韓国天文研究院は、飛行機に乗った際の宇宙放射線被ばく量を確認できるウェブサービスを開始した。
天文研は5日、独自に開発した宇宙放射線予測モデル「クリーム(KREAM=Korean Radiation Exposure Assessment Model for Aviation Route Dose)」にもとづいて宇宙放射線被ばく量を計算し、それを確認できるウェブサイト(kream.kasi.re.kr)を開設したと発表した。
旅行日と出入国する空港や都市を入力すれば、予定航路の宇宙放射線被ばく量の予測情報を事前に計算できる。また、過去の飛行機を使った旅行時の被ばく量も確認できる。
天文研が開発した「クリーム」は、宇宙放射線の主な構成要素である銀河宇宙線と太陽宇宙線をいずれも考慮して被ばく量を計算する。
ソウル~ニューヨークを6回半往復すれば年間被ばく量に
新たに開設されたクリームのサイトを利用して、6日に大韓航空機に乗って仁川(インチョン)空港からニューヨークまで行った場合に被ばくする放射線量を計算したところ、積算線量は75.2~84.2マイクロシーベルト(μSv)だった。
ちなみに一般人の場合、人工的な年間放射線被ばく量の許容値は1ミリシーベルト(mSv、1mSv=1000μSv)。ソウル~ニューヨークを6回半往復すれば浴びることになる放射線量だ。国土交通部は昨年、乗務員宇宙放射線安全管理規定の被ばく線量限度を「年間6ミリシーベルト」へと厳格化している。
ほとんどの韓国の航空会社は現在、太陽活動によって放たれる太陽宇宙線を考慮しておらず、年間を通じてほとんど変化のない銀河宇宙線のみを考慮した米国モデル(CARI-6M)を用いている。銀河宇宙線は太陽系外の超新星残骸、活動銀河核、中性子星などによって発生する。
しかし実際の被ばく量は、太陽黒点の爆発や「コロナ質量放出」(太陽風の爆発現象)などによって太陽活動が活発になれば大きく増加する。
今は大韓航空の路線のみ可能…段階的に拡大
銀河宇宙線も太陽活動の影響を受ける。11年周期の太陽活動の極大期に近づくと太陽圏の磁場が強くなり、地球に流入する銀河宇宙線は減少する。一方、極小期に近づくと銀河宇宙線は増加する。
天文研は2013年から国立電波研究院などの関連機関と共に、太陽の活動変化を反映するモデルの開発を行ってきた。
天文研は「5年間(2017~2021年)の航空乗務員の年間平均被ばく線量は、病院や原発などのその他の放射線作業従事者の2~7倍に達する」とし「これは航空機での被ばく量を正確に測定する必要があるということを示している」と語った。
天文研は「現在は大韓航空が運航する航空路に限って被ばく量を計算している」とし、「今後は段階的に他の航空会社の運航路についてもサービスを始める予定」だと明らかにした。