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第2野党アン候補からの「候補の一本化」急浮上…終盤の変数で揺れ動く韓国大統領選

登録:2022-02-14 08:21 修正:2022-02-14 08:59
「世論調査方式による国民予備選挙を」 
ユン・ソクヨル候補「方式が望ましくない」…談判を希望 
党も「野党分裂を懸念」、拒否を明らかに 
一本化をめぐる神経戦は激しくなる見通し
野党「国民の党」のアン・チョルス候補が13日、国民の力のユン・ソクヨル候補に野党候補の一本化を公式に提案した。写真はこの日、仁川松島のある車両広告企業の車庫に駐車中の国民の党のアン・チョルス候補の選挙運動用のバス(下)と、11日に京畿道坡州市のある車両広告企業で製作中の国民の力のユン・ソクヨル候補の選挙運動遊説車(上)/共同取材写真、聯合ニュース

 野党「国民の党」の大統領候補のアン・チョルス氏が13日、野党「国民の力」のユン・ソクヨル候補に、世論調査方式による候補一本化を突然提案した。ユン候補は、世論調査方式には否定的な立場を明らかにしたが、一本化の必要性には共感し、追加の議論が続くものとみられ、その結果により、選挙日を約20日後に控えた大統領選挙が終盤まで揺れ動くものとみられる。

 アン・チョルス候補はこの日午前に候補登録を終えた後、ユーチューブの生放送で行われた特別記者会見で、「政権交替を通じた旧体制の終息と国民統合を通じて、未来に進もうという目標を同時に成し遂げるには、どちらも一人の力だけでは難しい」とし、「より良い政権交替のために、すなわち、旧体制の終息と国民統合の道に進むために、野党候補の一本化を提案する」と明らかにした。アン候補は続けて、「まず、次期政権の国政ビジョンと革新課題を国民の前に共同で発表し履行することを約束した後、世論調査による国民選挙を通じて単一候補を決め、誰が候補になっても互いのランニングメイトになれば、圧倒的な勝利を引きだせる」と述べ、国民世論調査方式の一本化を主張した。アン候補は昨年4月、ソウル市長補欠選挙で、当時の国民の力のオ・セフン候補と自身が合意した世論調査方式を取りあげ、「その時に合意した方式と質問項目がある。したがって、一本化予備選挙の方法について、ふたたび原点から論議する理由はない。両党が合意した既存の方法を尊重すれば、ユン候補がおっしゃる通り、短い時間で決着させることができる」と明らかにした。逆選択防止条項を加えず、適合度と競争力をそれぞれ尋ね合算する方式の世論調査により、単一候補を決めようということだ。

 「候補間の談判」方式の一本化を要求したユン候補は、アン候補の提案に「考えてはみるが、悩ましい点もある」という反応を示した。ユン候補は、米国のマイク・ペンス前副大統領との会談を終えた後、記者団に「政権交替のための大義の立場で(アン候補が一本化を)提案をしたことについては、肯定的に評価する」としながらも、このように述べた。世論調査方式の一本化の提案に否定的な意向を示したのだ。「世論調査方式の一本化の提案について、具体的に何が悩ましいのか」という質問には、「詳細には返答しない」と述べ、「アン候補と直接会うのか」という質問には、「話はすべて申し上げた」と確答を避けた。世論調査方式を今すぐには受けいれるわけにはいかないが、一本化の可能性は残しておいたと分析される。

 国民の力の選挙対策本部は、世論調査方式を拒否するという点を明確にした。イ・ヤンス首席報道担当は、「アン候補が『国民予備選挙』と呼び提案した方法は、政権交替を望む国民的な要求に対し、むしろ逆行するリスクを持っている」とし、「ユン・ソクヨル候補とアン・チョルス候補の間で支持率の差が開いている状態であり、政権交替を望まない共に民主党とイ・ジェミョン候補による策略を促し、野党分裂策に悪用される恐れが強い」と述べた。逆選択の可能性があるため、受けいれられないということだ。さらに、「アン・チョルス候補が、政権交替という国民的な熱望と大義を尊重し、野党統合のための勇気ある決断を下してくれることを期待する」とし、事実上、アン候補の譲歩を要求した。イ・ジュンソク代表も、全羅道を巡回中の「情熱列車」の中で懇談会を開き、「我々の候補が初めに話したように、指導者の決断による放棄と支持宣言ではない以上、シナジーが生じるはずがない」とし、アン候補の“決断”を繰り返し強く求めた。

 国民の力は候補間の談判形式を好んではいるが、共に民主党のイ・ジェミョン候補との薄氷を踏む競争が続くかぎり、最小限の譲歩を前提とする一本化に乗りださなければならないという話も出ている。国民の力のある重鎮議員は本紙に対し、「支持率の差が大きな状況で、アン候補が世論調査方式にだけ固執するのは我田引水ではあるが、一本化に対する国民的な熱望が強い状況では、交渉の末にはいかなる形であっても一本化する方向に進むのではないか」と予想した。野党支持層で政権交替のための候補一本化への圧力が強いため、ユン・ソクヨル候補とアン・チョルス候補のどちらも一本化の成功のためには、互いに渡すべきものは渡し合意地点を探さなければならないということだ。

 ただちにこの日、双方はユン候補がアン候補にかけた電話の内容をめぐり神経戦を繰り広げた。国民の力は、この日午後6時25分、「ユン・ソクヨル候補は今日午後、アン・チョルス候補に電話をかけ、夫人のキム・ミギョン教授が新型コロナの陽性判定を受けたことについて、見舞いの意を伝え、早期の全快を祈った」と伝えた。アン候補が提案した世論調査による一本化には否定的な立場だが、対話を続けていくという雰囲気を演出したのだ。すると30分後、国民の党は、「本日、アン・チョルス候補は、イ・ジェミョン候補とユン・ソクヨル候補からショートメールと電話で連絡を受けた。ただ、連絡の内容は配偶者であるキム・ミギョン教授の健康を心配し見舞いを伝える内容であり、それ以外の内容は一切なかった。誤解しないでほしい」と明らかにした。イ候補からはショートメールをもらい、ユン候補とは直接電話をしたが、一本化の交渉相手であるユン候補と内密の話は交わさなかったとして一線を画したのだ。必ずしも世論調査ではなくても一本化の議論を継続したいユン候補と、世論調査を受けいれてこそ一本化が可能だというアン候補の立場が、初日から軽くぶつかったわけだ。

 ひとまず、双方が一本化の必要性について、大きな枠組みのコンセンサスを形成しただけであり、具体的な方法について激しい精神戦が続くものとみられる。国民の力と国民の党は昨年4月、ソウル市長補欠選挙でも、一本化をめぐり世論調査の質問項目と方法などについて最後まで神経戦を行った。一本化の方法だけではなく、一本化後の「持分」の分配も雷管になるはずだという見通しも出ている。国民の力の関係者は、「一本化の方法も容易に合意できる問題ではないが、ユン候補に一本化された場合、どのように持分を分配するのかを合意することも容易ではない」と見通した。両候補がどちらもこの日に候補登録を終えたため、一本化の1次の締切日は、投票用紙の印刷日である28日、2次は事前投票日の3月4日の前になるものとみられる。

チャン・ナレ記者、キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1030917.html韓国語原文入力:2022-02-14 02:02
訳M.S

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