韓国政府が最近発給された短期ビザの効力を停止し、韓国人の入国を禁止した国と地域は“相互主義”の原則に基づいて、ビザ免除とノービザ入国を当分の間制限することにした。短期滞在の外国人入国者は、多くは1日300人減るものと見られる。専門家らは、施設隔離などの管理負担は軽くなるものの、国内の感染遮断効果はあまり大きくないだろうと見ている。
法務部が9日に発表したこのような措置により、全世界の韓国公館で5日まで外国人に発給した短期ビザ(90日以内滞在)の効力が暫定的に停止する。5日前に短期ビザを発給された外国人が韓国に入国するためには、公館に再びビザを申請しなければならない。ただし、韓国企業が招待した高級技術者などの短期就業(C-4)資格に該当するビザおよび長期ビザ(就業・投資)は効力停止対象から除外される。韓国人を入国禁止した151の国と地域のうち、韓国政府がノービザ入国を認めてきた90の国と地域のビザ免除もその効力が暫定的に停止する。
これと関連し、キム・ガンリプ中央災難安全対策本部第1総括調整官は「(最近)入国者は毎日1000~1500人で、そのうち短期滞在の外国人は20~30%程度を占め、300人をやや上回る規模だ。(短期ビザの効力停止などを行えば)この範囲内で影響すると考える」と述べた。外国人の入国制限を強化しても、減らせる外国人入国者は300人程度ということだ。1日2千人台だった全体入国者は7日、1千人台前半へと半分近く減少するなど、2週間の隔離義務化以降、入国者が減少しており、それだけ短期滞在外国人の規模も減った。
このため、今回の措置は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を食い止めようとする意図もあるが、隔離管理規模を減らすことで、政治的・行政的負担を軽減し、これまで提起されてきた外国人の入国禁止要求もある程度受け入れた措置といえる。国立がんセンターのキ・モラン教授(予防医学)は「言語と食習慣が異なる外国人隔離者は韓国人より管理が難しいが、入国制限の強化で(政府がこのように)2週間管理しなければならない対象を減らす効果は期待できる」と述べた。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「国内の状況が沈静化するに伴い、海外からの流入の管理が重要になるが、国内発生患者が全くいないわけではないため、入国制限を強化しても感染遮断に絶対的な影響はないだろう」と述べた。これまで政府が国内外に広報してきた「民主主義と開放性に基づいた国内感染病対応システム」の原則が損なわれるという批判もある。
一方、同日0時基準で新規感染者数は39人だった。政府が「高いレベルの社会的距離措置」(ソーシャル・ディスタンシング)の2週間延長を発表する際、目標として掲げた「新規感染者50人以内」を8日(53人)を除いて維持している状況だ。しかし、チョン・ウンギョン中央防疫対策本部長は「防疫当局は、この時期が『静かな感染拡大期ではないか』と緊張している」とし、警戒を緩めなかった。チョン本部長は「地域社会への大規模な感染拡大を警戒しなければならない。特にソーシャル・ディスタンシングや積極的な診断検査と患者の早期発見、疫学調査をより徹底的に行うべき時期だと見ている」と述べた。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「新規感染者の減少傾向が2週間ほど続かない限り、沈静化へ向かうとは言えない」と話した。