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尾行・地方発令・家族懐柔…三星 稚拙な労組弾圧

原文入力:2011/09/23 15:45(4046字)
ホ・ジェヒョン記者


‘MJ社員’(問題社員) 一挙手一投足まで‘尾行監視’
労組 "それでも希望…近い将来、組合員数100余人になるだろう"


←ある三星警備員が労組新聞を受け取った職員から新聞をひったくる様子。 写真提供 三星労組.


 #1.去る16日夕6時。京畿道(キョンギド)龍仁市(ヨンインシ)処仁区(チョイング)蒲谷邑(ポゴグプ)エバーランド正門近隣。 三星労働組合(パク・ウォンウ委員長)組合員らと民主労総組合員4人が出退勤するエバーランド労働者たちに三星労組労報(労働組合新聞)を配り始めた。出入口を守っていた警備職員が緊張し始めた。 ついにある警備職員は労報を受け取って退勤するある女子職員に接近し労報を奪った。この女子職員に労報を奪われた理由を尋ねると「分かりません。受け取るなって」と答えた。三星労組員は警備職員らに特別な抗議をしなかった。
 10余分後、突然警察が出動した。近隣ぼ蒲谷地区隊から申告を受けて出動した警察官だった。チョ・某警正は「申告した人は誰ですか」と尋ねた。ところが申告した人が誰かは分からなかった。チョ警正に「なぜ出動したのか」と尋ねると「誰かが乱暴を働いていると申告してきた」と答えた。申告した人はついに現れなかった。労報を配っていた三星労組員はいきなり乱暴を働く人になるところだった。虚偽申告だった。

 #2.夕6時30分。エバーランド正門付近でキャンペーンを行った三星労組員は社員寄宿舎へ出発した。5台の尾行車両が追ってきた。これらの車両は労組員らを寄宿舎前まで追いかけてきた。


 #3.夕7時。三星労組員と民主労総組合員まで合わせて10人余りの人々が寄宿舎前で労働者たちに労報を配り始めた。すると身元を明らかにしない30人余りの警備職員が労組員らを阻んだ。労報の配布を阻むためだった。ある警備職員は職員たちに配った労報を奪いビリビリに破ってしまった。大声が行き交う小競合いが起きた。


"なぜ労報を許可なしに配るのか。"  (警備員)
"会社が労報配布を阻むのは不当労働行為です。" (労組員)
"私有地だから出て行きなさい。" (警備員)
"私は三星職員です。三星労組員が事業場でなぜ労報を配っていなけないのか。" (労組員)
"私有地では許されません。" (警備員)
"三星労働者の皆さん、皆さんも全て社会的弱者です。一緒にやりましょう。" (労組員)
"労組天国、不信地獄みたいだ。" (警備員)


 警察が再び出動した。警察はやはり三星側が「労組員が乱暴を働いている」という申告をしたといった。警察は労組員らを寄宿舎の外側に追い出した。パク・ウォンウ労組委員長(三星エバーランド リゾート事業部主任)が「三星警備職員が不当労働行為をしている」と抗議したが、警察は「不法集会になりうるから出て行きなさい」という言葉だけを繰り返した。


 この日、三星労組は労働者たちに50枚余りの労報も配ることはできなかった。パク・ウォンウ委員長は「去る8月からずっと体験していること」と話した。三星労組は三星エバーランドが不当労働行為をしているとし、チェ・ジュヒョン三星エバーランド代表理事を22日水原労働支庁に告訴した。


 三星労組が7月12日にスタートし二ヶ月を超えて活動を行っているが、会社側から労組活動を制約されてきちんとした交渉もできないなど困難をきたしている。さらに三星エバーランドは事業場内で労報さえも配布できないようにし三星労組と労働者たちとの接触を妨害している。


 <ハンギョレ>は去る16日、労組活動を制約されているという三星労組の連絡を受け現場に行ってみた。三星労組は「会社側が職員たちに労報を配るくことさえ阻んでいる」と訴えたが、現場は彼らの主張どおりであった。


 三星エバーランドは警備職員を動員し労組員らとの接触を実力で阻み、さらには配布された労報を奪うことさえした。三星労組員が「不当労働行為」と抗議してみたが戻ってくる返事は「私有地から出て行け」という言葉だけだった。


 三星のこのような行動は労働組合および労働関係調整法違反と見える。同法は81条4項で‘勤労者が労働組合を組織または運営することを支配したり、それに介入する行為’を不当労働行為と規定している。イ・オピョ労務士は「事業場の中でも外でも労組員は誰でも労組活動ができるのに‘私有地だから出て行け’と要求することは不当労働行為」と説明した。ホン・ヨンピョ民主党議員は「国政監査で労働部傘下機関に徹底した調査と法的措置を取るよう要求する」と明らかにした。


