウル市長選挙不公正報道、4大河川など現政権の主要失策に対する批判無視など数え上げることすら難しい公正性侵害論難があり、その結果MBCの信頼度は顕著に低下した。」 文化放送入社20年以上の社員が発表した声明書の一部だ。

 製作拒否とストライキの炎が広がっている韓国放送からも同じような羞恥と憤怒の声が聞こえる。ファン・ドンジン韓国放送記者協会会長は「(上層部ラインで)政権広報性アイテムを発注したのでやむを得ず製作することもあった。 去る4年間、羞恥まみれで過ごした」と話した。3月2日0時を期して製作拒否に入った韓国放送記者たちは、このような恥ずかしさで自らを叱責しながら‘国民に差し上げる反省の手紙’を通じてこのように語った。 「集会現場では取材を拒否され、さらに暴行にあったりもしました。 みじめで眠れずにいます。」「国民に頭を下げて告白します。‘恥ずかしかったです。 反省します。’そして誓います。 ‘KBSニュースを必ず正します。’」

 去る4年の経験や今なされている局面を見ればすでに多くの人々が体験してきた苦難に加えて、今後さらに解職、停職、減給、島流し発令があることは火を見るより明らかだ。 朴正熙維新時期に起きた75年<東亜日報>と<朝鮮日報>の大量解職、全斗煥の新軍部によって強行された80年言論人大虐殺が言論残酷史の終わりだと思ったが、李明博政権になってその苛酷な悪夢がよみがえっている。

 世の中がこのように狂っていっている。 この異常な社会、狂った社会をそれでも本来の席に戻しておくために、まず急迫していることが今の執権勢力を懲らしめ交替させることだ。ところで今、野党圏は基本と常識が通じる正常の社会に戻さなければならないという単純ながらも切迫した仕事をやり遂げる準備ができていない。 ‘政治的計算’などの欲を捨て、しっかりしなければ何より国民を恐れる心がなければ一発で失ってしまう。それが民心であり、天の心だ。

チョン・ヨンジュ言論人

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/521868.html 訳J.S