養子にした生後16カ月の幼児を残酷に虐待して死亡させた「陽川(ヤンチョン)児童虐待事件」の衝撃がまだ消えないなか、再び養子児童が虐待と疑われる傷を負い、意識不明に陥った。
京畿南部警察庁女性・青少年捜査隊は、児童虐待犯罪の処罰などに関する特例法の重傷害容疑で30代男性A氏を9日0時9分に緊急逮捕し、調査中だと明らかにした。A氏は8日午後6時頃、居住地の京畿道華城市(ファソンシ)のある病院に意識不明の状態のBちゃん(2)を連れてきたが、病院側はBちゃんを仁川(インチョン)の大型病院に搬送する決定を下す過程で、脳出血の症状とともに各所にあざが見受けられたことから、警察に虐待疑惑を通報した。
Bちゃんは脳手術を受けて回復中だが、まだ意識不明の状態だという。警察関係者は「養子受け入れ後から現在までBちゃんに関する虐待の通報はなかったが、虐待行為があった可能性が高く、養育過程の問題点を調べている」と話した。A氏は警察で「8日午前に何度もぐずり、手で何回か叩いた。その後、子どもは寝ていたが数時間経っても起きないので病院に連れてきた」と供述したという
警察の調べによると、A氏夫妻は昨年8月、養子縁組機関を通じて養子を迎え入れたことが確認された。Aさん夫婦はBちゃんのほかに実子を育てているという。
昨年10月に発生した「ソウル陽川児童虐待事件」による被害児童も、養子となって8カ月たった生後16カ月ごろ、養親の過酷な虐待ですい臓切断やろっ骨骨折など致命傷を負って死亡し、多くの人々の怒りを呼び起こしている。2014年10月、蔚山(ウルサン)でも養母が生後25カ月の養子を虐待し、脳出血で死亡させたことがある。
相次ぐ養子児童虐待事件を巡り、専門家らは「養子縁組そのものの問題ではない。養子に迎え入れた後の養育過程での政府レベルの支援とサービスが充実してこそ、このような悲劇を防ぐことができる」と口をそろえている。
ソウル神学大学児童保育学科のファン・オクキョン教授(元韓国児童権利学会長)は「養子に受け入れた後、親たちが養育でどんな困難と問題を抱えているのか綿密に把握するサービスが必要だ」とし「養育の不安定さを具体的に把握して公的サービスを提供してこそ児童虐待を防ぐことができる」と語った。また「養子に受け入れた後に起こる養育の問題を解決していく方法を親に教育し提示しなければならない」と付け加えた。
慶煕大学フマニタスカレッジのパク・スクキョン教授も「このような事件が起きるたびに養親を悪魔化することにフォーカスされ、善意の養子家庭が被害を受けることが多い」とし「現在の制度は養子縁組審査だけを厳しく行った後、子どもを養親に預けたままにしている。虐待を防止するためには持続的なモニタリングと教育、養子家庭への支援が非常に重要だ」と強調した。
現行の養子縁組特例法は、家庭裁判所が子どもを養子に受け入れようとする養親の保有する財産の水準、児童虐待・家庭暴力・性暴力など犯罪経歴の有無などを検討し、養子縁組を許可するかどうかを決める。この過程で、養親申請者の心理検査や家庭調査などは民間機関を中心に行われる。