←三星エバーランド警備職員は去る16日、三星労組員が京畿道、龍仁市の三星エバーランド社員寄宿舎前で労組新聞を配布しようとするや体で阻み立った。映像キャプチャー


 こういう雰囲気のために三星労組は去る二月間、三星エバーランド内で職員たちを相手にいかなる説明会も開くことができなかった。労組員は「職員が顔色を見るので私たちと話も交わしにくいと言う」と話した。キム・ヨンテ三星労組員は「私たちが職員たちに会いにエバーランド事業場内に入れば、いつも警備職員らや人事チーム職員が追いかけて来て、私が誰に会うか監視している」として「職員が顔色を伺い対話も出来なくしようとする戦略のようだ」と話した。三星労組は現在、事業場内に労組事務室も用意出来ない状態だ。


 三星エバーランドは今まで労組の団体交渉要請に一度も応じていない。三星労組は去る8月16日、8月29日、9月6日の三回にかけて団体交渉を要請したが三星エバーランドは一度も回答しなかった。これに対して三星エバーランドは「労組が三星エバーランド代表理事とだけ対話しようとしており交渉が開かれないでいる」として「最大限、交渉に応じようと努力している」と弁明した。


 三星には事実上幽霊労組である三星エバーランド労組がある。去る6月23日、突然設立されたこの労組は団体給食事業部のイム・某氏が労組委員長を務めており組合員数は4人と知らされているが現在外出することなく在宅状態だ。いかなる活動もしておらず労組委員長がどこで何をしているのかも知らされていない。


 しかしこの労組は三星エバーランドと6月29日、秘密裏に団体交渉権を獲得した状態だ。この労組が団体協約を締結してしまったために三星労組は三星エバーランド労組の団体協約の効力が維持される2年間は会社側と交渉ができるかが不透明だ。パク・ウォンウ三星労組委員長は「三星エバーランド労組委員長と対話をし、この問題を解決しなければならないが、どこにいるのか確認できない」として、もどかしがった。ただし三星エバーランドは「三星労組との交渉に応じないという立場ではない」と明らかにした。


 三星労組は会社が労組瓦解工作を行っているのではないかと疑っている。三星エバーランドは去る7月18日、チョ・チャンヒ三星労組副委員長を解雇した。7月12日に三星労組がスタートした後、一週間も経たずに起きたことだった。三星エバーランドは「チョ副委員長が2009年6月から最近まで2年余り、協力業者との詳細な取り引き内訳が含まれた経営機密を無断流出させ、役職員4300人余りに関する個人身上情報を外部に持ち出すなど深刻な害社行為をしたため厳重処罰せざるを得なかった」と釈明したが、情況からみて労働組合建設にともなう報復だと三星労組は判断している。


 正体不明の人々が組合員の家族たちに電話して労組脱退圧迫を加えていたりもする。


 三星労組組合員のキム・ヨンテ氏とペク・スンジン氏の家族は、最近正体不明の男から電話を受けた。この男性は家族たちに「労組を脱退させなさい」と注文した。組合員キム・ヨンテ氏は「両親が電話を受けたが(電話をかけた男が)私の大学の先輩だとして‘私が会社にも通わずに毎日デモばかりしている’として‘両親が息子を説得してはどうか’と尋ねた」と語った。パク・ウォンウ委員長は「本人を懐柔してもダメなら家族を懐柔する一種の三星の労組管理マニュアルがあるようだ」と話した。


 釈然としないことは他にもある。三星のある協力業者の労働者は、最近三星労組に加入しようとした。三星労組が協力業所の職員にまで組合員資格を与えているためだ。ところが、この協力業所の労働者は三星労組員に会った翌日、突然地方へ発令を受けた。三星が尾行でもしたのだろうか。実際、三星は労組を作ると疑われるいわゆる‘MJ社員’(問題社員)等に対して一挙手一投足を近い距離から監視する‘尾行監視’をしていると知られている。パク委員長は「私たちと会った直後、その職員に突然発令通知が出たのを見れば‘何か関連があるのではないか’と疑っている」と話した。


 それでも三星労組は希望を持っている。三星労組は現在 全国の事業場を回り労組加入に関心がある職員たちと面談している。パク・ウォンウ委員長は「近い将来、組合員数が100人余りに達すると思う」と明らかにした。現在、三星労組は三星エバーランド リゾート事業部所属職員4人で構成されている。キム・ヨンテ氏は「同僚たちに会ってみれば‘今ではないにしても、まもなく兄さんたちについて行く。簡単に崩れないように頑張って’という話をしてくれる」として「近い将来、状況が良くなるだろう」と話した。三星労組には7月末からの一ヶ月間で200万ウォンの寄付が集まってもいる。


龍仁/文・映像 ホ・ジェヒョン記者 catalunia@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/497618.html 訳J.S