文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の娘の配偶者だったS氏の「タイ・イースター航空採用特恵疑惑」を捜査している検察が、文前大統領夫妻の口座取引内訳を照会した事実が確認されたことを受け、野党は16日「人間狩り・政治報復捜査」だとして反発した。検察が2020年に(当時野党の)「国民の力」などの告発で始まった捜査を4年近く引き延ばし、「恥をかかせる」方法で世論操作をしているということだ。
ミン・ヒョンベ議員など、文政権当時に大統領府で勤務した「共に民主党」の議員たちはこの日午後、国会疎通館で記者会見を開き、「検察による文前大統領の金融口座照会は明らかな政治報復」だと批判した。彼らは「文前大統領の娘の元配偶者に関する捜査は、検察が4年間もストーカーに近いほど周辺を隈なく調査したにもかかわらず、まだ結論を出せずにいる無理な捜査」だとし、「それでも思い描いた絵に合うパズルが出てこなかったため、今度は前大統領に恥をかかせる方法で世論を操作しようとしている」と主張した。
これに先立ち、全州(チョンジュ)地検刑事3部(ハン・ヨンギュ部長)は、S氏がタイ・イースター航空に採用された2018年7月前後の文前大統領夫妻と娘夫婦の間の金の流れを調べるため、文前大統領と夫人のキム・ジョンスク女史の口座の押収捜索令状を裁判所に請求し、発付されたという。検察は、タイ・イースター航空の設立者であるイ・サンジク元議員が文政権時代の2018年3月に中小企業振興公団の理事長に就任した見返りとして、4カ月後にS氏を特別採用したと疑っている。文前大統領夫妻は娘夫婦に生活費などを送っていたが、S氏のタイ・イースター航空就職後にそれが途絶えたとすれば、イ元議員が娘夫婦の生活費を代わりに負担したとみることができ、文前大統領に対する賄賂罪の適用の可能性が高まるというのが検察の判断だ。
野党は捜査が進められてきた過程と口座照会の時期を特に問題視している。ユン・ゴニョン議員は「検察は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足初期にキム・ジョンスク女史の金融取引を照会した後、1年以上経った今年1月にキム女史人と文前大統領の口座をそれぞれ5~6回調べた」とし、「尹大統領の名誉毀損疑惑と関連し、(政治家やジャーナリストなどに対する)無差別的な通信照会が行われた時期と重なる」と語った。ミン・ヒョンベ議員は「前大統領を何とかして捜査対象にしようとする試みであり、崩れていく権力を守るために人の道に背く方法を用いている」と批判した。