ソウル松坡区(ソンパグ)にある中学校の生徒約50人が19日昼、ソウル陽川区(ヤンチョング)にある出入国外国人庁の正門前に集まった。それぞれプラカードを持った生徒らが、照り付ける日差しの中、集まった理由は一つだ。難民の地位を得られなかった“イランから来た友達”A君(15)に声援を送るためだ。「偏見に隠された真実を見てください。偽りに隠された私たちの友達に関心を持ってください」。生徒らのプラカードにはこう書かれていた。
イラン人のA君は2010年、事業を営む父親と共に韓国へ来た。当初、ムスリムだったA君親子は韓国に定着し、キリスト教に改宗した。A君は小学2年生の時、友だちの勧めで教会に通い始め、A君の父親も息子の勧めで2015年に改宗した。 イランではムスリムの律法「シャリーア」により、改宗が反逆罪とみなされる。
2016年、A君親子は大韓民国政府に難民地位を申請した。当時出入国管理事務所はA君親子に難民の地位を認めなかった。14歳未満のA君の宗教的価値観がはっきりしておらず、韓国滞在中に教会に通ったことだけでは、帰国後直ちに宗教的迫害を受ける可能性が少ないという理由だった。その後の行政訴訟で、1審は彼らに難民の地位を認めたが、2審はこれを覆した。最高裁も2審同様の判断を下した。
A君が難民の地位を認められなかった事実を聞いて、友達が立ち上がった。今月11日、大統領府の国民請願掲示板に「私の友達が公正な審査を受けて難民として認められるようにしてください」という書き込みが掲載された。A君の友達である女子生徒がクラスメートの意見をまとめて載せた文だった。彼らは請願文で「友達がそんなふうに(イランに)帰ってしまうと、大きな傷になるだろう」と訴えた。それを聞いたチョ・ヒヨン・ソウル市教育監が19日午前、A君の学校を訪れた。
友達はA君を「朗らかな人」だと口をそろえた。小学校2年生の時から8年来の親友というH君(15)にとって、A君は「初めて声をかけてくれた友達」だった。H君は「なれない小学校に転校した時、私に初めて声をかけてくれました。運動もできるし、学級委員を二回も務めたほど、交友関係も良いです」と話した。彼の望みは素朴だった。「一緒にゲームとサッカーをしながら、安全に学校に通えたらと思います。それだけです」
友達の歌と声援を受け、A君は出入国管理事務所に入り、難民地位を再申請書類を提出した。A君は「韓国に残ることができたら、モデルになりたいです。ロールモデルのハン・ヒョンミンさんと同じ舞台に立つ夢をかなえるため、一生懸命努力するつもりです」と話した。