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「公訴棄却」無罪判決を受けた元済州4・3受刑者 、国に刑事補償請求

登録:2019-02-23 08:42 修正:2019-02-25 10:34
先月17日午後、済州地裁で裁判所の公訴棄却判決で事実上無罪を言い渡された元済州4・3生存受刑者18人が万歳を叫んでいる=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 裁判所による「公訴棄却」判決を受け、70年ぶりに無罪判決を勝ち取った済州4・3事件の元受刑者らが、国に対して“違法な拘禁”の刑事補償金を請求する手続きに入る。

 22日、「済州4・3の真相究明と名誉回復のための道民連帯」と元受刑者らの代理人を務めるイム・ジェソン、キム・セウン弁護士(法務法人ヘマル)は済州地裁を訪れ、済州4・3事件関連の元受刑者らの“違法な拘禁”被害に対する刑事補償請求書を提出した。彼らは済州地裁が下した無罪趣旨の公訴棄却判決文を、法務部のホームページに掲載してほしいという請求書も、済州地方警察庁に提出した。

 イム・ジェソン弁護士は検察に提出する刑事補償請求書で、「済州地裁の公訴棄却の判決過程で、元受刑者らの公訴事実に合致するいかなる証拠も提出されなかった。公訴棄却される理由がなかったとしても、被告らに対する犯罪事実が全く証明されておらず、間違いなく無罪が言い渡されたはずだ」と指摘した。刑事補償及び名誉回復に関する法律(第26条)によると、公訴棄却の判決が確定した被告人の裁判で、公訴棄却の判断を下す理由がなかったとしても、無罪判断を受ける理由があるなら、過去の拘禁に対する補償を国に請求できる。

 過去、済州4・3関連の元受刑者らが言い渡された裁判所の確定判決に関する公訴状や判決文など訴訟記録は残っていない。昨年、再審の過程で検察は「公訴事実を立証する記録を保管できる10の機関を確認したが、公訴事実が分かるほどの有意義な記録は見当たらなかった」と明らかにした。「何の罪も犯さなかったが、逮捕され、暴行や拷問など過酷行為を受けた末に、無実の罪で収監された」という元受刑者の供述が行われただけだ。ただし、済州4・3関連の元受刑者らに実際刑が執行されたという記録もほとんど残っていないため、道民連帯と法律代理人は元受刑者らの違法な拘禁期間を確認できる間接証拠を集めて、これを証明する計画だ。国に請求する刑事補償金額も「当時、違法な拘禁と過酷行為にあった点や当時の確定判決によって70年近く暴徒・アカ(共産主義者)という濡れ衣を着せられ、深刻な精神的苦痛を味わった点」などを考慮して決めた。

 先月17日、済州地裁刑事2部(チェガル・チャン裁判長)は1948~49年の済州4・3当時、内乱罪などで軍法会議(軍事裁判)にかけられ、懲役1~20年の刑を受けた元受刑者18人が請求した再審裁判で、公訴棄却の判決を下した。2017年4月、生存する元受刑者らが裁判所に再審を請求してから、1年9カ月後に勝ち取った判決だ。裁判所は「元受刑者らの犯罪事実が何かも具体的に明らかにせず、違法な手続きによって裁判にかけられただけに、公訴提起そのものが無効だ」と判断した。公訴棄却の判決は、訴訟条件に問題があり、本格的な裁判に入る前に訴訟を終結させるものだ。

 当時、裁判所は済州4・3事件当時の元受刑者らの公訴事実を特定できないうえ、軍法会議に付託する手続きも順守しなかった点を指摘した。裁判所は「受刑者名簿や軍執行指揮書などの関連文書には、罪名と適用法律が記載されているだけで、当時どのような公訴事実で軍法会議にかけられたのかを確認できる公訴状や判決文がない。被告人らは一貫して、自分たちがいかなる犯罪事実で裁判を受けたのか、分からないと供述している」と指摘した。特に4・3当時、軍法会議が短期間で2530人に有罪判決を下したことから、きちんとした捜査や裁判はなかったか不可能だったと判断した。裁判所は「短期間でこうした多数の人を集団的に軍法会議に付託し、予審調査や起訴状謄本の送達の手続きがきちんと行われたとは判断し難い」と述べた。検察が控訴しなかったため、裁判所の公訴棄却の判決が確定した。

コ・ハンソル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/883206.html韓国語原文入力:2019-02-2220:06
訳H.J

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