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[ニュース分析]中間選挙以降、トランプ大統領にとって北朝鮮はより重要に

登録:2018-11-08 06:14 修正:2018-11-08 07:59
民主党が下院掌握、朝鮮半島・朝米交渉に与える影響は 
トランプ大統領の朝鮮半島政策には大きな影響はない見込み 
イラン核協定を脱退したトランプ大統領にとって 
北朝鮮の核問題における業績がさらに重要に 
民主党、北朝鮮の核問題をめぐる対話を批判し 
速度を遅らせる可能性もあるが代案不在
米中間選挙前日の今月5日、ドナルド・トランプ米大統領が、ミズーリ州のケープジラードのショウ・ミーセンターで選挙遊説をしている=ケープジラード/ロイター聯合ニュース

 米中間選挙が「共和党の上院堅守、民主党の下院勝利」で幕を下ろす見込みだ。6日(現地時間)に行われた米国の中間選挙で、民主党が下院を、共和党が上院を掌握すると予想されると、ニューヨークタイムズ紙などが出口調査の結果を発表した。

 今回の選挙結果は、2回目の朝米首脳会談をはじめ、トランプ政権の朝鮮半島政策にいかなる影響を及ぼすだろうか。専門家らは、今回の選挙の結果がトランプ政権の朝鮮半島政策を変える要因にはならないと見ている。米国の外交政策は大統領と政府が主導し、上院外交委員会と軍事委員会が影響力を持つため、上院で共和党優位が維持される中、「民主党下院」が外交政策に与える影響は限られるからだ。

 トランプ大統領が中間選挙の「予見された敗北」の後、直ちに再選キャンペーンに力を入れるとみられるのも、北朝鮮の核問題をめぐる交渉に青信号といえる。中間選挙とは異なり、大統領選挙では外交政策に対する評価が主な関心事だ。トランプ大統領は5月のイラン核協定脱退に続き、中間選挙直前の5日、イランに対する経済・金融制裁を全面復元した。オバマ政権の最高の外交業績を台無しにしているのだ。米国政治専門家のイ・ヘジョン中央大学教授は「米国の専門家と主流メディアは、イランが核協定を全く違反せず、順守してきたにもかかわらず、トランプ大統領が核協定からの脱退と制裁の復元に乗り出したことを非難し、北朝鮮核問題をめぐる交渉と比較している」とし、「イラン核協定を破棄したトランプ大統領にとって、北朝鮮の核交渉で成果を出す必要性がさらに高まった。トランプ外交の核心である北朝鮮問題の重要性はこれからも変わらないだろう」と見通した。トランプ政権は朝米高官級会談を通じて対話モメンタムを維持すると共に、来年初めの2回目の朝米首脳会談などで北朝鮮核問題をめぐる交渉を進展させ、2年後の大統領選挙を見据えて、最大の業績に掲げようとする可能性が高い。

 下院を掌握した民主党は北朝鮮の核交渉に批判的だ。だが、民主党が北朝鮮の核問題の解決に向けた交渉に反対し、それを止めるシナリオや積極的な支持に転じるシナリオは、実現可能性が非常に低い。民主党は、トランプ大統領の北朝鮮との交渉に対する反対と金正恩(キム・ジョンウン)委員長の意図に対する疑問を提起するだけで、非核化の解決策や在韓米軍、国連軍司令部、平和協定問題などについて、民主党ならではの明確な代案を示していない。最も実現可能性の高い3番目のシナリオは、トランプの北朝鮮核問題の交渉推進過程で聴聞会を開き、関連者を議会に随時呼び出すと共に、資料の提出などを要求して、交渉の速度を遅らせることだ。

 米国の政治では中間選挙後、朝鮮半島政策が急変した代表的な事例が2度あった。第1次北朝鮮核危機を迎え、1994年にクリントン民主党政権が推進した米朝枠組み合意は、同年の中間選挙で共和党が上・下院を掌握したことで、実現しなかった。北朝鮮を「悪の枢軸」と非難したジョージ・ブッシュ政権は、2006年の中間選挙で敗北したことを受けて、対北朝鮮融和政策路線に転じており、当時上下院を掌握した民主党の圧力の中、北朝鮮と朝鮮半島終戦宣言と平和協定の締結まで協議した。このような点で、下院の変化がトランプ大統領の朝鮮半島政策を変化させるという意見もある。

 しかし、イ・ヘジョン教授は「クリントン政権も共和党の上・下院掌握の中でもとにかくペリープロセスを進展させており、ブッシュ政権の対北政策の変化には中間選挙の敗北だけでなく、イラクでの戦況悪化による米国内部の批判などがあった」とし、「特に、トランプ政権は米国政治のこれまでの規則があまり当てはまらない非常に例外的な政権であるため、既存の事例を持って彼の朝鮮半島政策の変化を判断するのは正しくない」と指摘した。

 9日の米中外交・安全保障対話と12月1日の米中首脳会談を通じて、北朝鮮の核問題をめぐる朝鮮半島政策において米中和解が復元される可能性は高くないものとみられる。トランプ大統領は、米国財界の貿易戦争への反対と支持基盤である大豆栽培農家の憂慮にもかかわらず、対中国貿易戦争をすでに進めており、その過程で米中対立はすでに貿易問題を超えて、南シナ海などでの戦略的競争や中国の先端技術に対する制裁、安全保障、人権など様々な分野に広がっている。北朝鮮核問題の解決に向け、貿易戦争をはじめとする米中対立を解消し、米中協力を修復する可能性は低い見込みだ。

 トランプ大統領が中間選挙後、ジェームズ・マティス国防長官とジョン・ケリー大統領秘書室長を交代するだろうという見通しも示されているが、トランプ大統領の周辺で合理的けん制勢力の役割を果たしてきた人々がいなくなると、朝鮮半島政策の即興性が高まる恐れがある。

パク・ミンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/869204.html韓国語原文入力:2018-11-07 19:39
訳H.J

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