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"党のシンボルとして‘緑色価値の旗を掲げたチョン・テイル’を指向"

登録:2012-01-16 10:14

原文入力:2012/01/15 19:52(6214字)

ハンギョレが会った人:ホン・セファ進歩新党新任代表インタビュー/イ・インウ企画委員 iwlee21@hani.co.kr

←ホン・セファ代表は随行秘書という権威的な文化が合わなくて主に公共交通を利用して自動車も直接運転する。 30代未婚である息子と娘はフランスに残ったし、妻と二人で京畿(キョンギ)高陽市(コヤンシ)一山に暮らす。 ホン代表の夫人は直膓癌の手術を受け回復中だ。 進歩新党代表は活動費だけがあり一定額の給料はない。 イ・ジョンア記者 leej@hani.co.kr



生態主義-社会主義 積極連帯を夢見る
自由主義の限界の時、代案の役割を果たす

 民主労働党との合党を拒否した進歩新党は、昨年11月25日ホン・セファ(65)氏を党代表に選出した。 議席の一つもなく‘社会主義的理念’を指向するマイナー政党の代表が現実政治で占める比重が大きいとは言えない。 しかし著名な言論人ホン・セファの‘登板’だけは意外だった。 進歩陣営の代表的論客だったが直接的な政治活動とは一定の距離をおいてきた彼であった。 知人たちさえ「余計な傷を受けるだけ」として引き止めた道をあえて選択したのはそれなりに切迫した事情があった。「きちんとした進歩政党の建設という夢が水の泡になるかも知れない状況を黙って見てばかりはいられなかった。」そして彼は党員たちに訴えた。「労働する人々が主体になって、彼らの声を入れて夢を実現する政党、今日とは違った未来を先取する政党を建設するのに進歩新党が一粒の麦になろう」と。 進歩新党は党員がわずか1万4000人余に過ぎない。 保守政党らが見るに‘一握り’にもならないこの数字は彼と彼の党が進まなければならない道がどれほど遠く険しい道かを無言で雄弁に語る。

-党代表を受け持ってみてどうか?

"依然として超現実的な状況に置かれた感じで、誰かが代表と呼んでも、自分のことだという気がしない。党の影響力も、財政状況も劣悪だ。 <ハンギョレ>にいた時も感じたが、行ってみると進歩政党に対する言論の冷遇をより一層痛感する。 時には濃い孤独に陥ったりもする。"

 ホン代表はフランス亡命時期に書いた<私はパリのタクシー運転手>で大衆的な名声を得た。 帰国(2002年)してからは昨年までハンギョレ新聞の人気コラムニストであり大衆運動家であった。 彼のコラムは韓国社会で社会主義的価値または、理念の実践を追求する最も明確な文の一つであった。 彼は政党加入を事実上許さない言論風土の中で進歩政党党員の身分に最後まで固執したし、引退する瞬間まで労働組合の平組合員であることを誇った人だ。 そのような彼をある人々はロマンチック イデオロギーに、また別のある人々は原理主義者に分類した。

-直接進歩政党の前面に立つとは思わなかった。そうするだけの理由があったか?

"私はただ文を書く人として後ろの席で党を支援する平党員の役割を果たそうとしていた。 ところが党を率いてきた方が皆党を去る事態が起きた。 私にとって進歩新党は、そして党員たちは非常に大切な歴史的意味を持っている。 党の招きに応えないわけにはいかなかったが、そこには私自身の自尊心に由来する反応も含まれている。"

-民主労働党との合党案が党大会で否決されたために党の合同を推進したノ・フェチャン、シム・サンジョン前代表らが離党して統合進歩党に合流した。 合党派との見解の違いは何だったか?

 "進歩政党のアイデンティティ、すなわち自身が誰で何を語っているのか、何と戦わなければならず、どんな世の中を作らなければならないか、この問いの失踪あるいは失敗の結果だったと見る。 合党を主張した方々は初めは民主労働党が国民参与党と合わされば進歩政治全体が右傾化される危険があるからとし進歩政党どうしが固まるべきだと言った。 ところが昨年9月4日の党大会で統合案が否決されるや党から出て行き参与党を含む3者ワンショット統合を行った。 ここにどんな論理的一貫性があるのか? 進歩政治の価値を全て選挙に極限された政治工学的算法の中にゴッチャにして入れたのではなかったか。 進歩の美徳の中の一つは待つことと習った。 展望の喪失は待つことの放棄につながる。 道半ばで背を向ける前に誠実な自己告白が後に続かなければならないのではないかという物足りなさが残る。"

-政治工学的な側面も否定できないが、現段階では反ハンナラ党戦線の結集が最優先課題という主張も説得力がなくはない。

“進歩政党の統合が1年もならずして消えることがMBやハンナラ党に対抗する戦線形成の前提条件にはなり得ない。反ハンナラ党戦線は政策を中心にした選挙連帯や連合戦線構築により可能だ。むしろアイデンティティが異なる政党を‘黙って統合’で推し進めることこそが政党政治の責任倫理を放棄することだ。 一例として韓-米自由貿易協定(FTA)批准案通過を無効化させるまでは登院を拒否するという民主統合党が言葉をひっくり返すや一週間も経たずに統合進歩党が登院した。 FTA廃止という中心環が平然と捨てられる状況で連帯が動揺する責任が進歩新党にあるのかと問い直したい。”

