サムスングループの警備会社であるエスワンの労働組合がストライキに突入した。労組は「会社が成果年俸制の廃止など賃金および団体協約に不誠実な態度を見せ、組合員の『労組する権利』を認めていない」として、ストライキの理由を明らかにした。2015年、当時のサムスンテックワンが売却に反対しストライキを進めたことはあるが、賃金団体協議をめぐる軋轢でストライキに突入したサムスン系列会社はエスワンが初めてだ。
民主労総サービス連盟サムスンエスワン労働組合は3日午前、ソウル市中区(チュング)巡和洞(スンファドン)のエスワン本社前で記者会見を行い、この日からストライキに入ると明らかにした。労働組合は「エスワンが団体協約に対する調整決裂以後、いかなる努力もせず、組合員の脱退を勧めるなど労組を弾圧した」として「団体協約勝ち取りとサムスンで労組する権利の保障のために、3日から毎日サムスンエスワン本社前で闘争を続ける」と話した。
組合員たちは、会社が成果年俸制廃止、賃金引き上げ、昇進体系改編などを骨子とする賃金団体協議に積極的に臨んでいないと声を高めた。組合の説明を総合すれば、エスワンは「カ,ナ,ダ,ラ,マ」(ハングルの“あいうえお”順)の5段階に分かれた成果年俸制を運用しているが、賃金に占める成果給の比重が高く、職員間の賃金格差が激しいうえに人事評価反映で組合員に対する賃金不利益が大きいという。チャン・ボンニョル労組委員長は「会社は、成果賃金制は高成果者を督励するための経営の一環と言うが、賃金削減を武器に会社側に並ばせようとしている」と批判した。ヨン・スンジョン労組副委員長も「会社の話をよく聞く人に人事考課を高く与え、賃金上の不利益を与えるための構造」と話した。
労組は、会社が組合員に労組脱退を勧めるなど、労組を認めていないとも指摘した。この日労組が公開した録音ファイルによれば、エスワン支部のある人事担当者が、組合員に「組合を脱退すれば希望の所に発令する」という趣旨の提案をしていたことが明らかになった。サービス連盟の関係者は「サムスンが無労組経営時期にしたことを同じようにしている。今がどんな時代だと思ってるのか、組合員脱退工作までするのか」として「サムスンが国民企業だと言うならば、そこで働く労働者を正当に待遇しなければならない」と話した。今年4月にはサムスン電子サービスがサムスン電子サービス支会と直接雇用に合意するなど、労組との対話に乗り出して「80年無労組経営」が事実上廃棄されたではないかという評価が財界内外から出ていた。
エスワン労組は、出動要員(CS)と営業職労働者を中心に昨年8月に結成された。成果年俸制廃止・長時間労働緩和・労働条件改善を要求し労組を結成した組合員は、先月26日まで会社と19回の団体交渉を進めたが、交渉を終えることができずストライキに突入することになった。労組は、交渉が終わるまでストライキを継続する計画と明らかにした。
これに対してエスワン関係者は「労組が公開した労組脱退録音ファイルは、会社次元で組織的に労組脱退を強要したものではなく、互いに懇意にしている先輩が後輩に助言する席だった」として「会社は労組を尊重し交渉を継続する計画」と話した。