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米タカ派、イランへの締め付けに拍車かける

登録:2019-04-23 06:43 修正:2019-04-23 07:26
米国、イラン産原油の輸入禁止に例外を認めないことに 
イランのイスラム政権崩壊を狙い、トランプ政権のタカ派が主導 
イランのタカ派を後押しする逆効果も「敵対的共生関係を強化」  
原油供給の不安定性高める…米国原油の先物価格、6カ月ぶりに最高 
昨年11月、米国のマイク・ポンペオ国務長官(左)とスティーブン・ムニューシン財務長官が、イラン産原油取引の遮断などイランに対する全面的経済制裁を発効すると発表している=ワシントン/EPA・聯合ニュース

 米国が韓国や中国、日本など8カ国に限って許可したイラン産原油輸入の例外措置を延長しない決定を下したのは、強力な制裁でイランを屈服させることを目指してきたジョン・ボルトン国家安保補佐官など米タカ派の勝利と言える。

 米国の今回の決定は、イランの主要収入源である原油輸出をゼロにし、政権の資金源を遮断しようということだ。米国のトランプ政権は、対イラン圧迫の強化がイランの政権交代を目指すのではなく、イランの行動を変えるためと強調しているが、米国のマスコミと専門家たちは、トランプ政権内のタカ派がイランのイスラム新政体制の崩壊を狙っていると見ている。トランプ大統領は8日、イラン正規軍の革命守備隊を「外国テロ組織」に指定した。外国の正規軍に対しては前例のない措置だ。長期的に中東情勢の緊張が高まり、国際原油価格も上昇するという懸念が高まっているのもそのためだ。

 外交消息筋は「米国が、以前はイラン産原油輸入量削減条件を守れば制裁例外を認めてきたが、今回急に態度を変えて制裁例外を認めないという立場を示した」と伝えた。イランに対する制裁に効果があると判断した米政権内のタカ派が、今回の措置を推し進めたものと見られる。

 2015年、オバマ政権時代、国連安全保障理事会常任理事国とドイツ(P5+1)がイランと結んだ条約(JCPOA)で、イランに対する国連安保理の制裁は猶予された状態だが、トランプ政権が2018年、イラン核合意を脱退したことで、米国の独自制裁が復元された。その後、イランの経済状況は悪化し、貨幣価値が下がりインフレが進んでいる。

イランの首都テヘランで、今月18日(現地時間)「軍隊の日」を迎え、軍事パレードが行われている。米国務省が外国の正規軍としては初めてイラン革命守備隊をテロ組織に指定して以来、初めて実施された同日の軍事行進には、革命守備隊の陸海空戦力が総動員された/聯合ニュース

 しかし、制裁は逆説的にイラン内のタカ派の立場を強化した。深刻な経済危機に抗議する庶民のデモも繰り広げられている中、イランの保守層は経済難の原因を米国のせいにし、権力を強化している。強硬派のエブラヒム・ライシが最近、司法省のトップと同時に専門家議会の副議長になって急浮上しており、イラン革命守備隊の精鋭部隊であるクードス部隊の司令官、カシム・スレイマーニ氏が力をつけるなど、軍部の影響力が拡大している。韓国外国語大学イラン語科のユ・ダルスン教授は「米国の強硬保守陣営とイランの強硬保守陣営が『敵対的共生関係』を形成している。米国のタカ派は国際社会で反イラン連帯を構築しようとしており、イラン保守陣営も米国を非難しながら影響力を拡大している」と指摘した。

 米国がイランを締め付け、イランのタカ派が報復措置に乗り出した場合、中東状況はさらに悪化し、国際原油価格も値上がりする見込みだ。国内石油業界の関係者は「主要産油国の減産措置などのため、国際原油価格が上昇している中、原油供給の不安定性がさらに増すだろう。イラン産原油の輸入禁止は国際油価に上昇圧力として作用するだろう」と見通した。米国が対イラン制裁と同時に産油国のベネズエラに対する制裁を強化しているのも、国際油価に影響するものと見られる。今回の決定を控え、トランプ政権の安保チーム内でも原油価格の展望をめぐる議論があったとブルームバーグが伝えた。

 イラン産原油の輸入に対する例外が延長されないというニュースが流れはじめた22日、ブレント油の先物は1バレル当たり73.76ドルで、2.5%上昇しており、米国西部テキサス重質油も1バレル当り65.87ドルで取引されるなど、6カ月ぶりに最高値を記録した。

パク・ミンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/891058.html韓国語原文入力:2019-04-22 22:20
訳H.J

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