産業革命以降、全地球の平均気温が約1度上昇したが、猛暑は全世界的に増加した。どうしてこのような現象が起りうるのだろうか?
30年前、気候変動への対応を初めて主張した米国コロンビア大学のジェームズ・ハンセン教授は、研究チームと共にここ数十年間、夏の北半球陸上の気温がいかに変わってきたのかを調査した。北半球の気温(実際は観測気温から各地点の平均気温を引いた値)の発生頻度分布は鐘状の曲線だ。ほとんど観測気温の値が平均近くにあるため、鐘の形が作られる。極端な気象現象は曲線の上限(右端)と下限(左端)で稀に現れる。気温の場合、上限では猛暑が、下限では寒波が発生する。
基準期間の1951~1980年の北半球の夏の気温は正常より寒い場合、正常な場合、正常より暑い場合が各3分の1ずつ占めていた。その後、平均気温が約1度増加するにつれ、鐘の形の曲線が右に移動した。
また、地球温暖化の衝撃で気温の変動が大きくなり、尖っていた鐘の形の曲線が横にひろがった。これによって暑かったり(正常より0.5~3度高い場合)、熱い(正常より3度以上高い場合)気温の発生は多くなり、寒い気温の発生は少なくなった。2005~2015年間は気温の3分の2が暑い範疇で発生し、1980年以前にはわずか0.1%に過ぎなかった熱い気温は14.5%に増えた。熱い気温の発生頻度が145倍も増加したのだ。これは猛暑がたくさん生じうることを意味する。
このように平均気温の小さな変化と鐘の形の分布の変化が熱い気温の出現頻度を増加させた。これが平均気温が「1度」上昇したにもかかわらず、現在、韓国と全世界で発生している猛暑を説明できる。パリ議定書で、各国が誓約した温室効果ガス削減を守ったとしても、2100年には(産業革命当時に比べ)気温上昇が「3.5度」となる見込みだ。「1度」上昇した今も苦しいのに、「3.5度」の上昇を手をこまねいて見ているのか? 熱い今年の夏、まさに今ここで私たちは何かをしなければならない。今でなければいつ、ここでなければどこで、私たちでなければ誰が、行動を起こすだろうか?