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福島第一原発の汚染水、海洋放出が最善策なのか

登録:2021-04-15 06:16 修正:2021-04-15 08:02
日本の福島原発汚染水の海洋放出決定に 
専門家ら「長期保管や固体化など他の代案もある」
昨年7月、在韓日本大使館の前で、日本の福島原発事故汚染水海洋放出計画を糾弾しているグリーンピースのメンバーたち=グリーンピース提供//ハンギョレ新聞社

 「最もお金のかからない方法が最善策になるわけではない」

 日本政府が福島第一原発の放射能汚染水を海に放出することを決めたことを受け、海洋放出が最善の選択ではないという声があがっている。汚染水の処理問題は、専門家らも明確な代案を示せない難題だ。かといって他の選択肢が存在しないわけではない。放射性物質の放射線量が十分に減るまで汚染水を長期保管する方法や、汚染水を固体化して保管する方法などが代案に挙げられる。

 日本政府は13日、福島第一原発の貯留水タンクに保管されている汚染水約125万トンを30年間にわたり海に放流することを決めた。排出前の放射性物質は多核種除去設備(ALPS)で除去し、トリチウム(三重水素)は水で希釈して法定基準値以下に濃度を下げる計画だと明らかにした。

 環境団体と専門家らは「汚染水の長期保管」を最善の選択肢として提示する。トリチウムのようにALPSでは濾過できない放射性物質があるため、放射線量が半分に減る半減期を数回経て、毒性が最小化するまで待つべきだと指摘する。

 「原子力安全と未来」のイ・ジョンユン代表は「汚染水を希釈するのは放射性物質の濃度を下げることであって、放射能の強度を下げるわけではない。トリチウムの半減期は12年だが、この半減期を数回経て、強度を下げなければならない。50~120年ほど長期間タンクに保管してから海に流す必要がある」と述べた。原子力安全研究所のハン・ビョンソプ所長は「100年程度経てば十分放射線量が減ったと言えるが、それが難しければ、少なくとも30年間は保管してから排出するのが合理的な代案」だと指摘した。

 ドイツのグリーンピース事務所は昨年10月に発表した報告書「東電福島第一原発汚染水の危機2020」で、「根本的にはいかなる代案も非常に不足しているのは事実だ。しかし、長期貯蔵によりトリチウムを含む一部放射性物質の放射能の危険性を減らすことができる」と述べた。ただし、日本政府の立場では、貯留タンクの追加設置による長期貯蔵が費用問題だけでなく、福島地域を放棄するという認識を国内外に与える恐れもある。

 もう一つの選択肢は「汚染水の固体化」だ。ALPSによって放射性物質が一部浄化された低レベルの汚染水をセメントや砂と一緒に固体化し、コンクリートタンクの中に流し込む方法だ。この方法は放射性物質の海洋放出を遮断できるが、固体化の過程で体積が大きくなるため、さらなる敷地の確保が必要だ。ハン・ビョンソプ所長は「海洋放出や液体状態で長期貯蔵する方式に比べ、体積が増え、莫大な費用も掛かるため、日本が選択するのは難しいだろう」と述べた。

 汚染水の海洋放流決定の見直しができなければ、それに伴う危険性を正確に把握できるよう、透明な情報開示を求めるのが重要だ。東国大学原子力システム工学科のパク・ジョンウン教授は、「過度に不安を煽るのではなく、韓国政府と原子力安全委員会が乗り出して国民を安心させる必要がある。福島原発汚染水の海洋放出による危険性がどの程度なのか、定量化した数値を透明に公開するのが合理的な対処」だと指摘した。14日、原子力安全委員会は日本の原子力規制委員会に福島原発汚染水の処分履行過程をモニタリングし、その結果を迅速かつ透明に共有することを求める書簡を発送した。

キム・ミンジェ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/991000.html韓国語原文入力:2021-04-15 02:41
訳H.J

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