宅配分類業務を行っていた20代の労働者が死亡した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で過労に追い込まれた宅配労働者が生命権を脅かされている状況で、今年だけで9人が命を落とした。
宅配労働者過労死対策委員会は16日、クーパン漆谷(チルゴク)物流センターで日雇いとして働いていたCさん(27)が今月12日、家で倒れて死亡した状態で発見されたと発表した。死亡当時、Cさんは前日夜7時から午前4時まで勤務を終えた後、家に帰ってお風呂に入ったところだった。解剖の結果、死因は「原因不明の内因性急死」だった。健康だった20代青年の突然死である。
対策委などの説明を総合すると、Cさんは昨年6月から慶尚北道漆谷市にあるクーパン物流センターで夜間分類作業を行った。1日8時間ずつ週5日働き、COVID-19で大邱(テグ)地域の宅配物量が急増した後は、1時間ほど延長勤務をする日が多かった。特にCさんが働いていた7階の作業場は重い物品がたくさん入ってくる上、休まず包装用品を供給する仕事を任されていたため、重労働だったという。Cさんは持病もなく、酒やタバコを口にしない健康な青年だったが、クーパンでこの仕事を始めて1年で体重が15キロも減った。
対策委と遺族は同日、大邱地方雇用労働庁前で記者会見を開き、「Cさんの労働災害を認め、過労死再発防止策を講じるよう」クーパン側に求めた。チェ・ヨンオ民主労総サービス連盟大邱慶北本部事務局長は「Cさんが最近まで『仕事がきつすぎる』と言い、会社に人員を増やすか勤務場所を変更してほしいと要請したが、無視された。同僚にも胸の痛みを訴えた」と伝えた。Cさんの母親も「息子は『もう1年働けば正規職に挑戦できる』と一生懸命働いたが、殺人的労働が息子の命を奪った」と話した。大邱地方雇用労働庁は、クーパンが職務ストレス対応マニュアルを守ったかどうか調査に入った。
コロナ禍で宅配労働者らが過重労働を訴えて死亡する事故が相次いでいる。Cさんの死の4日前の8日には、CJ大韓通運所属の宅配労働者、キム・ウォンジョンさん(48)が配送業務中に倒れた。キムさんが働いていた代理店は、秋夕(中秋節)期間にも分類作業の人員が追加投入されず、宅配労働者らに過度な業務を与えた状況だった。宅配労働者らは政府に、宅配産業の現場全般に対する全数調査を実施し勤労監督を強化することを求めている。
一方、クーパンは同日、報道資料で「物流センターの短期職労働者は希望する日や時間帯、業務を選択できる。故人は宅配の分類ではなく、ビニールや空きダンボールなどを供給する包装支援業務を担当していた」とし、過労死ではないと主張した。