尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が陸軍参謀総長公館を臨時官邸として使用する案を取り消し、新しい候補地として外交部長官公館を有力に検討しています。就任をわずか20日後に控えた時点でも、公館だけでなく、執務室の細部計画さえ確定できず、混乱が続いています。執務室の移転を十分な準備もなく進め、就任後も瑞草洞(ソチョドン)にある尹次期大統領の自宅からの通勤がしばらく続くものとみられます。
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官邸確定できず、「自宅通勤」は避けられない見込み
政権引き継ぎ委員会のチェ・ジヒョン首席副報道担当は20日午後、引き継ぎ委のブリーフィングで、「警護や儀典、リモデリング期間、費用などを総合的に検討した結果、陸軍参謀総長公館が不合理な点が多いことが確認され、代案として外交部長官公館を検討しており、他の案も併せて検討中だ」と明らかにしました。当初、候補地として検討されていた漢南洞(ハンナムドン)の陸軍参謀総長公館は、警護及び儀典問題やリモデリングの期間などを考慮した結果、不適格とされ、昨年リモデリングした外交部長官公館がリモデリングの期間が短い点で、有力な代案に浮上したのです。
しかし、外交部長官公館に決まっても、現外務部長官が公館を使用しているため、尹次期大統領が来月10日の就任日に入居するのは難しいと思われます。引き継ぎ委のウォン・イルヒ首席副報道担当は、「たとえ最終的に外交部長官公館に(官邸が)決まっても、就任式に合わせて入居するのは難しいのではないかというのが常識的な推論だ」と述べました。結局、就任後も内部リモデリングのため、一定期間は瑞草洞の自宅から龍山(ヨンサン)の執務室に通勤するものとみられます。このため、大統領の通勤時間に信号の遮断など交通統制による交通混雑が発生し、市民の不便を招きかねないという指摘に対し、ウォン首席副報道担当は「交通統制を最小限に抑え、市民の不便を最小限にとどめるという原則は維持される」との原則的な立場を示しただけでした。就任後、大統領の自宅通勤は執務室移転の性急すぎる推進の象徴的な場面として残る見込みです。
また、大統領官邸が外交部長官公館に確定すれば、外交部長官は他の公館に移らなければなりません。外交部長官公館は、訪韓した海外高官や在韓外交団などのための外交行事が頻繁に開かれる場所であるため、それに代わる空間を探す作業も必要な状況です。引き継ぎ委の関係者は「後続措置は未定」だとし、「順次どうなるかは未定」と述べただけでした。
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執務室「霧の中」…韓米首脳会談の場所も未定
尹次期大統領側は執務室を何階にするかもまだ決めていません。現在としては国防部庁舎の5階に臨時執務室を設ける案が有力視されています。引き継ぎ委は大統領執務室や秘書室などの主な施設を庁舎の1階から4階に配置する計画ですが、韓米合同軍事演習関連部署は28日に本演習が終わってからリモデリングに着手できるため、ひとまず他の階で業務を始める案を優先的に検討しているそうです。引き継ぎ委の関係者は、「5階に執務室を設ける案が検討されているのは事実だが、正確な庁舎構造はまだ決まっていない」と伝えました。5月10日に合わせて執務室を移転すると公言してきたにもかかわらず、まだ新しい執務室の青写真も公開できない様子です。
執務室の移転に伴い、新政府の「初めての来客」を迎える場所もまだ決まっていません。歴代政府は外国の国賓を迎える際、主に大統領府迎賓館を活用してきましたが、ジョー・バイデン米大統領が訪韓すると予想される来月20~21日頃には、国防部執務室はリモデリング中である可能性が高いからです。特に執務室の敷地に迎賓館の役割を果たす建物を建てるには時間がかかる見通しです。次期大統領側は従来の大統領府の施設は使わないという立場を示しており、ソウル市内のホテルや国防コンベンションセンター、戦争記念館、国立中央博物館などが晩餐の候補地として取り上げられています。引き継ぎ委はひとまず、「会談自体が確定していない状況で、場所と関連した事実関係については発表できない」と慎重な立場を示しましたが、事前踏査団の性格を帯びた米国側の準備チームが訪問すれば、訪韓期間中の会談場所と日程などを調整するものとみられます。引き継ぎ委の関係者は本紙の取材に対し、「踏査団が訪問するとすれば、米国側に決定の権限があるとみなければならないため、我々としては何とも言いがたい状況だ」と述べました。
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「急ごしらえの公約推進による予告された惨事」
このような混乱が、大統領執務室の移転を十分な準備もなく決めたことに起因するのではないかという指摘に対し、ウォン首席副報担当は「警護や儀典、機能、リモデリング期間、費用、予算などすべてを総合的に検討した結果、これまで検討してきた陸軍参謀総長公館が非合理的な点が多く、このような代案を模索したと理解しているため、拙速という表現は適切でない」と反論しました。しかし、就任直前まで臨時官邸探しに追われている状況で、龍山の国防部敷地内の大統領官邸の新築の可否などは中長期課題として先送りにしており、突然開かれた「龍山時代」がもたらした波紋が長期化するという見通しも示されています。政治評論家のパク・サンビョン氏は「『執務室の移転』を宣言しただけで、それ以上のことは全く準備せず、急ごしらえの公約を押し進めたために生じた予告された惨事」だとし、「新しい官邸の建築などの本格的な議論はいまだ始まっておらず、臨時対策作りさえも困難を来たしているため、しばらくは同じ問題が繰り返されるだろう。費用と労力が無駄に費やされる恐れがある」と懸念を示しました。