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[現場]ソウルで黒服着た30万人の教員たち「悪質クレーム、他人事じゃない」

登録:2023-09-04 09:10 修正:2023-09-04 09:53
瑞草区の小学校教員の四十九日を前に7度目の集会
2日昼、全国から集まった教員たちがソウル永登浦区の国会前で、瑞草区の教員死亡事件の真相究明および児童虐待関連法の即時改正を求める7度目の集会を行っている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 全国の教員たちが黒い服装をして国会前に集まり「教員を保護せよ」と叫んだ。7月18日にソウル瑞草区(ソチョグ)のある小学校で死亡が発見された教員の四十九日を2日後に控え、7度目の集会だ。

 2日午後、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)の国会議事堂前で運営陣「教育を守りたい人たち」の主導で開催された「50万教員総決起追悼集会」には、主催側の推計で30万人が集まり、亡くなった瑞草区の小学校教員を追悼するとともに教権関連法の改正を要求した。

 国会前の8車線道路から汝矣島(ヨイド)公園の一部まで、すべての車道と歩道が教員たちで埋め尽くされた。集会が始まる20分前から集会区域として届けのあった12区域が埋まった。進行要員たちは汝矣島公園の陰に教員たちを案内した。集会開始後も教員たちが続々と集まって来ていた。

 亡くなった教員の四十九日に当たる今月4日を教員たちが「公教育停止の日」と規定し、年次有給休暇を取得するなどで「迂回ストライキ」を行おうとしていることに対して、教育部が刑事告発などの厳正対応方針を明らかにしていることから、教員たちが大挙結集したと分析される。2日に舞台に立った教員たちも、複数回にわたって迂回ストライキを訴えた。運営陣側はこの日、全国で600台以上のバスを貸し切り、済州道など島しょ地域の教員のために飛行機の支援も行ったと明らかにした。

2日昼、全国から集まった教員たちがソウル永登浦区の国会前で、亡くなった瑞草区の小学校教員を追悼した。人の波は汝矣島公園の内部まで埋め尽くした=キム・ガユン記者//ハンギョレ新聞社

 亡くなった教員の大学院の同期だと明かした教員は舞台上で「安全に教えられる学校環境を作るために、教育庁と教育部は先頭に立ってほしい」、「故人の死の真相究明を徹底してほしい」と訴えた。教職を離れたある発言者は「授業より業務とクレームに追われる現実を訴え続けてきたが、この社会は無視し、問題は腐っていったため、ある者は死に追い込まれ、ある者は現場を離れた」として制度改善を求めた。このような発言に教員たちは歓声を上げたり、涙をぬぐったりした。

 気温が30度前後にまであがったにもかかわらず、教員たちは「児童福祉法即時改正」、「悪性クレーマー強硬対応」と記されたプラカードを掲げて「私たちは教育を守る」、「私たちはあきらめない」、「崖っぷちに立たされた教員たちを保護せよ」などのスローガンを叫んだ。教員たちは帽子と傘で日差しを防ぎつつも、各区域に設けられた電光掲示板から目を離せずにいた。

 教員たちは「他人事ではなく、自分に降りかかってきうる問題」と口をそろえた。京畿道のある小学校5年生の担任を務めるCさん(30)は、「私も悪質なクレームを言われた経験がある。親友は精神科の薬を飲んでいる。瑞草区の小学校だけの話ではない。自分の事であり、隣のクラスの先生、私の友達の事だ」と強調した。

 小学校に通う2人の子どもと共に参加した経歴14年目の教員、Kさん(41)は、「悪質なクレーム問題は古くからの問題。生徒が3人いれば1~2人の割合であるほど。そのたびに学校ではもみ消して、結局は膿(うみ)となってそれが爆発した」、「教育現場が崩壊すれば、結局は平凡な子どもたちが被害を受ける。自分の子どもたちも知っておくべきだと思い、一緒に来た」と話した。

 また、教育部が四十九日に休暇を取った教員たちは懲戒するとの方針を打ち出したことに対し、教員たちは怒りを隠さなかった。大田(テジョン)から1000人あまりの教員と共にやって来たというCさん(28)は、「瑞草区の小学校教員が亡くなって1カ月がたったが、何一つ変わっていない」、「(教育部の方針にも)腹が立ったから参加が増えたようだ」と話した。

 教え子たちが現場で苦しんでいる姿を見て「当然参加すべきだ」と決心したという公州教育大学のハ・ヨサン教授(教育学科)は、「多くの生徒と先生の授業権を保護することが至急求められている」と強調しつつ、法改正を要求する現場の教員たちの発言を後押しした。

 教員たちはこの日、児童福祉法改正と生徒・保護者・教育当局の責務の強化、分離された生徒の教育権の保障、統一された苦情処理システムの開設、教育関連法案・政策推進過程への教員参加の義務付けなどの8つを柱とする政策要求案を発表した。彼らは特に、児童のメンタルヘルスおよび発達に害を及ぼす情緒的虐待行為を禁じる児童福祉法第17条5の改正を要求した。この日の集会には、国会教育委員会に所属する共に民主党のアン・ミンソク、ト・ジョンファン、カン・ミンジョンの各議員も参加した。

2日昼、ソウル永登浦区の国会前で行われた瑞草区教員死亡事件の真相究明および児童虐待関連法の即時改正を求める第7回集会で、死亡した教員の友人である教員の追悼発言に同僚たちがすすり泣いている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1106845.html韓国語原文入力:2023-09-02 15:34
訳D.K

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