-以前のコラムはもちろん今話を聞けばかつての国民参与党側の人々に遺憾が多いようだ。

“遺憾という表現は適切ではない。 参与党は数年前には進歩政党に票を与えれば死票になると言っていた人々だ。 この政党と合わせた党を進歩政党として分立させ、民主統合党との差別性を主張することは非常にぎこちないことだと考える。この‘一つ屋根の三家族’を括るひもだと言われる福祉が、左旋回した民主党の福祉と何が違うかも分からない。 金融資本主義が全面的危機を迎えた時代に、進歩政治の政策は保守や自由主義政党と異なるものでなければならない。”

-とにかく反MB戦線の結集という側面から見れば、進歩新党は孤立の道を選択したと言える。

“ある人は3者統合をあたかも進歩新党内の独自派のせいにするが、私はこれに対し怒っている。 独自派というものがあるとすれば、それはどんな統合かと問うた人であるに過ぎない。 資本が人間を侮蔑する時代に資本主義克服の代案を中心に進歩政党が統合されなければなければならないと話しただけだ。 労働者の半分がすでに非正規化されていて、‘1対99’社会が現実になる状況でさらに左に、さらに低いところに行くべきなのに、右側と妥協しないなら孤立するしかないと言うならば我々は孤立を甘受するだろう。 私は普段からトレランス(寛容)を主張してきた人間だ。 進歩新党は孤立を望んだのではなく強要されたのだ。 進歩政治の夢を放棄した人々によって。”

-ペク・ナクチョン教授のような方は‘2013年体制’を語りながら野党圏が連合政治で総選挙で勝利し大統領選挙で政権交替をした後に新しい政治システム構築に乗り出さなければならないと語ったが?

“2013年体制は保守も進歩も全部が語っている。 個人的に野党圏への政権交替がなされる可能性が高いと見る。 しかし労働者の立場から見ればそのこと自体だけでは根本的な変化にはならない。 良い時期には恩恵授与的福祉の対象に、危険時期には危機管理の対象として存在するだけならば、労働者の立場で変わるものはない。 むしろ粗末なニンジンと苛酷なムチの間で暮らしの不安が加重される時代になる可能性もある。 例えば世界的次元の経済危機が再び押し寄せる時、守旧的保守勢力であるハンナラ党だけが野党という状況が、わが国社会にとって有利だろうか? 決してそうではない。 むしろより危険な側面もある。 場合によっては自由主義主導の危機管理が限界に至った時、ファッショ的状況が到来する可能性もある。 そのような時代に備えることが進歩政治の役割でなければならない。”

-21世紀グローバル経済次元で見る時、一国単位の労働対資本の階級的二分法が依然として有効かという批判がある。

“一方では正しいが、他方では誤った指摘だ。 資本は安価な労働力を求めて移動するので、整理解雇の不可避性を主張したり国内資本を保護しなければならないという論理に一抹の現実性があるとしよう。しかしIMF体制以来、危機と苦痛はそっくり労働者に集中したし、財閥国家体制は強化された。 資本対労働の緊張関係が緩和されたように見える錯覚現象があるが、それは大企業中心の労働組合運動が一定時間妥協主義に流れてきたことに起因する。 だが、大企業事業場の外に視線を向ければ整理解雇と非正規職問題がどれほど深刻か? 韓-米FTA体制以後の労働運動は全面的な方向転換が要求される。 大企業労組中心の組織が非正規職を含む水平的形態に再編されなければならないのはもちろん、あるべき労働者政治勢力化という側面でも‘排他的支持’等、労働者の選択権を制限する慣行は克服されなければならない。”

‘第3労総’等、労組組織の分化状況で
構造変革できなければ労働運動に大きな危機

-民主労総ではない別途の新しい労働者組織の必要性を主張するということか?

“直ちに民主労総の存在理由を否定するものではない。 しかし第3労総が表面化していて、労組組織が分化する状況で過去のような構造を変化させ民主労組陣営の独自要求をきちんと用意しなければ労働運動自体が巨大な危機を迎える恐れがあるという面ではそうだ。 ‘雇用なき社会’に急速に変わり行く現実で、労働領域に問題を限定させない広範な社会的連帯が構築されることはもちろんだ。”

-現在の進歩新党は階級政党か?

“社会主義を綱領として採択していはしないが、あえて言えば‘社会主義以後’の政党を指向すると言うのが正確だろう。”

-ホン代表個人の指向は?

