チョ・テヨル外交部長官は早ければ来週、ワシントンを訪問し、マルコ・ルビオ米国務長官と外相会談する案を進めている。しかし、まだ日程すら確定していない状態だ。12・3内乱事態によって対米外交の空白が長期化するという懸念が高まっている。
外交消息筋は4日、チョ長官が来週中にワシントンを訪問し、第2次トランプ政権発足後初めての韓米外相会談を開く案を米国と引き続き調整中だと明らかにした。訪米が確定すれば、チョ長官が来週ワシントンでルビオ国務長官やマイク・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)らに会う可能性がある。ただし、同消息筋は「まだ日付は確定していない状態だ」と伝えた。
外交部は当初、1月末の旧正月連休期間にでもチョ長官が訪米できるよう交渉を進めてきたが、ルビオ長官の南米訪問などで、まだ訪米スケジュールを確定できずにいる。来週中に日程が決まらなければ、韓米外相は14~16日に開かれる年次国際安保フォーラムであるミュンヘン安全保障会議(MSC)で初めて会うことになるとみられる。
日本が7日(現地時間)にドナルド・トランプ大統領と石破茂首相の首脳会談を開催することで合意するなど、第2次トランプ政権の発足を迎えて本格的に対米外交のエンジンをかけていることとは全く異なる様相だ。韓国政府は、チェ・サンモク大統領権限代行兼企画財政部長官とトランプ大統領の首脳間の電話会談日程もまだ確定していない状態だ。2017年の朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾当時、ファン・ギョアン大統領権限代行がトランプ大統領の就任10日目の1月30日に通話会談を行ったことと比べても、「首脳外交の不在」が目立つ。
第2次トランプ政権が発足するやいなや「貿易戦争」が始まり、国際秩序が動揺している状況であり、韓国外交の麻痺状態が長期化することにともなう不安も高まっている。トランプ大統領はひとまずカナダ、メキシコ、中国に対し、10~25%の関税賦課で圧迫し「関税戦争」の砲門を開いたが、メキシコとカナダが不法移民と麻薬取り締まり強化を約束したことを受け、関税賦課を1カ月間猶予した。対米貿易黒字の多い韓国がトランプ大統領の次のターゲットになる可能性が取り沙汰されているため、韓国は米国政府に韓国の立場を説明し対応策を提示する必要がある。
4日午前、政府ソウル庁舎でチョ・テヨル長官とパン・ギソン国務調整室長などが参加した中で開かれた第6回対外経済懸案懇談会で、チェ・サンモク権限代行は「メキシコとカナダに対する関税措置が1カ月間猶予されたが、今回の関税賦課措置と各国の対応がそれに続いた場合、韓国の輸出と経済全般の不確実性が拡大する可能性があり、今後米国の関税措置が拡大する可能性も排除できない状況」だとしたうえで、韓国経済に及ぼす否定的な影響を最小化するため、あらゆる手段を講じて体系的に対応するよう指示した。
対北朝鮮政策と関連しても、韓米間で緻密な調整が必要な状況だ。トランプ大統領が北朝鮮を「核保有国」(nuclear power)と称したことをめぐり、直ちに非核化を明示的に前提しなくても交渉を始められるというシグナルを送ったという分析が出た。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長はひとまず、核武力強化の意志を強調しており、朝米間の探索戦が続いている様相だ。米国家安全保障会議(NSC)のブライアン・ヒューズ報道官が「北朝鮮の完全な非核化」を目指すと明らかにしたが、トランプ大統領が北朝鮮を交渉テーブルに呼び込むため、核軍縮や核凍結など「スモールディール」を進める可能性は依然として高いとみられている。こうした状況で近く開かれると予想される韓米外相会談では、朝米交渉をはじめとするトランプ政権の対北朝鮮政策に韓国の立場が反映されるようにする案が主な議題になるものとみられる。