ジョー・バイデン政権発足を前に提起された「北朝鮮崩壊論」をめぐり、韓米の学者たちの間では激しい攻防が繰り広げられている。
議論を触発したのは、米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国碩座だった。同氏は先月16日(現地時間)、「ワシントンポスト」への寄稿で、バイデン政権は「新型コロナウイルス、核兵器、崩壊する経済が混在する災厄的」状況を迎えている北朝鮮の危機を警戒しなければならない、と主張した。この文章で同氏は「北朝鮮経済は今後1年以上を封鎖状態で生き残れるのか」と問い、「そうは思わない」と答えた。最悪の場合、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が内部の混乱により核兵器に対する統制を失う可能性まであるとして「警鐘」を鳴らした。
統一研究院統一政策研究室のキム・サンギ室長と世宗研究所統一戦略研究室のチェ・ウンジュ研究委員は1日、米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」への寄稿「北朝鮮崩壊の誤謬」で「チャ碩座はワシントンで最も影響力のある北朝鮮分析家の1人」ではあるものの、「残念ながら今回は、同氏の主張は現実というより虚構に近い」とし、同氏の「北朝鮮崩壊論」は「北朝鮮の核問題の解決をさらに難しくするだけでなく、軍事的選択のような政策的誤算へとつながる可能性もある」と主張した。両氏は北朝鮮が「核・経済並進路線」(2013年3月)を採択し、「社会主義経済強国建設総集中路線」(2018年4月)へと転換することで導入した経済中心政策が、北朝鮮経済を強固にしたと見ている。為替レートとコメやガソリンなどの市場価格がそれほど不安定な状況ではないということも「北朝鮮が生存のための内部条件を開発」した状態を示唆するとし「北朝鮮経済が崩壊する可能性はほとんどない」と結論付けた。
韓米の保守の一部から絶えず提起されてきた北朝鮮崩壊論は、この30年以上の長きにわたって生命力を保ってきた。両筆者は「北朝鮮崩壊論は持続的な誤りであり、米国の外交政策における神話に近い」とし「北朝鮮の現実に対する理解不足と歪曲された見方は、北朝鮮に対する政策を誤らせ、北朝鮮の核問題の解決を難しくする」と警告した。