本文に移動

「1987」南営洞で再び鳴り響いた「6月抗争の精神」

登録:2019-06-11 05:25 修正:2019-06-11 08:54
南営洞旧対共分室跡地の民主人権記念館で初の記念式典 
「労災防ぐ法の制度を」「強制収用の真相究明」の声も 
与野党4党代表が出席…ファン・ギョアン自由韓国党代表だけが欠席 
泰安火力発電所下請非正規職労働者の故キム・ヨンギュン氏の母親、キム・ミスク氏(右から3番目)が10日午前、ソウル龍山区の民主人権記念館で開かれた第32周年6・10民主抗争記念式典で、労働災害を防ぐ法制度作りを求める国民の声を読み上げている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 「二度と第2、第3のヨンギュンが出てはいけません。OECD加盟国のうち労災による死亡率第1位という不名誉を濯いでください。労災を防げる法制度をきちんと作ってください」。

 泰安(テアン)火力発電所の下請け非正規職労働者だった故キム・ヨンギュン氏の母親のキム・ミスク氏が、第32周年6・10民主抗争記念式で演壇に立った。キム氏は、再び労災による被害者が出てはならないと訴えた。彼女は「国は災害を予防し、その危険から国民を保護するために努力しなければならない」という憲法第34条を声高に読み上げた。

 10日、ソウル龍山区旧南営洞(ナミョンドン)の対共分室跡地に建てられた民主人権記念館で、第32周年6・10民主抗争記念式典が行われた。軍事政権による暴力を象徴する場所であり、民主化運動を称える空間である民主人権記念館で6・10民主抗争記念式典が開かれたのは、今回が初めてだ。

今月10日午前、ソウル龍山区の民主人権記念館で開かれた第32周年6・10民主抗争記念式で、参加者たちが「広野にて」を合唱している=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 民主化運動記念事業会の主催で開かれた同日の記念式典には、チン・ヨン行政安全部長官やイ・ヘチャン共に民主党代表、ソン・ハッキュ正しい未来党代表、チョン・ドンヨン民主平和党代表、イ・ジョンミ正義党代表などが出席した。ファン・ギョアン自由韓国党代表は日程上の理由で欠席した。さらに、民主化運動関係者や子孫、拷問の被害者、独立有功者の子孫、民主化運動団体などの市民社会団体のメンバーなど、合わせて約400人が参加した。歴史子ども合唱団や歌手チャン・ピルスンさん、4・16合唱団の記念公演も行われた。

 同日の記念式典のテーマは「民主主義100年、そして1987」だった。記念式典の司会は、ミートゥー(#MeToo)運動を触発したソ・ジヒョン水原地方検察庁城南(ソンナム)支庁検事と、大韓航空のオーナー一家の不当なパワハラを告発したパク・チャンジン大韓航空職員連帯支部長が務めた。パク支部長は「つらく苦しい時、怖くてたじろいだ時、共に耐え抜こうと差し出してくれた暖かい手が、連帯の精神であり、民主主義の実現の核心だと思う。皆さんのその暖かい手で、ソ・ジヒョン検事と共にこの場に立った」と自己紹介した。

ソ・ジヒョン水原地方検察庁城南支庁検事(右)とパク・チャンジン大韓航空職員連帯支部長が今月10日午前、ソウル龍山区の民主人権記念館で開かれた第32周年6・10民主抗争記念式で司会を務めている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 同日の記念式典の発言者を務めたハン・ジョンソン兄弟福祉院被害生存者の会代表は「すべての国民は人間としての尊厳と価値を持ち、幸せを追求する権利を有する」という憲法第10条について語った。ハン代表は「誰も殴打や殺害されたり、強制収容・強制労働に動員されてはならない。32年間を待ち続けた。忘れ去られた他の1987や兄弟福祉院事件などに対する真相究明が一日も早く行われなければならない」と強調した。

 青少年フェミニズムネットワーク「ウィティ」(WeTee)の活動家、ヤン・ジヘ氏も発言した。ヤン氏は「すべての国民は法の下で平等である」という憲法第11条を挙げ、児童の権利とスクールミートゥーなど、青少年にも主張する権利を保障すべきだと訴えた。さらに、発言者を務めたイ・ウナ特性化高校卒業生労働組合委員長は「1970年に勤労基準法の遵守を求めた全泰壱(チョン・テイル)烈士や、特性化高校の卒業生たち、非正規労働者たちは、49年前と同じことを今も叫び続けている」とし、「すべての差別を撤廃しなければならない。きちんとした働き口と安全な職場が保障されなければならない」と訴えた。

泰安火力発電所下請非正規職労働者の故キム・ヨンギュン氏の母親、キム・ミスク氏(右から2番目)が10日午前、ソウル龍山区の民主人権記念館で開かれた第32周年6・10民主抗争記念式典で、労働災害を防ぐ法制度作りを求める国民の声を読み上げている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 この他にも、スーパーマーケットを運営していた1982年、「金堤(キムジェ)家族スパイ団」容疑で南営洞対共分室に連れて行かれ、2週間電気拷問や水拷問、ボールペン拷問、暴行などを受けた拷問被害者チェ・ヨンソク氏や、健康権の実現に向けて行動する看護士会のイ・ミンファ氏なども演壇に立って発言した。

クォン・ジダム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/897255.html韓国語原文入力:2019-06-10 21:16
訳H.J

関連記事