韓国大統領室は6日、「ロシアに派遣された北朝鮮軍がウクライナ軍と初めて交戦した」というウクライナ政府の公式発表を否定した。
大統領室高官は同日午後、龍山(ヨンサン)の大統領室で記者団に対し、「(北朝鮮軍は)本格的な戦闘は開始していない」とし、「小規模の人員が偵察活動や戦争以外の事前準備のために(動いているうちに)何か事件があったのかは、われわれもまだ確認していない」と述べた。北朝鮮軍偵察チームがウクライナ軍と遭遇し、小規模な銃撃戦が起きた可能性までは排除できないが、中隊や大隊級部隊が動く本格的な戦闘は始まっていないということだ。
これに先立ち、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は5日(現地時間)、ロシアに派遣された北朝鮮軍とウクライナ軍が初めて交戦したと発表した。米紙ニューヨーク・タイムズも米高官の話として「ウクライナの戦場でウクライナ軍と北朝鮮軍の間で交戦が発生し、少なからぬ北朝鮮兵士が死亡したという情報を確認した」と報道した。同紙は「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が北朝鮮軍派遣の見返りとして金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に何を約束したのかは明らかでない」とし、「今のところ、『対価』の証拠は見当たらない」という米当局者の話も伝えた。
韓国大統領室はこの日、北朝鮮軍の戦闘開始報道を否定したが、すでに1万人を超える北朝鮮兵が激戦地のロシア西部クルスク州に移動した事実を米国とウクライナ、韓国政府が確認しており、北朝鮮軍の戦場投入に続くウクライナ軍との交戦は秒読みに入ったものとみられる。韓国政府は、北朝鮮軍の動きに相応する段階的措置として、兵器供与などの検討もあり得るとし、供与が行われる場合、まず防衛用兵器が対象になると発表した。大統領室高官は同日、「我々が注視しているのは、戦闘が始まるかどうかの問題だ」と述べ、戦闘が始まった場合、次の段階に進むことを示唆した。
ただし、供与の具体的な方式と時期は、現在訪韓日程を協議中のウクライナ特使が韓国入りした後に決まるものとみられる。同高官は「特使が派遣されてから、ウクライナが何を必要とするのか、私たちが何を助けるのかについて立場を決めることができるだろう」と述べた。これに先立ち、ゼレンスキー大統領は先月31日、「韓国放送」(KBS)とのインタビューで、「韓国に最も求めるのは防空システム」だと述べた。ウクライナ特使も韓国が保有している155ミリ砲弾と「天弓2」などの先端防空兵器の供与を要請するものとみられる。
政府が北朝鮮軍活動モニタリングのために派遣を検討中の「戦況分析チーム」についても、「国会の同意が必要な事案ではない」という立場を繰り返し示した。大統領室高官は、「国会の同意が必要だ」という野党の指摘について、「特定の目的を持って一時的に送る小規模個人単位の派遣は、国軍の海外派兵業務訓令に基づき、国防長官の政策決定によって可能だ」とし、「部隊単位の派兵は国防部と軍部隊が特定した軍事的目的を持って特定部隊を構成して送ることであり、モニタリングチームは国防部だけでなく、情報機関など該当する省庁で数人のチームを組んで特定した目的を達成してくるという違いがある」と述べた。ただし、「モニタリングチームを送ることはまだ決まったわけではない」と付け加えた。