本文に移動

2021年の猛暑、「史上1位」だった2018年超えるか…変数は「台風」

登録:2021-07-20 04:12 修正:2021-07-20 08:49
2018年は2つの台風が猛暑を呼ぶ 
一方1994年は2つの台風で暑さが和らぐ 
今年の台風6号「インファ」の猛暑への影響に注目 
欧州中期予報センター、「月末まで追加の台風はなし」
猛暑が猛威を振るった16日、ソウルの南山タワーは熱を帯びていた。サーモグラフィーで撮影。赤色は高い温度、青色は低い温度を示す/聯合ニュース

 韓国気象庁は、今月21日と22日のソウルの日中最高気温を36度と予報した。16日に江原道洪川(ホンチョン)で記録された全国の最高気温35.7度とソウルの最高気温35.2度を上回る数値だ。平年の半分に過ぎなかった短い梅雨の末にやって来る強力な猛暑に対しては、過去1、2位を争う2018年と1994年の「サウナのような暑さ」が再び訪れるのではないかとの懸念が示されている。

 1994年の7月の暑さは2018年をしのぐものだったが、8月にはおさまった。全国の70の観測地点のうち、7月の最高気温の最高値が2018年に記録されたところは23カ所(33%)だが、1994年に記録されたところは30カ所(43%)ではるかに多い。一方、8月の最高気温の最高値が2018年に記録されたところは39カ所(56%)にもなるのに対し、1994年は江陵(カンヌン)1カ所のみ。いずれの年も、今年も予想されるように北太平洋高気圧とチベット高気圧が朝鮮半島を覆ったが、8月の猛暑の違いを分けたのは台風だった。

2018年の夏は、2つの台風(アンピルとジョンダリ)が猛暑を苛酷なものにした=気象庁提供//ハンギョレ新聞社

 1994年は、台風11号「ブレンダン」(7月29日~8月3日)と台風14号「エリー」(8月8~16日)の影響で8月上旬に二度にわたって大雨に見舞われたため、猛暑が一時的に和らいだ。一方2018年は、台風10号「アンピル」(7月18~24日)と台風12号「ジョンダリ」(7月25日~8月3日)がむしろ猛暑を強める役割を果たした。2018年のこの2つの台風は朝鮮半島に上陸していない。中国に上陸したことで間接的に北太平洋高気圧の勢力を韓国で強め、高温多湿な水蒸気を流入させたため、暑さを苛酷なものにした。

1994年の夏には2つの台風(ブレンダンとエリー)が雨を降らせ、猛暑を和らげた=気象庁提供//ハンギョレ新聞社

 今年は、台風6号「インファ」が19日午前9時現在、日本の沖縄の南東約430キロの海上にあって北西に進み、23日ごろに中国の上海南岸に上陸すると予想されている。気象庁のイ・ヒョンス気候予測課長は、「インファが現在の予想進路通り進めば、韓国の猛暑に間接的な影響を及ぼす可能性は低い。しかし進路が北側に偏れば、水蒸気の供給などの影響を及ぼす可能性も排除できない」と述べた。イ課長は「今週の猛暑は北太平洋高気圧が韓国の方へと張り出してくるために予想されるもので、逆にこうした高気圧のせいでインファが現在の予想進路通りに進むと考えるべき」と述べた。

19日午前3時現在の台風6号「インファ」の予想進路=気象庁提供//ハンギョレ新聞社

 慶北大学天文大気科学科のミン・ギホン教授は「現在の猛暑は南の台風が北太平洋高気圧を押し上げているために発生しているもので、こういう時には韓国に東風が吹き付ける。東風が太白(テベク)山脈を越えることで、江原道の嶺西(ヨンソ)と首都圏の気温の方が南部地方に比べて相対的に高くなる『嶺西型猛暑』現象が現れている」と説明した。2018年も全国的に猛暑が続く中、台風「ジョンダリ」の影響で嶺西型猛暑が引き起こされ、8月1日には洪川で史上最高の41.0度を記録している。今月21~22日にも「嶺西型猛暑」が発生するとの予測だ。

 一方、欧州中期予報センター(ECMWF)の太平洋地域の中層大気の変化予想によると、19日午前現在、今月末まで台風6号「インファ」以外、台風は存在しない状態だ。

2018年夏と1994年夏の猛暑のピーク時の気圧配置=気象庁提供//ハンギョレ新聞社

北太平洋高気圧の中心位置も変数…今週中に韓国に張り出す見込み

 今年の猛暑がどれだけ強いかを決めるもう一つの変数は、北太平洋高気圧やチベット高気圧の中心位置と勢力だ。8月中旬まで猛暑が続き、「蒸し暑い夏」として記憶される2016年も、気圧配置は2018年や1994年と似ていた。しかし、2018年の猛暑のピーク時には北太平洋高気圧の中心が韓国の真ん中に位置していた一方、2016年にはやや離れて東シナ海と中国の中央部の間に位置していた。また、2018年の北太平洋高気圧とチベット高気圧の勢力は1994年のものより強かった。

 蔚山科学技術院都市環境工学部のイ・ミョンイン教授(猛暑研究センター長)は「現在、北太平洋高気圧は、日本の南の上空に相対的に冷たい気圧の谷があるため、やや弱まっている。2018年には北太平洋高気圧の勢力が7月中旬から非常に強かったのとは異なる」と述べた。またイ教授は「しかし北西太平洋の対流活動によるマッデン・ジュリアン振動(MJO)が数日の間に台湾やフィリピン付近で活性化すれば、北太平洋高気圧が非常に勢力を強める可能性がある。強まった北太平洋高気圧が勢力を保ち続けるかは非常に可変的だ」と付け加えた。

短い梅雨=猛暑、今年は17日間で平年の半分

 今年は2018年や1994年と類似する歴史的な猛暑に見舞われるのではないかと懸念される理由の一つは、梅雨の短さだ。今年の梅雨は例年より遅く今月3日に全国で同時に始まり、17日後の19日に事実上明けると予想されている。公州大学大気科学科のチャン・ウンチョル教授(梅雨特異気象研究センター長)は「北太平洋高気圧が張り出して北西の境界面が朝鮮半島にとどまっても雨が降らないという特異なケースもあるが、現在の気圧配置では北太平洋高気圧の勢力が収縮する以前に停滞前線による雨は降らない可能性が高い」と述べた。チャン教授は「猛暑となるのは、日差しが強く照りつけて輻射熱がたまったり、暖かい空気が伝わって対流熱がたまるからだ。梅雨が短く降水量が少なければ、雨が地面から蒸発することで生じる冷却効果が減り、猛暑が発生する可能性が高くなる」と述べた。

 2018年と1994年も今年のように梅雨が短かった。2018年は、6月26日に始まった梅雨が中部は7月11日に終わりわずか16日間、南部はその2日前に終わり14日間だった。平年の梅雨は31~32日ほど続く。1994年の梅雨も全国的に平年より短い15~22日間だった。特に2018年は、梅雨明け以降はほとんど雨が降らなかったため熱気が冷めずに累積し続け、台風19号「ソーリック」が8月下旬に韓国に上陸するまで猛暑と熱帯夜が続いた。

イ・グニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/1004108.html韓国語原文入力:2021-07-19 14:22
訳D.K

関連記事