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米政府、「防衛費13億ドル要求」公開で50%増額を既成事実化し圧力

登録:2020-05-09 07:04 修正:2020-05-09 09:30
米政府、13億ドルの請求書を新たに提示 
トランプ大統領、連日「韓国が多く払うことにした」 
韓国「13%増額が可能な最高水準」 
一部では「米国の要求を5年かけて受け入れる案を検討」
米国のワシントンDCで行われた韓米防衛費交渉=駐米韓国大使館提供//ハンギョレ新聞社

 米国が防衛費分担金として昨年より約50%余り増えた年間13億ドル(約1兆5910億ウォン)を要求した。当初、米国が要求した50億ドルよりは下がったが、韓国政府の構想とは依然としてかけ離れた数値であるため、当分の間、韓米間の駆け引きが続くものと予想される。米政府高官は7日(現地時間)、第11次韓米防衛費分担特別協定(SMA)交渉と関連し、「韓国政府に13億ドルの分担を要求した」と明らかにした。同高官は「聯合ニュース」とのインタビューで、この金額が「かなり合理的な」ものであり、「最終提案」だと、述べた。また「我々はかなり(金額を)下げだ。なのに、韓国政府は何をしたのか」と語ったという。米国が大きく譲歩したという趣旨で、「13億ドル」を既成事実化する戦略を取ったのだ。

 米国が提示した13億ドルは、両国が昨年の第10次協定で合意した1兆389億ウォン(約905億円)から約50%引き上げた水準だ。これは韓米防衛費交渉代表団が今年3月末に暫定合意したが、ドナルド・トランプ大統領が拒否した「13%引き上げ」(総額約1兆1740億ウォン)よりもかなり高い。両国とも新協定期間を5年にすることで意見が一致したが、引き上げ規模は「13%対50%」で隔たりが大きい。米国は、さらに初年度に13億ドルに引き上げることを要求しているという。5年間段階的に引き上げて、最後の年に13億ドルになるようにする案もあるが、今年11月の大統領選挙を控えたトランプ大統領としては、目前の成果が急がれるためと分析される。

 トランプ大統領は同日も、韓国が防衛費分担金を多く払うことで合意したという主張を繰り返した。彼はホワイトハウスで、米国がサウジアラビアからの米軍撤退を検討中というマスコミ報道に対する記者の質問に答える途中、韓国について言及した。彼は「(サウジアラビアのように)非常に豊かな国を我々がただで守ってあげていることを改めて言いたい」とし、「韓国は非常にありがたいことに、我々にかなりのお金を出すことで合意した」と述べた。これについて韓国政府は「受け入れがたい金額だ」という立場を示している。一時、実務代表団間で合意した13%増額案が「可能な最高水準」ということだ。また、米国がマスコミに「13億ドルを要求した」と公開したことについても、「マスコミを利用し、増額に向けて圧力をかけている」とし、不満を示している。韓国政府関係者は「(今年3月末)最終妥結に失敗した後、両国間で電話や電子メールなど多様な方式で協議してきたが、具体的かつ有意義な議論がなされたことはないと聞いている」と述べた。

 しかし水面下では、政府も米国の強力な増額圧迫にいかに対応するかをめぐり、様々な案を議論しているという。政府の一部では、韓米防衛費分担協定が5年単位で締結されれば、当初合意したとおり13%を増額するものの、5年間毎年大幅に引き上げる方式で、米国の増額要求を受け入れる案が検討されているという。これまでは協定期間中の物価上昇率を反映して防衛費分担金を増額したが、今回は物価上昇率以上の相当額を増やすということだ。政府関係者は「5年間の引き上げ幅には特別な規定がない」とし、「両国が互いに原則を持って交渉できる部分」だと述べた。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、キム・ソヨン、ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/944226.html韓国語原文入力:2020-05-09 02:06
訳H.J

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