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梨泰院惨事、高2の2人が死亡…「自分の勉強時間を削って人に教える優しい子だった」

登録:2022-11-01 02:42 修正:2022-11-10 21:49
学校の友人同士4人で梨泰院に遊びに行き惨事に 
夜を明かした父親、衝撃で倒れる 
母親と中3の弟が喪主として霊前を守る 
「政府は何も言わないので遺族が斎場を確保」
梨泰院惨事死亡者合同焼香所が設けられたソウル広場。31日午後、市民の弔問が相次いでいる。カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「あの子は内向的なので外で遊ぶのが好きな方ではないのですが、あの日に限って友達と約束があるって、今回は行かなきゃならないと言って行ったそうです。本当に嘘のようです…」

 31日午後、城南中央病院の斎場で営まれるK君(17)の葬儀で、母方の叔父のAさんは今回のことを「嘘のようだ」と語った。冷たい遺体となって帰ってきたK君の葬儀で遺族たちは、涙目で語りつつも、しばしば途中で言葉が継げなくなった。

 K君と共に梨泰院に行き、一緒に死亡したL君(17)の葬儀が営まれる三育ソウル病院も同様だった。29日夜、ソウルのある高校の2年生のK君とL君は、同じ学校の2人の友人と4人で梨泰院(イテウォン)に行き、惨事にあった。一緒に行った2人の友人は先に家に帰ったが、K君とL君は人波に押しつぶされ、結局家に戻ることはなかった。

 K君の遺族はK君のことを「本当に優しい子」だったと語った。K君の母方の大叔母のJさん(60)は、「もともと礼儀正しくて心の優しい子。高校の近くに長く住んでいたので、地方から来た友人に学校のまわりを案内してあげたり、ある時などは学校の先生が『数学がとても得意で友達に問題の解き方を教えるものだから、自分の勉強ができない』と心配するほど本当にいい子だった。先月中旬に誕生日を迎えたばかりだったのに、こんなことになるなんて」と語った。

 丈夫な息子を亡くした両親は夜を明かし、最後は衝撃で倒れた。K君の父親は倒れた際に舌を噛み、6針縫って現在も入院している。葬儀は母親と共に中学3年生のK君の弟が喪主を務め、霊前を守っている。

 K君の母方の大叔父のチョン・インソンさん(62)は、「梨泰院に行ったというKと連絡が取れないので母親は昨日(30日)、失踪届を出した。母親は一晩中、携帯電話の位置追跡アプリでバッテリーが残り2%になるまでチェックしていた。残された家族が衝撃の中でこれからどうやって生きていくのか、とても暗い気持ち」だと語った。

 三育ソウル病院で取材に応じたL君の母親の友人だという40代のBさんは「L君を6歳の時から見てきたが、いつも母親にとって頼りになる息子だった。一緒に子育てする母親の立場として、どうしてこんなことが起こるのかと思う」と涙声で語った。幼稚園の頃からのL君の友人だというC君(17)は、「小さい頃からのケンカ友達に、こんなことが起きてとても残念だ」と語った。

 遺族たちは、政府の対策の不十分さに不満を示した。K君の大叔父のチョンさんは「昨日、Kの遺体を確認するためにここに来たが、政府からは斎場を取れ、どこで休めという話はなかった。結局は家族がこの斎場を確保し、今日から葬儀を始めた。何の備えもない状況で雷に打たれたようなものだが、公務員たちは体感できる対策も持たずにやって来て座っているだけ」と語った。

 2人の生徒が一度に亡くなったK君らの学校の関係者は「Weeクラス(校内の相談教室)の相談教師と教育当局から派遣される外部の相談士が、生徒たちが衝撃とトラウマから脱することができるよう、2週間にわたって集中的に心理的サポートを行う計画」だと明らかにした。また、生徒たちが亡くなった友人を弔問できるよう、明日は休講とした。

コ・ビョンチャン、ナム・ジヒョン、イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1065098.html韓国語原文入力:2022-10-31 18:20
訳D.K

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