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[社説]いったい誰のための高速鉄道民営化か

登録:2012-01-13 12:15

原文入力:2012/01/12 18:42(1063字)
 政府が高速鉄道(KTX)の運営事業の分割民営化方針を押しつけようとしている。国土海洋部は昨日の朝、大型建設会社など民間業者20社余りを政府の果川(クァチョン)庁舎に招いて高速鉄道運営事業の民間参加計画をテーマに懇談会を開いたという。国民的反対世論にもかかわらず高速鉄道分割民営化を押し切ろうとする国土部の無謀さにただ驚くばかりだ。  国土部は高速鉄道分割民営化を年末の大統領業務報告で突然発表した。2014年まで14兆ウォンに達する国庫を投じてソウル水棲(スソ)~平沢(ピョンテク)と湖南線の高速鉄道の基盤施設を構築した後に水棲発の路線の運営権を民間業者に渡すということだ。このようになれば現在の韓国鉄道公社(コレイル)が受け持っている全国高速鉄道運営サービスが公営と民営の競争体制に変わる。
 民間鉄道運営事業は2015年頃に始まるが、事業者選定と鉄道運営免許発行は今年上半期中に終わらせるというのが国土部の方針だ。高速鉄道分割民営化を李明博政府の任期中に既定化しようとしているようだ。事業者選定後は運行車両の発注と組織構築などで民営化は撤回しにくくなる。
 国土部の高速鉄道分割民営化計画に対しては、市民社会と労働界はもちろん、政界も与野党たがわず反対の声を上げている。‘国民の足’である鉄道の公共性を損ねることが火を見るように明らかなためだ。英国や南米など外国の鉄道民営化の例に照らせば、料金は大きく上がって安全性も落ちていく。収益性が低い赤字路線の廃線などで地域間の交通条件の不均衡も進む可能性が大きい。
 国土部はコレイルの独占による弊害を指摘して民営化の名分として前面に掲げている。借金累積にともなう国民負担の増加、あいつぐ故障と遅延運行によるサービス悪化が深刻というのだ。しかしこれは天につばするようなものだ。借金が増えたのは高速鉄道の建設費用など政府が負担しなければならない‘公共サービス義務金’(PSO)の一部をコレイルに押し付けた結果だ。また昨年からいきなり増えた故障と遅延も無分別な人材縮小と外注サービス化を政府が強制したためだ。
 国土部は高速鉄道の分割民営化を押しつける前にこのような政策の誤りから反省しなければならない。合わせて仁川(インチョン)空港鉄道と龍仁(ヨンイン)軽電鉄などの、いいかげんな需要予測で‘お金を食べるカバ’を誕生させた民間鉄道の失敗例を顧みることも願いたい。
原文:https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/514502.html 訳:T.W