“個人的に私は生態主義と社会主義の積極的連帯の実現としての生態社会主義を指向する。 別の言葉で比喩すれば‘緑色価値の旗を掲げたチョン・テイル’が私の描く党のシンボルだ。”

 進歩新党は総選挙に備えて2月頃に公約など党の政策を整理して出す計画だ。 現在の進歩新党の核心主張は労働者経営権、基本所得制(すべての社会構成員に均等に支給される所得)実施、ソウル大廃止および大学平準化、脱核(原子力発電所廃止),韓-米FTA廃棄などだ。

地方区1~2ヶ所・比例代表3%得票 目標
議会政治-直接民主主義の結合に努力

-進歩新党は労働者の経営権参加を主張するが現実性があるのか?

“今日、労働者より企業の運命により絶対的な影響を受ける人がいるか? 双龍(サンヨン)自動車の場合を見るだけでも充分ではないだろうか? 反面、三星(サムスン)はイ・ゴンヒ氏が何の責任も負わずに経営権を行使しているが、それは何の問題もないのか? 財閥の企業所有権もやはりピーター・ドラッカーの年金基金資本主義論によってすでに根拠がないといわれているではないか。 労働者経営権の非現実性を言う前に、このような質問に答えなければならない。 労働者経営権はかつての社会主義体制の国有化論に進むものとして誤解されてきた側面があるが、ドイツなどヨーロッパでは成功的事例も多くある。 サムスンのように責任を負わない所有・経営構造でもなく、国有化構造でもない、新しいモデルを作ることができ、またそうすべきだ。”

-4月が総選挙だ。主な政党がますます選挙隊形に動いている。 選挙の目標は設定したか?

“目標は議席を取得し院内に進入することだ。 地域選挙で1~2ヶ所、比例代表で総有効得票3%が目標だ。”

-ホン代表も出馬するのか?

“すべての可能性を開けておき熟慮中だ。 同時にこのことだけは必ず話しておきたい。 進歩政治の価値は選挙だけで実現されるものではない。 進歩新党は新しい進歩政党運動を広げていこうとする。 それは議会政治と直接民主主義を結合して中央と地域、暮らしの現場を連結して、その中で党員が、民衆が主人となる政党運動を始めることだ。 今地域に用意されている‘民衆の家’モデルを参考にしようとすることだが、遠からずこれは中央党を‘チョン・テイルの家’にすることで姿を現すだろう。”

 ホン代表はある本の自署で自身の夢を「朽ち果てるまでひげをぼうぼうにはためかす擲弾兵になりたい」と書いた。 白髪の老戦士が銃弾降り注ぐ最前衛で敵陣に向かって手榴弾を投擲する姿。 19世紀末や20世紀始めのイデオロギー戦場にでもありそうな、この壮烈で、内には辺境を流浪した名もない革命家の理想と情熱が砲煙のように隠れている。

 いくらかのナルシシズムを内包した彼の願いは2012年を基点に現実的闘争性を取得した。 ‘永遠の兵士’として司令官の階級章を付け前線で立ち向かう彼の出馬表のタイトルは‘上がりたくない舞台に上がって’であった。 社会主義者ホン・セファの戦争が始まった。

ホン・セファは?

資本主義の矛盾に向かって“犬の糞!”と叫ぶ‘白髪の擲弾病’

 昔、寺小屋の先生が三兄弟に教えながら将来の希望を尋ねた。 一番上の兄が大臣になると言うと、先生はとても満足そうだった。 次兄が将軍になるといった時も同じだった。 男はとにかく抱負が大きくなければ。 末っ子の番になった時、末っ子はしばし考えてこのように答えた。 私は犬の糞が3つあれば十分です。 先生はいぶかしがって理由を尋ねると、私より書を読むことを嫌う長兄が大臣になると言えば一個を食べさせたくて、おくびょう者の次兄が将軍になると叫べばまた一個を食べさせたくて…そして話を躊躇うと先生がいきなり怒った。 それでは最後の一個は? ここまでおっしゃった祖父が尋ねた。 セファ、末っ子が何と話したと思う? 私は答えた。それは寺小屋の先生に食べろと言ったのでしょう。 どうして? 兄たちのでたらめな話を聞いて喜んだからです。 お前の答えが正しい。 ところで、もしお前がその末っ子だとしたら、その話を寺小屋の先生に言えたか? 幼い私はそれでも大声で叫んだ。 すると祖父がおっしゃった。 セファ、今後それを言えなくなれば、三つ目の犬の糞はお前の分だということを忘れるな。

 資本主義の矛盾に向かって躊躇無く‘犬の糞!’と叫ぶ言論人ホン・セファ、‘白髪の擲弾兵’を夢見るホン・セファはこの話の中から生まれたのかも知れない。

△1947年ソウル△京畿中・高、ソウル大外交学科△南民戦(訳注:1976年2月、反維新と民主化・民族解放を目標に結成された南朝鮮民族解放戦線準備委員会)事件でフランスへ亡命△2002年帰国後<ハンギョレ>企画委員、コラムニスト、<ルモンド ディプロマティク>韓国版編集者△著書<私はパリのタクシー運転手> <考えの座標> <セーヌ河は左右を分け、漢江(ハンガン)は南北を分ける> <悪役を引き受けた者の悲しみ>等。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/514809.html 訳J.S