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「乙支麺屋」保存へ…ソウル市、乙支路工具商店街の再開発事業中断を決定

登録:2019-01-26 09:43 修正:2019-01-26 16:59
老舗・工具商の撤去論争で一歩退き 
乙支麺屋、良味屋などを撤去しないことに 

水標地区の事業を中断し、年内に総合対策
今月8日、清渓川乙支路保存連帯が工具商店街の撤去に反対し、乙支路一帯でデモを行っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル市が、最近撤去をめぐる議論が広がっている乙支麺屋など、乙支路(ウルチロ)一帯の古い店や工具商の通りを保存することにし、年内に対策をまとめることにした。これを受け、現在再開発事業の施行認可申請が終わった工具商店街の密集地域は、総合対策をまとめるまで再開発事業が中断される。立ち遅れた都心環境に対する整備を求めてきた清渓川(チョンゲチョン)・乙支路一帯の土地所有主らは「ソウル市が感性に偏った政策で、手続きを踏んで推められている再開発事業を覆した」と反発しており、今後もこの事業をめぐる論争は収まらない見通しだ。

 ソウル市のカン・メンフン都市再生本部長は23日、ブリーフィングを行い、「これまで歴史文化資源については最大限『保存』の原則を守ってきたが、(中区世運(セウン)商店街一帯の)世運再整備促進地区の整備事業計画が、歴史都心基本計画のうち生活遺産を保存する内容を反映できないまま推進された」とし、「今からでも整備計画に反映し、歴史文化資源を保存する計画」だと明らかにした。このためにソウル市は今年末までに関連する総合対策を設ける方針だ。

 ソウル市は2015年、歴史都心基本計画を立て、人々に記憶され受け継がれてきた有形無形の資産を「生活遺産」として保存している。世運3区域内の乙支麺屋、良味屋などの食堂も生活遺産に含まれる。しかし、これは法制化された制度ではなく、再開発過程で該当する建物などが無分別に撤去される場合が多かった。今からでも生活遺産の趣旨を生かして原型を保存するというのが市の計画だ。

 ソウル市のユン・ホジュン都市活性化課長は「生活遺産である商店街の建物を再開発区域から除外する方法で商店街を保存できる」と説明した。また、現在中区(チュング)区役所への事業施行認可申請が完了している工具商店街の密集地域にある水標(スピョ)都市環境整備区域(水標区域)は、総合的な対策がまとまるまで中区区役所が事業施行認可申請を受け入れない方式で事業を中断することにした。

 ソウル市の発表に、工具商店街の撤去などに反対してきた商人や市民らは歓迎の意を表した。清渓川乙支路保存連帯の活動家パク・ウンソン氏は、「具体的な対策が提示されなかった点は残念だが、ソウル市が撤去を中断すると発表したことは歓迎する」と述べた。参与連帯民生希望本部のイ・ガンフン副本部長は「ソウル市の対策が具体的でなければならないが、都心の昔のものを保存するという方向性を再確認したという面で意味がある」と評価した。世宗大学のビョン・チャンフム教授(行政学)は「事業の最後の撤去段階にある世運3-1、3-4・5は他に方法がなかったとしても、事業推進の初期段階にある水標区域を中断させたのは良い決定と考える」とし、「ただ、残すことに決めた乙支麺屋、良味屋などが全体区域内で調和して保全されるよう気を使わなければならない」と述べた。

 一方、清渓川・乙支路一帯の土地所有主らは強く反発した。土地所有主らで組織された「世運3区域地主420人」は、「3年ものあいだ建築審議および事業施行認可手続きまで終えて推進されている再開発事業を、ソウル市が今になって全面見直しすること自体が理屈に合わない」とし、「ソウル市自ら地域商人の移住を促しておいて、今になってその立場を180度変えることに対し、私たちは納得できない」と主張した。また「ソウル市が昨年12月末、都市環境改善の目的で督励してきた世運再整備促進地区の場合、住居比率を90%まで高めるなど住宅供給を拡大するという計画を明らかにしたが、1カ月足らずで再開発事業を全面的に見直すというのは、住民を愚弄する行為だ」と指摘した。

 これに対しソウル市は、土地所有主と商人、市民団体、関連専門家らが議論できる協議体を立ち上げ、対立を最小化できるようにする計画だと明らかにした。

キム・ミヒャン、チェ・ユンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/879486.html韓国語原文入力:2019-01-23 20:34
訳M.C

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