原文入力:2012/01/02 19:16(1046字)
李明博大統領が昨日演説した年頭所感は、主に任期末の国政の‘安定的管理’が強調されたものだった。相次いだ失政で力を失った李大統領の状況を反映したかのように普段のうぬぼれや独善もすごく減った。だが胸に迫る誠実さはいぜんとして感じられない内容だった。謝罪は曖昧だし、省察は不十分で、国政運営の変化の意志は見うけられない。
李大統領は "一年を振り返ってみると国民の皆様に申し訳ないと言わざるをえない" として "私自身と周囲を振り返って、誤った点は正し、より厳格に管理する" と話した。自身と親戚、側近の不祥事に対する謝罪の表明だったが期待にはるかに至らない見せかけだけの謝罪であった。言葉の使い方からして、‘謝る’や‘謝罪’という言葉の代わりに‘申し訳ない’という婉曲的な表現を使っている。内谷洞(ネゴクトン)の私邸問題をはじめとして洪水のように溢れでる各種の権力型の不正疑惑を鑑みればこの程度の表現ですませられると考える発想に驚かされる。
実際、大統領が今謝らなければならない内容は側近の不祥事ぐらいではすまない。むしろ所感では過去4年の失政に対する総体的な謝罪があってこそしかるべきだった。民主主義の後退、人権保護の失墜、民生経済の破綻、南北関係の後退などすべての面での国政の失敗を痛烈に反省し、今からでも国政運営の方法を画期的に変えるという覚悟の表明がなければならなかった。しかし、こういうものはすべて、まったくかなわぬ期待であることが新年演説で再確認された。
年頭所感の題名は‘危機を越えて希望へ’だ。しかし李大統領の演説を聞いて果たして国民のうち何人が希望を感じたか疑問だ。李大統領はこの日も働き口や若者の失業の解決などを約束したが、機会あるたびに広げる大風呂敷に過ぎなかった。‘3%前半の物価抑制’の約束だけでもすでに企画財政部が発表した今年の物価上昇率の予測値3.2%の焼き直しだ。南北関係において天安(チョナン)艦沈没や延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件に言及しないなど北朝鮮を刺激しないようにとする態度を見せたことは肯定的に評価される大きな課題だ。しかし金正日・北朝鮮国防委員長の死亡後の新しく展開させる朝鮮半島情勢に対応して南北関係を主導的に導びこうとする積極的な意思や戦略はうかがえない。 一言で、‘危機’だけあって‘希望’は感じられない年頭所感だ。
原文: 訳:T.W