日本の岸田文雄首相が7日に訪韓し、最初の日程として国立ソウル顕忠院を訪れました。日本の現職首相が顕忠院を訪れたのは2011年10月の野田佳彦首相以来およそ12年ぶり。岸田首相が献花し焼香する場面で、背広の上着の右襟につけている青いリボンのバッジが目を引きました。3月の韓日首脳会談当時も着用していたバッジです。
「日本人拉致被害者問題」の象徴
日本では、このバッジは長い間未解決のまま残っている「日本人拉致被害者」問題を象徴するものです。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」で作ったもので、北朝鮮に拉致された日本人の釈放と救出を求める意味があります。青には拉致被害者や家族、日本人が、日本と北朝鮮を隔てる海を眺めながら再会を待つという意味が込められているそうです。
菅義偉前首相や安倍晋三元首相もブルーリボンをつけている姿がよく見られました。日本では、政治家にリボンの着用を促すキャンペーンも行われてきました。
拉致被害者問題とは
この問題は1970年代中後半に海辺で日本人が相次いで失踪する事件にさかのぼります。当時は彼らの失踪原因は明らかにされていませんでした。ところが、1987年の大韓航空機爆破事件で、調査の過程で彼らが北朝鮮に拉致された情況が明らかになります。北朝鮮が日本語と日本文化を工作員に教育するため、彼ら拉致したという疑惑が持ち上がりました。
日本は1991年から北朝鮮に拉致問題を提起してきました。日本政府は17人が拉致されたと把握していますが、このうち2002年の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長と小泉純一郎首相の首脳会談を機に、5人が帰国しました。北朝鮮は13人の拉致を認め、送還した5人のほか8人は死亡したとして、この問題はすでに解決済みだと主張しています。しかし、日本政府は拉致された日本人がさらに12人おり、彼らの生死が分からないとみて、北朝鮮と対立してきました。
未解決の日本の過去事件
日本が北朝鮮との関係正常化の前提条件として掲げているものの一つが拉致被害者問題の解決です。岸田首相は2021年10月に就任した初の記者会見で、「拉致被害者問題の解決に向けて、条件なしで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会談する覚悟ができている」と述べました。もちろんブルーリボンをめぐって、日本国内では政治家はリボンをつけるだけで、拉致問題解決の意志がないのではないかという批判もあるそうです。
にもかかわらず、安倍元首相、菅前首相、岸田首相はブルーリボンをつけてきました。同一線上で比較するのは難しいかもしれませんが、日本が加害者の立場である過去の戦争犯罪に対する態度とは全く違うように感じます。