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文大統領「朝米対話はシンガポール宣言から再始動すべき」

登録:2021-01-19 06:40 修正:2021-01-19 07:06
「早期に韓米首脳間交流を実現させる 
バイデン政権とは価値・基本方針が合う 
朝米対話を後回しにするとは思わない」
文在寅大統領が今月18日、大統領府で開かれた年頭記者会見で、記者団の質問を受けている/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が米国のジョー・バイデン次期大統領の就任に先立ち、朝米対話は「シンガポール宣言から再始動し、具体的な案を築く対話、交渉」に進むべきだと提案した。また、文大統領は、韓米首脳会談を早期に推進し、朝鮮半島平和プロセスへの共感を再確認したいという期待も示した。任期5年目に入った文大統領が、滞った朝鮮半島平和プロセスを再稼動するための構想を示したものと見られる。

 文大統領は18日、大統領府春秋館で開かれた年頭記者会見で「バイデン政権の発足により朝米対話、南北対話を新たに始める転機が設けられたと思う」とし、「その対話はトランプ政権で成し遂げた成果を継承し、発展させていくものでなければならない」と述べた。文大統領は同日、2018年6月の第1回朝米首脳会談で両国首脳が合意した「シンガポール共同宣言」が「非核化と朝鮮半島における平和構築のために非常に重要な宣言」だったと振り返った。シンガポール宣言が原則的な宣言にとどまった点は「非常に残念だが、シンガポール宣言から再始動し、より具体的な案を築く対話交渉をしていけば、もっとスピーディーに朝米対話と南北対話ができるだろう」と見通した。朝米対話の出発点がシンガポール共同宣言であるべきと強調したのだ。

 シンガポール宣言で金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記とドナルド・トランプ米大統領は、新たな朝米関係の樹立▽朝鮮半島平和体制の樹立▽朝鮮半島の完全な非核化▽戦争捕虜・行方不明者の遺骨発掘の4項目に合意した。両国は翌年の2019年2月、ハノイでの第2回朝米首脳会談で非核化と平和体制構築案の具体化を試みたが、合意に至らず、会談は物別れに終わった。

 文大統領は続いて「なぜハノイ会談で成功を収めることができなかったのか、という点を振り返ることが重要だと思う」としたうえで、「(シンガポール宣言で交わした約束の)履行が一朝一夕に実現することはできないため、やむを得ず段階別に進められるしかない」と述べた。ハノイで金総書記は、国連安保理の対北朝鮮制裁のうち民生関連の一部を緩和すれば寧辺(ヨンビョン)の核施設を廃棄するという意向を明らかにしたが、トランプ大統領は「寧辺+α」を要求したとされる。米国は当時、「スモール・ディール」よりは「ノー・ディール」がましだと判断し、会談の決裂を選んだ。

 文大統領は「段階別の推進は、互いに速度を合わせてやり取りするようなものでなければならない」とし、「過去のトランプ政権の成功と失敗を反面教師とし、バイデン政権が新たな姿勢で朝米対話に臨めば、必ず良い成果を上げられると信じている」と述べた。

 そのため、文大統領はまず「韓米首脳間の交流をより早期に実現させ、両首脳間の信頼や絆を構築することはもちろん、朝鮮半島平和プロセスに対する共感を再確認したい」と明らかにした。文大統領は新型コロナウイルスなど米国国内の問題で朝鮮半島問題が後回しになるという見通しについては「少し時間がかかるかもしれないが、朝米問題の解決を後回しにするとは思わない」と答えた。また、「バイデン政権と韓国政府は様々な面で価値や政策基調において類似点があり、いわゆる“馬が合う”と感じられる部分があるため、韓米関係でより大きな進展があると期待している」と述べた。文大統領は「北朝鮮に関してはまだバイデン大統領と具体的な合意をしていない」とし、「韓国政府の朝鮮半島平和プロセスを米国のバイデン新政権の安保ラインが理解できるようにする努力を傾けており、朝米、北朝鮮問題が米国の外交問題で後回しにならないよう、優先順位(の上位)になるようにする努力も傾けている」と述べた。

 文大統領は同日、韓中関係発展のための構想を問う質問には「韓国としては韓米関係、韓中関係ともに重要だ」と答えた。韓米関係は包括同盟に発展しており、韓中関係は「最大の貿易相手国であり、朝鮮半島の平和増進に向けて協力していかなければならない関係」だと述べた。中国の習近平国家主席の訪韓については「昨年一度推進されたが、新型コロナの状況が悪く、実現できなかった」とし、「今年新型コロナの状況が安定すれば、環境が整い次第、早期訪韓が実現できるよう努力していく」と述べた。

キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/979231.html韓国語原文入力:2021-01-1816:44
訳H.J

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