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コロナで中程度の成績の中学生が減少

登録:2021-04-21 03:38 修正:2021-04-21 10:59
ソウル市教育庁傘下の研究所、中学382校の全数調査報告書 
3年生への進級の際の国英数の中位圏の割合 
コロナ禍発生前後で減少幅が「3.8p→12.2p」拡大 
私教育の影響が大きい数学で減少幅が最大
19日午前、光州市光山区のある小学校の校門に、コロナ拡散の懸念に伴う「施設閉鎖命令書」が掲出されている/聯合ニュース

 ソウル市内の中学校の学業成就度分布を分析した結果、新型コロナウイルス感染症の流行発生以降、中位圏の成績の生徒が大きく減少しており、特に数学で減少幅が最も大きいことが分かった。コロナによる遠隔授業の長期化で、それまでにもあった学力格差がさらに広がっているとの懸念が出ていたが、大規模な研究でこれが立証されたのは今回が初めて。

 ソウル市教育庁傘下のソウル教育政策研究所は20日、こうした内容を含む報告書「コロナ前後における中学校の学業成就等級分布からみた学校内学力格差の実態分析」を発表した。研究陣は、ソウル市内の中学校382校(放送通信中学など5校を除く)を全数調査し、2018~2020年にかけての2~3年生の1学期の国語、英語、数学の学業成就等級ごとの割合を分析した。

 報告書は、国英数すべての科目でコロナ禍発生後に中位圏の生徒が減り、「学力二極化」現象がひどくなったことを確認した。中学生の学業成就度は絶対評価でA(90点以上)、B(80点以上)、C(70点以上)、D(60点以上)、E(60点未満)の5等級に分けられる。Aは上位圏、B~Dは中位圏、Eは下位圏と分類する。

 同じ中学校の2018年の2年生が翌年3年生に進級した時と、2019年の2年生が翌年3年生に進級した時の中位圏の割合の変化を見てみると、コロナ禍発生以後の中位圏の割合の減少幅の方がはるかに大きかった。コロナ以前は国英数3科目の中位圏の割合が平均で3.8ポイント減っており、各教科の割合の変化は国語58.2%→54.3%、英語44.1%→42.3%、数学44.4%→39%だった。しかし、2019年の2年生がコロナ禍発生以後の2020年に3年生になると、国語56.5%→43.54%、英語42.6%→33.7%、数学43.6%→28.7%で、中位圏の割合は平均で12.2ポイント減少していた。特に数学の減少幅は14.9ポイントにのぼった。これは、数学は国語や英語に比べ自己評価の比重が大きいほか、私教育(塾や習い事、家庭教師など)の影響が大きいという特性が反映されたものと分析される。

 同じ中学校の年度ごとの2年生の中位圏の割合を比較しても、コロナ禍発生以降の数学の中位圏減少は他の科目に比べて顕著だった。数学の中位圏の割合は、2018年の2年生が44.4%、2019年の2年生が43.6%で、大きな差はなかった。しかしコロナの影響が大きかった2020年には、2年生の数学の中位圏の割合は34.19%となり、前の世代より9.4ポイントも減少していた。

 コロナ禍以降の中位圏の減少は、一部の上位圏への移動によるものでもあるが、下位圏への移動現象が以前よりひどくなっているということも数字に表れている。2018年の2年生と2019年の2年生の学業成就等級の割合を見ると、国英数いずれもAが増加し、Eは減少していた。上位グループが厚くなったかたちだ。しかし2019年の2年生と2020年の2年生を比べると、国英数いずれもAとEが同時に増えており、下位圏の割合は以前より高まっていた。

 専門家は、自己主導能力と集中力が上位圏に比べて低いという中下位圏の特性が遠隔授業の長期化とあいまって、こうした結果が出たとみている。市民団体「教育を変える人々」のイ・チャンスン代表は「中位圏の生徒は、教師や仲間の支援や助けを受けられる対面授業での方が学習に集中する」とし「下位圏だけでなく中位圏の生徒に対しても、科目ごとの診断評価を通じて学習欠損を埋めるという特別な措置を取るべきだ」と指摘した。また「数学は他の科目と異なるため、親がサポートするのが難しく、教師が遠隔授業に介入するにも限界がある」とし「教師が授業を進めることに汲々としている状況では、教育庁と学校レベルでこれを補う環境を整えてあげなければならない」と助言した。

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/991833.html韓国語原文入力:2021-04-20 17:50
訳D.K

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