全国の農民が、政府の世界貿易機関(WTO)での農業発展途上国の地位の放棄を、通商分野の国恥と規定して、政権退陣闘争を予告した。
WTO発展途上国地位維持貫徹のための農民共同行動のメンバーは25日、ソウル鍾路区(チョンノグ)の外交部庁舎前で集会を開き、「政府はトランプの圧力に屈服し、通商主権と食糧主権を放棄して農業を絶壁に追い込んだ」と糾弾した。彼らはこの日、喪服を着て「発展途上国の地位を維持せよ」と書かれた鉢巻きを巻き、声を高めた。
全国各地の農民も「憂慮していた事が現実になった」として、11月の農民大会と来年4月の総選挙を通じて文在寅(ムン・ジェイン)政権を審判すると念を押した。全国農民会総連盟(全農)は声明を出し、「私たち農民に国は果たしてあるのか。トランプの一言で農民の運命を売ってしまった」と非難した。全農は、「この措置により、ウルグアイラウンド交渉とWTO発足以来、没落の道を歩んできた韓国農業が、断崖に追いやられることになった」と反発した。全農はまた、「全国の野原に農民のため息の音があふれている。トランプが防衛費として要求する6兆ウォン(約5600億円)なら、全国100万の農家に毎月50万(約4万6千円)ウォン、全農民240万人に20万ウォン(約1万9千円)以上の農民手当を支給することができる。米国の圧力に打ち勝ち、通商主権と食糧主権を守護せよ」と求めた。
農民らは、発展途上国の地位の放棄で国内農業の基盤が崩れると口をそろえた。全北農民団体連合会のパク・フンシク会長は、「米国は自分の利益のためにわれわれの農業を開放させるのである。実際にはコメが中心である。発展途上国の地位を放棄すれば、我が国の食糧自給基盤が完全に崩れる」と反発した。パク会長は続いて、「1兆4900億ウォン(約1380億円)の補助金を受け入れてなんとか国内農業を維持してきたが、(発展途上国の地位の放棄で)今後はこの補助金を7千億ウォン(約650億円)しか使うことができなくなれば、コメ価格が下落した時に何の代案もない。結局、コメの農作業をするなという話だ」と悲痛な声を上げた。全農清州市(チョンジュシ)支部のキム・ヒサン事務局長も、「発展途上国放棄は農業放棄」で「発展途上国放棄とともに米国など国外農産物が洪水のように押し寄せてくるはずである。チリの場合、農場の95%が巨大資本に売られた。発展途上国放棄とともに、企業化、資本化、規模化した国外の食糧・種子会社にわれわれの農業が早期に取り込まれることになる」と語った。キム事務局長は続いて「刈り入れ時期である今は人手が足りず暇がないが、収獲が終われば農民が集まるはずだ。生存のための農民の抵抗は激しいだろう」と付け加えた。
農民の道のパク・ヘンドク議長は、「農業を放棄した政権を、さらに後押しすることはできない。農民の故ペク・ナムギ氏が農業を活かすために叫んで倒れた精神を受け継いで闘争する」と語った。全農のパク・ヒョンデ元政策委員長は、「輸入開放の農政で瀕死状態に陥っていた農業が、安い関税率と農業補助引き下げにより決定打を受けるようになった。今日は外交通商分野の国恥日として記録されるだろう」と批判した。
来年の総選挙で農業を放棄した対価を支払うことになるはずであるとの警告も出た。全農光州(クァンジュ)全南連盟のキム・ソンボ事務局長は、「韓国農業に死亡宣告を下した。延命治療さえ放棄した政府と与党は、来年の総選挙で農民から審判を受けることになる」と強調した。
農民らは、今回の決定を下すときに国会と農民の声を聞かなかった点にも残念さを示した。光州市農民会のイ・ガプソン副会長は「食糧自給率が24%である韓国は、農業分野で発展途上国の地位を維持するべきである。WTOは問題を提起しなかったが、トランプの一言で、農民と国会の声も聞かずに農業の未来を渡した」と糾弾した。
農民らは11月30日、汝矣島(ヨイド)の国会議事堂前で全国農民大会を開き、政府と与党の農業放棄政策を糾弾する計画だ。