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[ チョン・ヨンジュ コラム ] 針鼠がネズミの穴に入った格好

登録:2012-01-18 08:12

原文入力:2012/01/16 11:24 (2053字)

死ぬほど殴ったが死ななかったので「お祝い申し上げる」?
だけど死ぬほど殴ったことに対しては責任負えない?

←チョン・ヨンジュ 言論人

 蝟入鼠宮、「針鼠がネズミの穴に入った格好」だ。 針鼠がネズミを取って食べようとしてネズミの穴に入ったはよかったが、体中いっぱいに生えたあのとがった針が穴の中で引っかかってしまって引くことも出来ず進むことも出来ず立ち往生してついには死ぬことになる状態を意味する。 元暁大師が出家修行者のために著した<発心実行章>に出てくる言葉だ。 最近の世の中の動きと実に絶妙にも合っている。 貪欲、腐敗、傲慢、独善、権力耽溺、権力乱用…この政権の人々のからだに生えた針鼠の針と彼らの運命だ。

まず朝鮮・中央・東亜の総合編成放送が、ほかならぬ「蝟入鼠宮」の姿だ。 あらゆる反則と特典、不公正を通じて誕生した朝鮮・中央・東亜放送が“死の沼”である0.3%視聴率に陥ってもがいている姿が、とりもなおざず「蝟入鼠宮」の姿ではないか。 開局1ヶ月にもならずに途中下車してしまった番組もあれば、再放送ばかりしている番組も相当な数に上る。 広告主が金をかけて広告をしなければならない理由をまったく見出せない放送だ。

 広告主が広告を出したいと思う番組はこういうものだ。まず、視聴率が15%以上になる大当たりの番組。第二に、主な視聴者層が購買力の最も高い20代30代の若年層である番組。主な視聴者層が50代以上である番組は視聴率が少々高くても広告主が広告をあまり出さない。 第三に、自社の広告の出てくる番組の前後にも視聴率がけっこう良い番組が布陣したそのような編成。 それでこそチャンネルが他に移らないので広告効果が高い。

 ところが現在、朝鮮・中央・東亜の総合編成は目をこすって見ても広告主が好むようなタネがない。視聴率は“愛国歌視聴率”とひやかされている0.3%台、視聴者層の80%は50代以上で、編成はこれを編成だと掲げることすら恥ずかしいほどだ。 この程度では広告料の見積もりをすることさえ容易ではない。 ただ算術的にだけ言えば0.3%の視聴率とか地上波の20分の1程度が合うわけだが、広告効果を考えるならばお金のかかる広告はしないのが市場原理に合った選択だ。 保守政権延長という政治的貪欲、略奪的広告営業など全身に針がいっぱい生えている朝鮮・中央・東亜の総合編成は「蝟入鼠宮」の境遇になってしまった。

 「蝟入鼠宮」の境遇を見せてくれる事例はこれ意外にもたくさんある。 国家の権力を共同善のためにではなく私的利益と貪欲のために乱用し、その結果、腐敗、不正、権力乱用の針鼠になってしまったといったことが今無数に発生している。 洪水のようにあふれている。

 この中には私と個人的に関係があるものもある。 去る12日大法院で無罪確定判決が下された私の“背任事件”がそれだ。 私を捜査して起訴した検事たち(イ・キオク捜査検査、パク・ウンソク現大邱(テグ)地検2次長、チェ・キョイル現ソウル中央地検長、ミョン・ドンソン当時ソウル地検長、イム・チェジン当時検察総長)は、権力乱用のとがった針でもって私の人生と人格を無惨に踏みにじった。 懺悔も、謝罪も、責任を負いもしない。 国民的悟りと抵抗で検察改革がなされた暁には、彼らも「蝟入鼠宮」の境遇から抜け出すことができないはずだ。
私の強制解任と関連して実質的な責任があるチェ・シジュン放送通信委員長は、実に多くの針を有しているようだ。 特に傲慢と独善の毒針が目立ってみられる。 だから国民をも見くびる。 大法院で無罪判決が下されれば責任を負うと国会で二回も公言しておきながら、何日か前に国会で白を切ってみせた。 申し訳なくはあるが、責任は負えないという式の話だった。 「政治的に、人間的に申し訳ないと考える。 司法府の結論に対してはお祝い申し上げる。」 それと共に「責任を負うという話はしたが、それは辞任を意味するものではない」と言った。 その言葉を聞いてあるインターネットユーザーがこんなことを言った。「死ぬほど殴って痛めつけたが死なずに息を吹き返したか。 すまなかった。 そして死ななかったからお祝い申し上げる。 ところで死ぬほど殴ったことに対しては責任負えない。 そういう話じゃないか」と。

 こういった発言を国会で公開的に行なった。 そんなことが言えるとは、どんなに国民を見くびっていることか。 「私がやってみたから分かるんだが…」という傲慢と独善の大統領のメントらしい姿だ。 彼もまた、そしてこの政権もまた、「蝟入鼠宮」の運命を避ける道はなさそうだ。

チョン・ヨンジュ 言論人

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/514806.html 訳A.K