先月7日、公共医科大学の新設や医学部定員拡大などの政府の医療政策に反発し、医師団体が集団休診を始めてから1カ月が過ぎました。集団休診の主な動力だった専攻医などの「現職」医師の大半は病院に復帰しましたが、現在も医学部生は医師国家試験(国試)の拒否と同盟休学を中止していません。診療現場を離れた医師、患者を追い返す病院、医師になるための試験を拒否する医学部生。医師の集団休診が続いている間に起こった混乱です。「来年の医療現場でも、患者は多いが医師はいないという混乱が繰り返されるのではないか」。市民からは心配混じりの問いが発せられています。
こんにちは。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と医師の集団休診事態を取材している社会部のキム・ミンジェです。専攻医の病院復帰で集団休診は一段落しましたが、医学部生たちの医師国試拒否が新たな火種として登場しています。大韓医科大学・医学専門大学院学生協会(医大協)を中心とする医学部生は、政府の医療政策に抗議するとして、多くが医師国試を受験しておらず、政府は追加試験の機会を与える計画は今のところないといいます。4日に大韓医師協会、保健福祉部、共に民主党が、医療政策の白紙からの再論議と団体行動の中止に合意しましたが、政府と医療界の綱引きは終わりそうで終わっていません。来年の医療人材の空白を懸念する声が出ているのもそのためです。韓国保健医療人国家試験院(国試院)の集計によると、最近5年間の医師国試合格者は毎年3000人を超えています。今年の医師国試では、受験対象者3172人のうち、願書を提出したのは14%にあたる446人のみでした。医師国試に合格して免許を取った新米医師たちが、一般的に総合病院での研修課程を経て、今後、軍医官と公衆保健医になることを考慮すれば、医療人材の供給への支障は避けられないと思われます。
政府は、医学部生たちの医師国試拒否によって人材供給が困難になる恐れがあるということを認め、対策づくりに乗り出しました。保健福祉部のソン・ヨンレ報道官は「インターンという人材が、医師がすべき基本的な業務をかなり担っている」とし、「人材の適切な配置と再調整、拡充を通じて空白を最小化するための対策を立てている」と述べました。公衆保健医の不足問題については、「300人前後の人員配置に支障が生じるのではないかと予測している。公衆保健医が配置されている地域の必要性をもう少し検証し、優先順位の低い場所には公衆保健医を共同配置して活用するやり方などが考えられる」と述べました。
集団休診事態が残した課題はこれだけではありません。医療空白に対する懸念が出ているのは、命を扱う業務からも手を引く医師団体の集団行動のあり方が影響を及ぼしているためです。専攻医が先月7日に業務を1日停止したことから始まった今回の事態は、同月14日の開業医が中心の大韓医師協会による集団休診、21日の専攻医による無期限集団休診と続きました。救急室や集中治療室のような、命と直結する必須の医療分野の専攻医まで集団休診に参加しました。今月4日、紆余曲折の末、政府与党と医協は政策の白紙からの再論議と診療現場への復帰を明示した合意文に署名しましたが、専攻医は医協のチェ・デジプ会長の独断による決定だとしてこれを受け入れず、今月8日になってようやく一斉に病院に復帰しました。
その間、救急患者が数カ所の救急室をたらい回しにされてゴールデンタイムを逃し、命を落とす事件が発生するなど、被害も相次ぎました。韓国患者団体連合会は10日、「医師の集団行動によって、救急・重症患者の被害と不便は、命を脅かすほどの深刻な状況にまで至った。患者は、自らの命と治療を任せている医師を信頼できなくなった」という声明を出しました。今回の集団休診事態の問題点を指摘する専攻医と医学部生の集まりである「異なる考えを持つ医学部生・専攻医」のある医学部生は、「医師も団体行動は取り得るし、国民に迷惑をかけてでも保障されるべき労働権があることも事実だ。しかし、病院は国民の命と直結する必須の公益事業所だ。労働権の行使が国民の命を脅かす水準に至ってはならない」と述べました。
専攻医の集団休診が中止され、現在の医療空白は徐々に埋められつつありますが、変数は残っています。医協は、医師国試を受験していない医学部生に対する政府の救済を要求し、「(政府与党との合意は)学生と医師会員に対する完璧な保護と救済を前提として成立したもので、この前提が損われれば、合意もまた、もはや意味を持たなくなる」と述べています。今後、医・政協議体で本格的に医療政策に関する議論が行われることで、対立が再燃する可能性もあります。どのように状況が変わっても、急を要する患者が必要な時に治療を受けられるようにする対策が必要です。
社会部/キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )