電子タバコもタバコなので、無許可で電子タバコを製造すればタバコ事業法違反で処罰を受けなければならないという最高裁(大法院)の判断が下された。
最高裁2部(主審パク・サンオク最高裁判事)は、海外から高濃度ニコチン濃縮液を持ってきて無許可で66万7千余本の電子タバコを製造した容疑で裁判に付されたTYIフレーバー韓国支社の代表K氏(35)と同社の米国本社代表S氏(60)のタバコ事業法違反等事件の上告審で、K氏とS氏にそれぞれ懲役2年と懲役1年6カ月を宣告した原審判決を確定したと2日明らかにした。
最高裁は「2014年1月21日のタバコ事業法改正で“タバコ”の定義に煙草の葉を原料にして“蒸気吸入に適当なものを製造すること”も追加され、電子タバコもタバコに含まれた。電子タバコに使われるニコチンを含む溶液は、タバコ事業法上のタバコに該当する。キム氏らが高濃度ニコチン溶液にプロピレングリコールと植物性グリセリン希釈液、香料を一定の比率で添加して、電子装置を通じて吸入できるニコチン溶液を作ったことはタバコ製造行為にあたり、許可を受けなければならない」と判断した。
タバコ事業法は、タバコ製造業の許可を受けずにタバコを製造すれば、3年以下の懲役または3千万ウォン(約3百万円)以下の罰金に処するよう定めている。
K氏らは、2014年2月から同年末までタバコ製造の許可を得ずに高濃度ニコチン濃縮液(1000mg/ml)にプロピレングリコール、植物性グリセリン、香料を配合し、20ml容器に入れて“MAG7','Green Leaf'という商標の電子タバコ66万7754本(1469万ml)を製造した容疑で起訴された。K氏はまた、ニコチン原液を電子タバコ用香料であるかのように申告し、5億4700万ウォン相当のニコチン溶液を搬入した関税法違反容疑と、22億余ウォン相当の電子タバコを税金計算書なしで電子タバコ代理店に供給した容疑も受けた。
裁判では、電子タバコがタバコに該当するかなどと共に、電子タバコの製造が違法とは知らなかったとか、電子タバコの製造に対しては巻きタバコとは異なり許可基準もないというK氏ら被告人の主張が争点になった。
1審裁判所は「K氏らが電子タバコの製造のためにタバコ製造業の許可を受けようとするなら(巻タバコの製造許可と同じように)タバコ製造業許可申請書を企画財政部に提出すれば良い。許可申請書を提出したこともなく、その他に何の行為もしなかったので許可申請を自ら断念したと判断される。また、施行令に許可条件が完ぺきに規定されていないからといって、立法的不備のためにすべての人に電子タバコの製造を許可しなければならないことにもならない」として、K氏とS氏にそれぞれ懲役2年と懲役1年6カ月を宣告した。
1審裁判所はまた「2014年1月21日、電子タバコもタバコに含まれるという内容にタバコ事業法が改正されたので、K氏らも注意を注いで違法性の有無を熟慮すべきだった。今回の事件のように、ニコチン溶液を製造した韓国の電子タバコに対して、検察がタバコ事業法違反罪の不起訴決定をしたことがあるが、それはすべて法改正以前のことだ。『違法とは知らなかった』という主張の理由にはなりえない」と判断した。
2審裁判所も「K氏らは、電子タバコ用ニコチン溶液の製造・販売で数十億ウォンの売上を上げながらも、違法性の有無を確認するための十分な措置をしなかった。違法性を知らなかったとは見難い」と判断した。
最高裁も1・2審の判断に誤りがないと明らかにした。最高裁は「電子タバコ製造業に関する許可基準はまだ用意されていないが、政府には法律の委任により電子タバコ製造業の許可基準に対する政策的判断をする裁量権があり、(電子タバコ許可基準として参照したり準用する)巻タバコ製造業に関する許可基準もすでにある。(電子タバコ製造の)許可基準が新たに用意されるまで、タバコ製造業関連法令の遵守を要求することが罪刑法定主義の原則に違反するとは見難い」と明らかにした。