大庄洞(テジャンドン)開発事業とそっくりだと言われる京畿道城南市(ソンナムシ)の慰礼(ウィレ)新都市開発事業に関し、検察は大々的な強制捜査を開始しつつ、公開捜査に切り替えた。大庄洞開発特恵疑惑を全面再捜査する捜査チームが、似たような構造を持つ慰礼新都市事業へと捜査を拡大することで、当時の城南市長で両事業の最終決裁権者だった共に民主党のイ・ジェミョン代表を二方面から圧迫するかたちとなっている。
ソウル中央地検・反腐敗捜査3部(カン・ベクシン部長)は先月31日午前、慰礼新都市A2-8ブロック開発事業の施工会社である湖畔建設と、同事業の資産管理会社および分譲代行会社のオフィス、関連者の自宅など20カ所あまりを家宅捜索した。検察は腐敗防止法および特定犯罪加重処罰法違反(贈収賄)などの容疑を適用し、家宅捜索令状の発行を受けた。
検察の内外からは、イ・ジェミョン代表ら当時の城南市の上層部を本格的に狙い始めたという分析が示されている。慰礼新都市開発事業(2013年)は、大庄洞事業(2015年)と同様に、城南都市開発公社の主導で官民合同方式で進められた。この事業もやはり「大庄洞4人組」である同公社のユ・ドンギュ元企画本部長、ナム・ウク弁護士、チョン・ヨンハク会計士らが関与していたため、「大庄洞の予行演習」だったという疑惑が持ち上がっていた。イ・ジェミョン代表の城南市長時代に行われた事業だということも共通する。首都圏の検察庁のある部長検事は「イ・ジェミョン代表を本格的に狙うために、構造の似ている事業を底辺から洗っているとみられる」と語った。実際、捜査チームはこの日午後、大庄洞事件でソウル拘置所に収監されているユ元本部長、ナム弁護士、ジャーナリスト出身のキム・マンベ氏らの収容室を家宅捜索した。検察内部では、関連捜査が新たに開始される中、口裏合わせがなかったかなどを確認するという観点からのものとみられている。
検察内外では、大庄洞の再捜査を担当したソウル中央地検の反腐敗捜査3部が、慰礼新都市の捜査にも本格的に乗り出したことに注目している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)師団の一番の若手とされるカン・ベクシン部長検事は、尹錫悦検察総長時代にチョ・グク元法務部長官の捜査などを担当している。大庄洞の捜査チームは先月、城南都市開発公社に公文書を送り、大庄洞事業に関する各種資料を改めて確保している。昨年の大統領選挙を前に行われたソウル中央地検の大庄洞1次捜査の際にも関連資料を確保してあるため、1次捜査チームが判断した内容を含めて原点から再検討するものとみられる。1次捜査チームは、事業収益の配分の仕組みを民間に有利に設計することで、城南都市開発公社に少なくとも651億ウォン(約67億2000万円)の損害を与えた疑い(背任など)で大庄洞4人組などを起訴した。しかしイ・ジェミョン代表ら当時の城南市当局とのつながりを見つけ出すことには失敗している。
一方、検察が発行を受けた慰礼新都市に関する家宅捜索令状に「腐敗防止法違反」が記されていることが目を引く。腐敗防止法は「公職者は、業務処理中に知った秘密を利用して財物あるいは財産上の利益を取得したり、第三者に取得させたりしてはならない」と規定している。検察は、ユ元本部長ら関係者が事業に関する機密を利用して特恵を与え、金銭的利益を得ていたことをつかんだと解釈される。