南北の国防長官は2018年9月19日に平壌(ピョンヤン)において、平壌共同宣言の付属合意として「歴史的な板門店(パンムンジョム)宣言の履行のための軍事分野の合意書」(9・19軍事合意)を締結した。合意の中核となるのは、偶発的な武力衝突が全面戦争へと拡大しないよう、南北の境界地域の陸海空に緩衝区域を設定するとともに、敵対行為をやめるというもの。
この合意には、相互の敵対行為の中止▽板門店の共同警備区域(JSA)の非武装化▽非武装地帯内の相互監視警戒所(GP)の試験的撤収▽南北共同の遺骨発掘▽漢江(ハンガン)河口の共同利用などが含まれている。
地上では、南北いずれも軍事境界線(MDL)を基準として南北5キロ幅の緩衝区域内での砲兵射撃と連隊級以上の野外機動訓練を全面的に中止するとした。海上では、東海(トンヘ)と西海(ソヘ)の北方限界線の南北(東海では南の束草(ソクチョ)~北の通川(トンチョン)、西海では南の徳積島(トクチョクト)~北のチョ島(チョド))の緩衝区域内で南北共に艦砲や沿岸砲の砲口・砲身に覆いを設置するとともに砲門を閉鎖しており、艦砲や沿岸砲の射撃と海上機動訓練を中止している。空中では、軍事境界線を中心として機種ごとに飛行禁止区域を設定している。
無人機飛行禁止区域は、東部地域は15キロ、西部地域10キロと設定されている。先月26日の北朝鮮の5機の無人機による首都圏領空の侵犯は、9・19軍事合意に違反している。国防部は、北朝鮮による9・19軍事合意違反はこれまでに計17回あると述べている。
韓国も対応の過程で9・19合意に2回違反している。先月26日の北朝鮮の無人機による侵犯後には、軍事境界線(MDL)以北に無人機を送っており、昨年11月2日に北朝鮮のミサイルが東海の北方限界線を越えた際には、空軍の戦闘機が東海の北方限界線以北の公海上に空対地ミサイルなどを3発発射している。