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障害をもつ子どもの代わりにアクセスし、宿題をやり…「母親が授業に参加」

登録:2020-04-10 09:32 修正:2020-04-10 11:06
発達障害をもつスミンさんのオンライン始業 
パソコン操作から授業変更まで、すべて親の負担 
「子どもではなく親が始業」苦しさにため息 
教育部、週に1回巡回教育案を出したが、 
「隔日制の小規模オフライン授業」の要求も
今月9日、全国の中学・高校3年生がオンラインで始業し、知的障害1級のイ・スミンさん(仮名・15)と母親がオンライン講義を視聴している//ハンギョレ新聞社

 「ヨンミン、お母さんを手伝ってくれる? これちょっとやってみて」

 Pさん(53)は急いで10歳の娘を呼んだ。全国の中学3年生と高校3年生が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態で初の「オンライン始業」を迎えた9日、Pさんは緊張って“午前9時”を待った。第1級知的障害を持つ長女のスミンさん(仮名・15)さんを“登校”させなければならないが、アクセス量が多く、ホームページはつながらなかった。焦ったPさんはスミンさんの携帯電話で接続を試みた。ホームページにやっとアクセスし、メモした内容を見て出席確認を試みたが、何度も失敗した。数回の挑戦の末、出席確認のコメントを書き込むことができた。「出席しました」。その時になってやっとPさんはスミンさんの手を握ってため息をついた。

 同日から順次オンラインで授業が再開される中、サーバーにアクセスが殺到し、一般の生徒らも困難に直面したが、遠隔授業が事実上不可能な障害をもつ生徒らは二重苦を負った。ハンギョレは同日、対話だけでは意思疎通が難しいスミンさんを訪ね、彼女と一緒に遠隔授業を見守った。

 苦労して接続したが、ミスが続いた。Pさんは1時間目が体育の授業だと思っていたが、科学の授業だった。遅れて科学の授業の映像にアクセスを試みたがが、利用者が多くサーバーはすでに麻痺していた。コンピューターと他の携帯電話を使ってもつながらなかった。母親が遠隔授業に接続しようと奮闘している間、手伝うことのできないスミンさんはベッドに座って音楽を聞いていた。「母の私も接続がこんなに大変なのに、おばあさんが面倒を見ている場合はどうなるんでしょう?」 Pさんは苦しさをにじませた。

 映像が出ると、Pさんがスミンさんを机の前に呼んで座らせた。顔を直接見ながら話すのではないため、スミンさんが理解するには無理な授業だった。5分ほど集中しているかのように見えたスミンさんは、すぐに興味を失って携帯電話でゲームをしたり、妹に声をかけた。「いくら良い映像を流しても、これでは授業になりません。障害のレベルに合わせて授業を提供しても、発達障害児にオンライン授業は本当に不可能です」。Pさんが首を横に振った。

 教育部は、発達障害をもつ生徒のために巡回教育をしたり、課題などを出す案を設けた。しかし、これもまたPさんには負担にすぎない。まだ始業していない妹や弟二人が家にいるため、授業に集中しにくいからだ。課題はそのままPさんの負担になるばかりだ。

 障害のある生徒の面倒を見る親の立場はおおかた似ている。知的障害と身体障害をもつ高校3年生を世話する母親のBさん(42)も、この日の遠隔授業の後「子どもの集中度が低く、隣で話してあげなければならなかった。子どもが始業したのではなく、親が始業したもの」と訴えた。巡回教育も週に1度、90分間行われる。Bさんは「少人数で数日だけでもオフライン授業をするのが最小限の教育権を保障すること」と話した。

 教育部の特殊教育担当者は「録画映像、教授学習資料など特殊学級の生徒たちのための特化した資料を用意し、教師たちに広報している」と明らかにした。また「オンライン学習とともに人数を分けてオフライン授業を並行する案を検討している」と話した。

文・写真 カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/936377.html韓国語原文入力:2020-04-10 02:31
訳C.M