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[コラム]“安倍の日本”という古い秩序

登録:2019-07-17 22:27 修正:2019-07-18 08:09

安倍の日本は、古い秩序を象徴する。数年後、東アジアでは以前とは全く違う新しい秩序が現れうる。今回の経済戦争もまた、その流れの中にある。交渉は必要だが、たとえ困難でも歴史に恥じない道を行かなければならない。日本が再び同様の武器を取り出せないように、私たちの力量を強化することが最も重要だ。

日本の安倍晋三首相=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 解放以後、韓日関係の歴史でこうしたことはなかった。一方的に相手の首の綱を締める行為のことだ。それも、植民支配の加害者であり万年貿易黒字国の日本がそのようにしている。

 安倍晋三首相の経済戦争挑発は、ドナルド・トランプ米大統領の動きに似ている。まず、自らの強みを前面に出した先制ショック療法で相手の意欲を失わせようとする。世界最大の市場を持つ米国は、輸入関税の引き上げ、日本は輸出の統制だ。世界貿易機関(WTO)に代弁される国際通商規範を、正面から無視する点も同じだ。「私のする行動がすなわち国際規範」というやり方だ。

 これを合理化するために、両国ともつじつまの合わない安保論理を動員している。米国が安保を恣意的に定義して経済戦争の道具とするのは覇権国の横暴だが、各国は米国の言うことを無視し難い。だが、日本が対北朝鮮制裁問題を輸出規制の理由として引き込んだのは「コイが踊ればドジョウも踊る」の類いだ。経済戦争を国内での立場を強化するための政治手段として活用することも同じだ。特に安倍首相は、韓国と北朝鮮を巡って攻撃する旧態依然な理念論争を政治基盤の一つとしている。

 二人の目標には、似ている点もあり違う点もある。範疇としては同じだが、内容には差がある。国の地位と中長期的な指向が異なるためだ。

 安倍の目標は大きく2点だ。一つは、韓国の政策を変えさせたり、現政権の力を弱めることだ。政策の核心は日本側の表現で言えば「1965年体制の維持」だ。どんな政権になろうが、日帝植民支配と関連した過去の問題がこれ以上日本に対し提起されず、隣国との関係が自国中心に戻る状況をいう。まだ解決されていなかった日本軍「慰安婦」や強制徴用者の個別賠償問題などに言及することさえ阻み、自身に同調する勢力とだけ手を握るという意味だ。さらに安倍首相を含む日本の右翼は、韓国の政権が自身と調和できる人々に交替させられることを願う。

 相手国の政策変更や執権勢力の弱化を試みる点はトランプも同じだが、トランプは日本に比べ、より明らかに目に見える米国の利益に焦点を合わせる。米国内の雇用を増やす「雇用重商主義」と、貿易不均衡の改善がそれだ。

 もう一つは、構造と体制の再編だ。安倍は北東アジアでも日本の持分が減りつつある構造を変えようとしている。一時は世界総生産の15%に迫った日本経済は、すでに6%に落ちた。中国の総生産が日本の2.5倍を超え、韓国は1人当りの所得で日本の80%ラインに接近した。朝鮮半島の非核化と平和体制構築をはじめとする安保事案では、日本の存在感はさらに弱い。こうした流れをひっくり返すための安倍の最初の攻撃対象が韓国だ。韓国を飼い慣らし、自身の下位のパートナーに引き込もうとする試みだ。

 安倍の経済戦争挑発は、米国の中国攻撃に歩調を合わせたものだ。「米・日対中国」という対決構図の強化だ。中国を座り込ませようとする米国は、日本が忠実な下位同盟国として強くなることを支持する。しかし、その過程で既存の韓-米-日三角同盟の構図が弱くなることは望まない。言い替えれば、米国は三角同盟が損傷しない限りは日本の経済戦争挑発に介入する動機が弱い。

 日本が内部不安を転嫁して新しい国際体制を試みるために、朝鮮半島をスケープゴートにしようとしたのは今回が初めてではない。西勢東漸の波が激しかった19世紀後半がそうだったし、長い内戦を経た統一以後に武士があぶれた16世紀末がそうだった。日本の右翼勢力は今もその時を懐かしがっている。

 近代以後、世界は35~45年ごとに時代の交替を経験している。1989年、ベルリンの壁が崩れた冷戦以後の時期を、筆者は「新自由主義-南北(対決)時代」と名前をつけたことがある。この時代は、WTOがスタートした1995年までの定着期と2008年の世界経済危機までの発展期を経て、今日まで再編期を過ごしている。再編期のキーワードは、バラク・オバマ米国政府のアジア中心軸政策と、トランプ政府のアメリカ優先主義だ。東アジアで米国と日本は北を代表する既得権勢力であり、南の大手である中国はこれに挑戦している。日本の経済戦争挑発は、韓国を既得権威嚇勢力と見なして、力で押さえつけようとするものだ。

キム・ジソク先任論説委員//ハンギョレ新聞社

 

 安倍の日本は古い秩序を象徴する。数年後、東アジアでは以前とは全く違う新しい秩序が現れうる。今回の経済戦争もまた、その流れの中にある。交渉は必要だが、たとえ困難でも歴史に恥じない道を行かなければならない。日本が再び同様の武器を取り出せないように、私たちの力量を強化することが最も重要だ。

キム・ジソク先任論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/902185.html韓国語原文入力:2019-07-17 19:09
訳J.S

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